メビウスの分岐点♾ 〜浮遊霊は女子高生に拾われ、やがて式神になる〜

水樹

物語の手引き

★専門用語集★(世界観編)

 読者の皆様――不思議な未来の世界にようこそお越し下さいました。幾多に溢れる作品の中で、この作品に辿り着いて頂いたことを心から感謝致します!


 初めに、この作品の中で扱われている専門用語を纏めた内容を公開していますので、良かったら目を通して頂ければ幸いです。

 勿論、物語の進行中に用語などの説明は登場致します。なので、読まなくても問題ありません。また、この用語集と説明が重複してしまうケースがありますが、その点はどうかご容赦下さい。



(※1)伏線に関連するネタバレなどは含んでいません。

(※2)物語で登場していない部分は『■■■未開放』と表示しています。

(※3)内容は物語進行時、適宜更新していく予定です。

(※4)専門用語集は縦読み推奨として作成しています。



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◆霊観念措置法(メビウスのことわり

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 日本国憲法に追加された霊に関する法律である。

 (以下、日本国憲法より抜粋)


□第一条

 すべての霊類の権利は人類に信託するものとする。国民は永久の冥福を祈ることを尊重し、規範に基づいた行動とそれを遵守することを必要とする。


――要約――

 霊の成仏を第一に考えて人間は行動すること。霊との接触は必要最低限のコミュニケーションのみとし、浮遊霊を見つけた場合は直ちに近くの公的機関(市役所等)に『除霊届』を提出するように導くこと。


□第七条

 第一条の目的を達するため、人と霊の恋愛に関する行為は、絶対にこれを禁ずる。国民は理と秩序を基調とする義務を果たし、霊は『死後カリキュラム』による平和的除霊を希求しなければならない。


――要約――

 人と霊の間では恋愛を一切禁止とする。国民は『メビウスの理』を守る義務があり、霊は『死後カリキュラム』による除霊を前提とした誠実な行動を取ること。


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◆除霊の基本知識

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①自然除霊法

 霊の心に眠る未練や後悔などの思念『後悔のともしび』が鎮火した場合に自然と成仏する除霊法。つまり、後悔が解消されれば、霊は自然と浄化される。


②強制除霊法

 あの世へ通じる霊方陣『メビウスの門』を開放し、強制的に常世とこよへ送る除霊法。『メビウスの門』の場所は国家が秘密裏に管理しているので、秘匿情報である。


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◆死後カリキュラム

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 現世滞在中の霊が義務付けられている除霊までのプロセス。以下のフローチャートに従ったプログラムを実施し、最終的に除霊が実施される。


①『除霊届』提出 NO  除霊の強制執行

   YES

②ガイダンスの実施

  以下の内容が担当者から説明される。

  ・今後のスケジュール

  ・現世滞在中の諸注意

  ・その他連絡事項

   ↓

③浄土学習(全体講義)

  浄土の世界(常世とこよ)についての基本倫理等が説明される。

   ↓

④生前調査レポート記入(個別面談)

  ・生前の死因など基本事項を記入

  ・生前の未練や後悔をアンケート形式で記入

   ↓

⑤カウンセリング(個別面談)

  生前調査レポートの内容を踏まえて、カウンセラーと面談を実施する。


 ◆分岐(未練が明確であるか) NO  ⑦へ

   YES

 ◆分岐(未練解消の見込みがあるか) NO ⑦へ

   YES

⑥自然除霊法の遂行

  未練解消に対するアプローチを採用し、担当者と共に設定期間に渡って『後悔の灯』の鎮火対策を実施する。


 ◆分岐(『後悔の灯』の鎮火成功) YES 常世とこよ

   NO

⑦メンタルコーデ

  除霊前の精神安定を目的としたカウンセリングを実施する。

   ↓

⑧強制除霊法の決行『魂の浄化』

  あの世へ通じる霊方陣『メビウスの門』を開放し、常世とこよへ送られる。『メビウスの門』の場所は秘匿情報なので、知人などの除霊の立会いは禁止となる。


 以上、各プログラムは『除霊届』提出から二週間の期間を目安としてスケジューリングされる。基本的にはメンタルコーデ終了後、十日間の待機期間を以って『魂の浄化』が決行される。

 但し、⑥の自然除霊法が失敗したケースは待機日数から遂行した分の日数を差し引いた(十日-遂行日数)が待機期間となる。


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◆湾岸特殊区域『リージョンG』

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 東京都江東区の東京湾に位置する埋立エリア。東京ドーム五個分の面積を占めており、霊法関係の公的機関が並んでいる。海に囲まれた環境ではあるが広域に渡って緑が多く、深緑公園や噴水広場など自然豊かな景色が広がる。


 主に死後カリキュラムの実地施設が建てられており、また霊が現世滞在中に泊まれるホテルやレジャー施設等も完備されている。『除霊届』を提出した霊は基本的に、ここで生活する手筈となる。


――――――――――――――――――

◆霊特殊捜査部・霊能犯係

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 リージョンGの中央に霊特殊捜査本部が設置されており、そこは第二の警視庁と呼称されている。


 霊能犯係――霊犯れいはんと略称される部署の構成はかなり特殊であり、第一に霊感知能力に長けていないと属せない。霊的事案の対抗勢力として集められた正義の集団であり、所属者は『霊能官』と呼称されている。


 一風変わっているのが部内序列のレーティングに合わせた階級制度であり、悪の権化に対抗する武力を数値化し、適正な難易度の任務に割り当てることで、任務成功率と生存率を上げている。


 現在は総員二十七名。十数年前の霊犯黄金時代には百名以上所属していたが、殉職者が相次ぎ、部署としては弱体化している。


◆レーティング階級制度


  特級一等位プラチナナンバー

  特級二等位チタンナンバー

  上級一等位ゴールドナンバー

  上級二等位シルバーナンバー

強い 上級三等位コパーナンバー

  中級一等位パープルナンバー

  中級二等位グリーンナンバー

  下級一等位イエローナンバー

  下級二等位ブルーナンバー


 序列五位以上の上級霊能官は『エレメントナンバーズ』と呼称され、各階級に一人が所属する。中級霊能官以下は『パレットナンバーズ』と呼称され、複数人でチームを編成している。


霊具れいぐ

 霊能官が使用する武器。普段は仮想世界の四次元サーバーに粒子化した状態で保管されており、『霊具装身れいぐそうしん』と唱えると物質化した霊具が装着される。後天的に『特殊アビリティ』と呼ばれる霊具れいぐに呼応した奥義が発現する場合がある。


◆霊能官の戦闘スタイル 

 霊能官は式神とパートナーを組み、前衛(攻撃主体)と後衛(補助主体)で戦うことで戦局を有利に運んでいる。


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◆式神

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 従来では式鬼や神霊と呼ばれる陰陽師の相方的存在だが、未来の世界では霊能官のパートナーというイメージが根付いている。大半が動物霊であり、召喚時点で召喚者の言語能力が取得出来る。つまり、会話が可能だ。

 式神の役目は、神の戯れによる恩恵『神戯じんぎ』と呼称される能力と、悪霊の感知能力で霊能官をサポートすることである。


◆契約の流れ

①第一ステップ『召喚の儀』

 契約者は召喚のための霊方陣を生成し、導きの言霊を詠唱する。そして、言霊に導かれた召喚霊が、生成した霊方陣に顕現すれば完了となる。


②第二ステップ『契約の儀』

 契約者と召喚霊の間で契約条件を設定する。基本的には双方の願いが条件となり、互いが明示した内容で合意した後に誓約を躱し、契約者が召喚霊に真名を授ければ、晴れて契約成立である。


玉印ぎょくいん

 『契約の儀』の完了と共に白勾玉の刻印が式神の体に刻まれる。刻印は極小の梵字ぼんじで形成され、大きさは百円玉ぐらいである。


神戯じんぎ

 式神が使用する特殊能力。契約完了時点で恩恵を授かるが、『神の戯れ』とその名の通りでどんな能力が宿るかは運次第。『神戯絢爛じんぎけんらん』と唱えると能力が解放される。


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死霊グレッド

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 闇に蔓延る悪霊で、社会の根幹を揺るがす程の武力を持っている。見た目は人間と変わらないが、『呪力』解放時に瞳が真紅に輝く。日本中で様々な怪奇事件を巻き起こしており、その度に霊能官と交戦している。


呪印じゅいん

 黒勾玉の刻印。玉印とは色違いで形は同等である。


呪力じゅりょく

 死霊グレッドが使用する特殊能力。『呪力を得るは、呪詛を背負い、呪印を刻む』の通りで、自らが呪いの代償を背負っているので、『特殊アビリティ』や『神戯』と比べると、能力は格段に強い。『呪力点睛じゅりょくてんせい』と唱えると能力が解放される。


死霊の赤紙ゴーストページ

 警視庁のサーバーで管理している淡赤に染まったウェブページ。死霊グレッドに関する秘匿情報が開示されており、警察組織内でも霊犯のメンバーしか閲覧できない。


 死霊グレッドにも脅威ランクと順位が設定されており、ランクはS級、A級、B級、N指定アンノウン。設定基準は能力脅威、人格脅威など挙げられるが、総合して社会規範を揺るがす程の存在が上位に位置する。


 その中でも最大脅威である七人のS級死霊エスグレッドは自衛隊の一師団を壊滅させる程の力を持っており、国家の根幹を揺るがす存在。


S級死霊エスグレッド


  第一厄『■■■■未開放

  第二厄『■■■■未開放

  第三厄『■■■■未開放

強い 第四厄『■■■■未開放

  第五厄『神隠しハイドシーカー

  第六厄『■■■■未開放

  第七厄『■■■■未開放


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霊道御三家れいどうごさんけ

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 古から続く対霊魔の最強家系。死霊グレッドが最も恐れている存在である。大自然の加護を利用した特有の術を持っており、謎に包まれた集団である。


 ①■■未開放

 ②■■■未開放

 ③■■未開放


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神の名を持つ羅針盤デウスコンピューター

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 科学の叡智と呼ばれる次世代社会基盤プラットフォームのシステム構成。以下の三大システムが人々の快適な生活を構築している。


神光じんこう知能演算システム『アマテラス』


 ・非計算確率収束演算機ナノシュミレーター


 未知数や不足データを全知全能の知識で補って、無限の確率を収束させる自立演算型のインターフェース。非計算可能値を独自のアルゴリズムと高速演算で読み解き、前世代のハイパーコンピューターを遥かに凌ぐスループットを誇るナノマシンである。つまり、誤差範囲ゼロの絶対的な確率が求められる機能である。使用権限は政府のみである。


②粒子空間転移システム『ツクヨミ』


 ・空間転移装置『転移端末テレポス


 通称『テレポステーション』と呼ばれる転移端末集合エリアを経由点として、各端末同士の空間転移が可能となる。未来には存在しない電車の各駅に転移端末テレポスは点在し、現在は市役所など一部の公的機関にも増設されている。

 深夜一時から五時までが利用時間外となり、転移端末テレポスはシャットダウンしている。


 ・仮想世界『社会の楽園パラムガーデン


 グローバルネット経由で人々が共有できる大規模な仮想世界。自身の精神と粒子世界への融合が必要であり、《個人の箱庭ガレージ》経由で『リンケージ』を行う。仮想世界は、中央管理エリアを真ん中にしたペンタゴン型で創造された五つのエリアが存在する。


③記憶永存管理システム『スサノオ』


 ・記憶投写装置メモリースキャン


 脳内に残る記憶残滓をスキャニングする機能。スキャニングした記憶は映像化できる。


 ・記憶保存装置メモリーバックアップ


 脳内に残る記憶残滓を永久保存する機能。保存データは仮想世界の『記憶の幻想庫』にて、結晶化して保管される。また、記憶投写装置メモリースキャンと併用して記憶の復元が可能となる。


 ・記憶消去装置メモリーロスト


 脳内に残る記憶残滓を消去する機能。精神治療で利用されるケースが多く、消去したい辛い過去を部分的に抹消できる。


 ・物体補完装置――《形状記憶鉱石グロウメタルの復元》


 登録した座標ポイントにある建築物、道路、その他(外壁など)を補完することが可能である。例えば、何かの問題で工場が爆発したとしても、登録した状態への回帰が可能である。


 但し、建築基準法で定められた《形状記憶鉱石グロウメタル》なる物質を使用した箇所に限るので、火事で燃えた家具などは復元できない。ちなみに、この鉱石は見た目が純白なので、全てを適用している都市部は、ギリシャのサントリーニ島のような景観で、かなり幻想的だ。


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◆その他特殊機能

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個人の箱庭ガレージ


 指輪型の識別端末で、日常生活をサポートする画期的なアイテムである。人間は白色、現世滞在中の霊には黒色の指輪が配布される。

 スマートフォンの機能でいう通話やメール、その他アプリケーションが利用できる。《神の名を持つ羅針盤デウスコンピューター》に関連するシステムを利用する場合は、基本この端末経由で使用する。


仮想幻装アバターコス


 対象者の周囲に三次元像を映写するホログラフィーを利用した仮装技術である。他者のフォルムを残像コピー出来るが、主な人々は服装の着せ替えとして利用している。チョーカー型で首に巻きつけて使用するが、難点はチョーカーまではホログラムで隠せないことにある。成り済まし事件が相次いだ影響があり、利用規約に関連する話だ。

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