第23話  Truth(真実)

山田「エディは、この道を一周してアグン・コテージへ戻るんですね。」


僕「そうですよ。これがちょっと不便ですけどね。」


僕と山田は昨日と同じように、ジャラン・レギャン通りの歩道よりレストラリホテルのレストランへとつながる石段の階段を登っていった。


ボーイ「いらっしゃいませ。お好きな席へお座りください。酒井さん、お待ちしておりました。」


僕「じゃ、この席に座りますね。」と言い僕は、通りに近いオープンテラスの席へと着いた。


ボーイ「昨日のお約束のマルチンの弟が間もなく、こちらへ来ます。酒井さんへお会いできるのを弟も喜んでいましたよ。」


僕「実は、その弟さんと今日タナロット寺院のカフェで偶然にあったんですよ。弟さんが僕と山田君とエディの三人入ったカフェでボーイをされていたんですよ。」


ボーイ「そうでしたか。それはまたすごい出会い方ですね。あのカフェでは何名かのボーイがいるはずですが、その中で酒井さんたちの担当になったというのも、また何か感じるものがありますね。」


山田「俺も本当にすごい出会い方だと思いましたよ。」


僕「マルチンの弟さんに今晩、こちらでお会いしてゆっくりとマルチンのお話を聞きたいと伝えました。弟さんもそういわれればマルチンに似ているような気がしました。」


ボーイ「そうですか。でもマルチンと弟は血がつながっていないといっていましたよ。」


僕「そうなんですね。」


エディ「間もなくこちらへ来るといっていましたので。ご注文はどうなさいますか。」


僕「じゃ、僕はウォーターメロンジュースにします。山田君は何にする?」


山田「俺も酒井さんと同じジュースでお願いします。」


ボーイ「かしこまりました。ウォーターメロンジュースを2つですね。お食事は大丈夫ですか。」


僕「僕は大丈夫です。先ほどタナロット寺院のカフェでインドネシアのスィーツを食べちゃいました。山田君はどうしますか。お腹すいたんじゃないですか?」


山田「俺はナシゴレンも1つお願いします。ここのナシゴレンはおいしいですからね。」


僕「追加でサテアヤムをお願いします。」


ボーイ「かしこまりました。」


ボーイにオーダーを済ませた僕と山田は、それぞれ今日撮った画像をチェックして、料理はインド洋からの波しぶきが映っていたが、よく見ると僕が写しているインド洋の沖から何か白い靄の塊が迫ってきているのが映っていた。その場にいたときには全く感じていなかったんだが、画像で改めてみると映り込んでした。その白い靄は、波打ち際で散って消え去っていた。僕はその他の画像もチェックしていた。その画像だけで、他には特に何かあるってことはなかった。


僕「山田君、今日の画像はうまく撮れていますか。」


山田「もちろんですよ。こんなにきれいに撮れていますよ。酒井さんはどうですか。」


僕「僕のもよく撮れていますね。この画像をもとに日本で仕事再開って感じですね。仕事のいい材料ができましたよ。今日のインド洋の迫力は、すごかったよね。さすがインド洋って感じだね。」


山田「俺は初めてのインド洋だったので、本当、あの迫力には圧倒されちゃいました。」


僕「それはそうと、明日はどうする?全く明日はノープランなんだけど。」


エディが時間あれば、またガイドを頼んでバリ島観光しちゃいますか。」


山田「俺、初めてのバリ島だから、いろんなところを見てみたいです。もちろんバリ島の宗教観や風習もすごく興味があります。」


僕「そうだね。明日は、いよいよブサキ寺院とランプヤン寺院を訪れますかね。そちらを観光したら、クタへ戻りビーチで水遊びでもしましょうよ。海水パンツは持ってきてますよね。」


山田「もちろんです。南国の景色に溶け込むパンツを用意していますよ。超、楽しみですね、明日も。」


僕と山田は運ばれてきた料理を食べ始めた。僕はサテの櫛を一本取り、ココナッツソースの独特な触感を楽しんだ。もちろん、ウォーターメロンジュースもそのウォーターメロンの果汁のおいしさを楽しんだ。本当にここのウォーターメロンジュースは何度飲んでもおいしいと感じる。


改めて言うが、このレストラリホテルのレストランには窓などはない。簾を窓代わりにしている。その点もなんだか東南アジアっていう雰囲気を醸し出している。夜風が入ってきて何とも言えないバリ島の空気感が何度訪れても飽きない。この雰囲気は本当に僕の心を癒してくれる。

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