第2章 『瑠璃色の風』も色々です
13.ギルド『瑠璃色の風』のリーンです!
『瑠璃色の風』に入団させてもらい、ユーリさんから諸注意を教えてもらったらログアウト。
諸注意って言っても、他の人に迷惑をかけないってくらいしか注意事項はないんだって。
昔はそこそこ有名なギルドだったらしいけど、今は初心者支援以外にはほとんど活動していないらしいよ。
ユーリさんは、午後もログインするらしいのでその時に詳しく教えてもらう事に。
ログアウトしたらお昼ご飯です。
今日もお母さんのご飯はとっても美味しいですよ!
「お姉ちゃん、ゲームはどうだったー?」
一緒にご飯を食べていた立華が、ゲームのことを聞いてきましたよ。
「なかなか楽しいゲームだったよ。親切なプレイヤーさんにも会えましたし、出だしは順調です。モフモフも増えたし」
「……親切なプレイヤーさんかー。モフモフに釣られてついて行ったんじゃないのー?」
「……そんな事はないですよ?」
「本当かなー?」
旗色が悪いですね。
立華が始めようとしているゲームの話でもふりますか。
「それよりも立華が始めようとしているゲームはどうなの?」
「うーん、そっちはまだサービス開始してないからねー」
「……サービス開始前なのにボクを誘った理由って一体?」
「サービス開始前でもキャラメイクはできるからねー」
「……キャラメイクよりモフモフの方が大事だし、ボクの選択は間違ってないね」
サービス開始前なのに誘わないでほしいですよ。
「それではごちそうさまでした」
「お姉ちゃんはまたゲーム?」
「その予定だよ。……心配しなくても夜にはちゃんと勉強します、お母さん」
お母さんからお小言をもらう前に離脱。
ゲーム禁止にされないように、勉強もきちんとしなくては……
それではゲームの世界に出発!
ゲームにログインしようとすると、『ログイン場所の選択』という画面が出てきたよ。
えーっと、このゲームでは街中でログアウトした場合、ログイン場所が選択できるらしい。
普通だとログイン場所は復活場所でもある女神像広場らしいけど、他にも拠点を持ってた場合そこからでもゲームを再開できるんだって。
……でも、拠点なんて持ってなかったような。
ログイン場所の選択画面を見て納得。
『瑠璃色の風』のギルドハウスもログイン拠点になっているみたいだね。
せっかくだし、『瑠璃色の風』からログインさせてもらいましょう。
ログイン場所を『瑠璃色の風』で決定っと。
すると視界が切り替わってとっても広いリビングみたいな場所に出た。
……ここ、どこだろう?
「お帰り、リーン。待ってた」
「うわ!?」
背後からいきなり声をかけられて声を上げてしまったよ。
今の声は確か……
「シリルさん、いきなり声を上げてすみません」
「いいよ、気にしてない。後ろからいきなり声をかけた私も悪い」
「ありがとうございます。……それで、ここはどこでしょう?」
「ここは『瑠璃色の風』のギルドハウスにある休憩室。『瑠璃色の風』をログイン場所に指定するとここにでるから覚えておいて」
「はい、ありがとうございます。……それで、待ってたって何かありましたか?」
「とりあえず、話し方は崩してもいいよ。特に敬語を使ってもらわなくても構わない。同じギルドのメンバーだし。それで用事なんだけど、もう少し待っててほしい。今作っている物があるから」
「えーと、うん、わかったよ。それじゃあ、待ってるね」
「よろしく。あと10分くらいでできるから」
シリルさんが作業に戻ってしまった。
立っているのもなんだし、ボクは近くのソファーに座らせてもらうことに。
そう言えば、シズク達はどうしてるんだろう?
「……待ってる間暇でしょう? パートナー達を呼んでも構わないよ?」
「ええと、わかったよ。ところで、パートナーってログアウトするとどうなっちゃうの?」
「ログアウトするとパートナーは全員帰還状態になる。だから、ログインしたらコールし直さなきゃダメ」
「なるほど。ありがとうございます」
メニューからパートナー一覧を確認すると、確かにシズク達は全員帰還状態になってたよ。
皆を呼び出すのも邪魔になるかしれないから、シズクちゃんだけをそっと呼び出すことに。
……うん、やっぱりシズクちゃんはカワイイ!!
「……リーン、できたよ」
「ハッ!!」
シズクちゃんをモフモフしていたら時間を忘れてしまっていたよ。
シリルさんがボクの方に来てて、その手には服が1セットあった。
水色のブラウスに深い青色のキュロットスカート、それにあわせた色のトレッキングシューズとトレッキング帽、指貫グローブ、それからオーバーニーソックスのセット。
うーん、これはどう考えてもボク用の装備だよね?
「これ、入団祝いの装備品一式。若草シリーズよりは性能がいいからこれを使って」
「ありがとう。……それじゃあ、若草シリーズは返却しなきゃだね」
「別に返してもらわなくてもいいよ? 若草シリーズならいくらでも作れるし」
「シリルさんの手作りだったんですか?」
「今はギルドメンバーの服系装備は私が作ってる。だから気にしないでもらってくれて構わない。邪魔になるって言うなら引き取るけど」
「いえ、邪魔だなんて思ってないよ。それじゃあ、新しい装備をもらいますね」
「うん、どうぞ」
渡された装備は主に『ブルースカイ』って名前で統一されてた。
今度はブルースカイセットだね。
「あとそれから、これも。『瑠璃色の風』の団員用マント。防御力も多少上がるからよかったら使って」
一緒に渡されたのは少し紫色がかった青色のマント。
こう言う色を瑠璃色って言うんだって。
早速、装備をブルースカイシリーズに変更してマントも着けてみる。
うん、なんだか旅人って感じの服装になったね!
「……うん、なかなか似合ってる。でも、若草シリーズを引き取らなくても大丈夫?」
「大丈夫って何がですか?」
「このゲーム、アイテムはインベントリの中に100種類までしか入らない。下位互換の装備を持ってると邪魔になるよ?」
なんですと!?
インベントリ画面を開いて見ると確かにそこには『/100』の表示が!
うーん、でもなあ……
「せっかくですので若草シリーズももらっておきます。初めてプレゼントしてもらえた装備ですので」
「……そう、ならいい。ところで、リーンは何か生産系のスキルって持ってるの?」
「そうですね。料理と調合を持ってます」
「……どうしてその組み合わせ?」
「パートナーに与えるための食事とお薬を自給自足するためですよ!」
「わかった。調合用の生産アイテムだったら私のお下がりがあるから使うといい。今、自室から取ってくるからちょっと待ってて」
シリルさんはそう言い残して部屋を出て行ってしまったよ。
……そう言えば、ボクって生産スキルの使い方も知らないね。
……ふむ、ヘルプによると生産スキルを使うにはスキルごとに対応した生産アイテムセットが必要なのですか。
本当ならそれらも買いそろえなくちゃいけないのでしょうけど、調合用のアイテムはシリルさんがくれるみたいですし待ってよう。
シズクを抱きしめながら待っていると、シリルさんが戻ってきたよ。
ユーリさんと一緒に。
「リーンちゃん、生産スキルも持っていたのね。教えてくれればよかったのに」
「聞かれてなかったので。特に話さなきゃいけない事でも無かったですし」
「それはそうだけど……。とにかく私も料理道具セットを持ってきたわ。序盤はこれがあれば困らないからこれを使ってね」
「私も調合セットを持ってきた。もう使わないものだからリーンが好きに使ってくれて構わない」
「お二人ともありがとうございます。大事にしますね」
「ええ、頑張ってね。……それで、リーンちゃんにお願いなんだけど、1つクリアしてきてほしいクエストがあるのよ」
「クエストです? どんなクエストでしょう?」
「簡単なお使いクエストよ。テイマーギルドで受けられるわ」
「それじゃあ頑張ってね。私は一度落ちるから」
「シリルさん、新しい装備ありがとうございました!」
「クエスト頑張ってきてね。それじゃあ、また」
シリルさんはログアウトしていったよ。
ひょっとしてボクが帰ってくるのを待っててくれたのかな?
「それじゃ、テイマーギルドに向かいましょうか」
「わかったよ。ユーリさん、どんなクエストなの?」
「簡単なお仕事よ。その名も『街の配達人』! その名前の通り街中を回って荷物の配達をしてくるクエストね」
えぇ……
ユーリさんが勧めるんだから何か意味があるんだろうけど、アイテムの配達とは思わなかったよ……
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