triangle-誰にも理解されない-
花鈴
第1話 咲
小さい頃からいつもそうだった。
多くの友人とは仲良くはできなかった。
理由はおそらくひとつ。
嫌われたくないから。
私の中には複数の人格がいて
いつ変わるかわからないから。
小学校四年生の秋、父と母が離婚した。
母は借金にまみれて小さい頃から
精神科病棟へ何度も入院を重ねていた。
父はいつも暴力をふるった。
性的虐待もふるった。
借金が限界になるととうとう
父と母は離婚した。
それから兄弟はみな、父に引き取られた。
記憶が飛ぶようになったのは
小学生の離婚後から。
この先それがどんどんひどくなるなんて
思ってもいなかった。
小さい頃から友達が少なかったのは
そのせいかもしれない。
司と出会ったのは小学生の時。
同じクラスになったことはないけど
ただ習字が上手で野球がうまくて
リーダー的な目立つ人というそれだけのイメージ。
向こうは至って目立つこともない私を
足の速い小さな子と思っていたらしいことを
のちに知る。
記憶が曖昧な時でも
なんの支障もなく時は過ぎていく。
もしあの時に戻れたら
選択肢を間違えずにすんだかな?
ねぇ、司。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます