11.強敵との遭遇戦です!
黒号を仲間にする時に大量のMPを消費してしまったため、ボク達は一度休憩することになったよ。
ついでなので、今のうちに黒号のステータスもチェックしておこう。
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名前:黒号
種族:ワイルドドッグ Lv.3
HP:42/42 MP:20/20
STR:12 VIT:14 DEX:12
AGI:18 INT: 8 MND:12
スキル:
【かみつき】 【ひっかき】 【威嚇】
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……うん、あまり強くはないですね。
ユーリさんにも確認してもらいましたが、レア個体のワイルドドッグ程度じゃこの程度だとのこと。
そもそも、
それから、ワイルドドッグは本来最初に手に入れられるパートナー候補の1種なんだって。
……課金パートナーを連れていない場合、最初から大変なんだね。
って言うことをユーリさんに言ったら、アップデートで課金パートナーが実装される前まではワイルドドッグが一番人気だったらしいよ。
威嚇スキルで敵の注意を引きつけてくれて、それなりに高いHPがあるから壁役として人気だったんだって。
それと満腹度が減っていたので、初期支給品の携帯食料を食べたらパサパサしてておいしくなかった……
例えるなら、味がなくてパサパサしてるスティック状の健康補助食品かな。
口直しに屋台の皆さんからもらった料理を食べたらすごくおいしかった。
比較対象があれだからしょうがないけど、もう携帯食料は食べたくないね!
ボクが普通の料理を取りだしたことを不思議に思ったらしいユーリさんに、テイマーギルドに向かう途中で屋台人達から色々と食べ物をもらったことを告げると「ああ、またか」って顔をしてた。
基本的に、今現在でアインスベルに残って屋台を出しているプレイヤーって、初心者を見かけると色々と料理をプレゼントしてくれるらしい。
そもそも、いまだにアインスベルで屋台をしている時点であまりお金儲けに興味がなく、なおかつ初心者がいたら支援しようと思っているような人達の集まりだそうな。
皆、携帯食料の不味さは知っているので、それをそんなに食べなくても済むように料理をくれているらしい。
あと、渡しておけばリピーターになってくれるかもという考えもあるとか。
「……さて、休憩ももう十分だろう。できればリーンにもう1体パートナーを見つけたやりたかったが……」
「夜時間のフィールドモンスターだと手頃なモンスターがいないんだよね。昼間だったらファーラビットとワイルドドッグで2体になったんだけど」
「夜のフィールドモンスターってそんなに強いの?」
「そうだな……。森まで行かないなら、後この辺にいるのはプレーンウルフって言う狼系のモンスターなんだが……」
狼か……
ゴワゴワしてそうだけどちょっと興味があるかも。
「プレーンウルフじゃだめなの?」
「ダメって事は無いが、レベルが高いんだよな。低くてもレベル5、平均レベル6だ。流石に今のレベルじゃ、テイムはほぼ成功しやしないよ」
うーん、レベル不足かー。
流石にそこまで2人に付き合ってもらうのは悪いもんね。
「でも、さっきテイムを結構連発してたよね。従魔術スキルってレベルいくつになってる?」
「ええと、スキルレベル4です」
「スキルレベルは4か。キャラレベルはどうだ?」
「そっちはレベル2だよ」
「ってなると、しばらくレベル上げすれば何とかなる……か?」
「うーん、難しくはないと思うけど。リーンちゃん、まだ時間は大丈夫?」
「時間ですか? ……うん、もう2時間くらいならゲームを続けても大丈夫だよ」
「なら、少しレベル上げをしてからプレーンウルフを狙ってみるか」
「お手数をおかけします」
「気にしなくていいわよ。好きでやってることだし」
「だな。それじゃ、プレーンウルフがいる辺りに移動するぞ」
ボク達は夜の平原をさらに奥へと進んでいった。
すると、周囲の敵がワイルドドッグよりも二回りは大きい敵になったよ。
「こいつらがプレーンウルフだ。とりあえず、今はレベル上げが優先だからサンダーボルトも解禁していいぞ」
「わかったよ。それじゃあ、シズクちゃん、お願いね」
「オン!」
僕の腕の中からシズクちゃんが飛び出して、プレーンウルフの群れの中に向かって行く。
噛まれたら大変なことになりそうだけど、シズクちゃんは相手に気付かれない距離くらいからサンダーボルトを叩きつけた。
その一発で魔法の効果範囲内にいたプレーンウルフは全滅して、大量の経験値がボク達に流れ込んでくる。
さっきまではレベル2だったのに、一気にレベル4まで上がったよ。
攻撃が終わったシズクちゃんはボクの胸の中に戻ってくる。
サンダーボルトは強力だけど1回使うと30秒間使えないらしいんだよね。
それから、1回使うのにMPを40も消費する。
シズクちゃんは【MP回復速度上昇】スキルも持っているけど、自然回復するMPは2~3秒で1ポイントだけ。
MP回復薬を使わないと、やっぱりあまり回数は使えないんだよね。
とりあえず次の一発が使えるようになるまで待っていようと思ったんだけど、その時背中に何かがいきなりぶつかってきた。
そうしたら体が倒れてしまい、動くことができなくなったんだよ!
何が起こったのかわからないけどステータスを確認したら、ボクのHPが0になってる!?
「リーンちゃん!」
ユーリさんがすぐに魔法を使ってボクの治療をしてくれる。
ユーリさん蘇生魔法も使えるんだ、すごいなー。
戦闘不能状態から復帰したから立ち上がってみると、ガイルさんと黒号が一匹の狼とにらみ合っていた。
狼は先程倒した狼たちとは違って、夜でも鮮やかさがわかる銀色の毛並みをしていた。
「リーン、お前って運がいいのか悪いのかわからんな! いきなり真横にユニーク種のプレーンウルフが湧くなんてよ!」
どうやらあれがレアモンスターより強いという、ユニークモンスターらしい。
毛並みのかっこよさとかも普通のプレーンウルフとは段違いだよね。
「さて、こうなったら作戦変更だ。俺がこいつを手加減スキルで瀕死にするからユーリはバインドを頼む。バインドができたら、リーンはまたテイム連発だ」
「構わないけど、それってボクにテイムできるのかな?」
「わからんが、成功率0って事は無いだろう。とりあえず手持ちのMPポーションを飲み干す覚悟でやって見せろ」
ボクの返事を待たずに、ガイルさんはまた青色のオーラを身にまとってプレーンウルフを攻撃する。
ガイルさんの攻撃力なら確実に即死だと思うんだけど、またHPがギリギリ残ってプレーンウルフが倒れ込む。
そこを先程と同じように木が生えてきて絡め取って動けないようにしてしまう。
「それじゃあ、キミもボクの従魔になってもらうよ。テイム!」
動けなくなったプレーンウルフに近づいて、ボクはテイムを連発する。
MPがなくなったらポーションで回復してさらにテイムを重ねがけすること9回目。
遂にテイムが成功して、プレーンウルフの全身が輝いた。
輝きが収まるとワイルドドッグと同じように、敵だった頃よりも綺麗になったプレーンウルフがお座りしていた。
この子にも名前をつけてあげないとね。
〈プレーンウルフのテイムに成功しました。プレーンウルフに名前をつけてください〉
「うーん、キミは銀色だからシルバー……少しひねってシルヴァンにしよう」
「ガウ!」
さて、早速だけどステータスを確認させてもらうよっと。
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名前:シルヴァン
種族:プレーンウルフ Lv.8
HP:45/45 MP:28/28
STR:26 VIT:16 DEX:20
AGI:30 INT:11 MND:12
スキル:
【牙撃】 【爪撃】 【潜伏】
特殊スキル:
【クリティカル率上昇】 【クリティカルダメージ上昇】
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潜伏スキルは……気配を消して敵に気付かれにくくなるスキルか。
これはあれかな、潜伏を使って敵に気付かれないように近づいて一撃必殺を狙うとかそう言う感じ?
「どうやら無事テイムできたみたいね」
「はい、蘇生ありがとうございました。でも、どうしていきなり攻撃されたのかな?」
「あー、どうやら横湧き、要するにすぐ近くに敵が出現したんだわ。それでいきなり襲いかかってきたから、俺も対応できなかったって訳だな」
「なるほど。そう言うこともあるんだ」
「まあ、滅多にないけどな。……さて、戦力も揃ったわけだし街に戻るとしようぜ」
「そうね。予定よりも豪華なプレゼントになっちゃったけど、最序盤だけの話だし誤差よね」
「ボクとしてはとってもありがたかったけど。本当にいいのかな?」
「まあ、細かいことは気にすんな。運がよかったとだけ思っておけよ」
そう言うことなら細かいことは気にしないで、モフモフが増えた事を喜ぼうじゃない!
街に戻ってしっかり洗ってあげれば、多分モフモフになってくれるはずだから!
ちょっと予定とは違っちゃったけどモフモフが増えたから万事よし!
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