第116話進路

静寂した学校の教室でゆうは進路指導の教師と共にため息をついていた。


「将来、どんな仕事に就きたい?」


「官僚になって天下り天下りを繰り返したいです。」


「お前な冗談言うなよ。真面目に考えろ。」


どんな仕事にも、ゆうは、就きたくなかった。

ゆうの中で仕事はバイ菌と同じぐらいヤバい。仕事に就いても小一時間で家に帰って来てしまいそうだ。


「ゆう君、進路決まった?」


「こら!神谷、邪魔するんじゃない!」


渚は、廊下でゆうを待っていた。


「先生、ゆう君は将来わたしの夫になるんで仕事しなくてもわたしが稼ぎます。つまりはヒモです。」 


ヒモは、嫌だな‥‥。


「先生!俺、前向きに生きて行こうと思います。」


「木村、前向き生きるために進路だ!まぁ、とりあえず大学か専門学校どっちか選べ。」


「考えておきます。」


「分かった。親御さんと相談して決めろ。」


帰り道ー。


「働きたくないって正直に言いたいな。」


ゆうは、隣でスキップしている渚に言った。


「今は、それで良いんじゃない。」


と軽く渚に言われた。


「お前は、勉強も出来て女優もしてるから俺みたいな凡人の気持ちは、分からんだろうな。」


「分かるよ、好きな人が悩んでるんだもん。」


渚にしては珍しく真面目な答えが返って来た。


「お前は、進路決まったのか?」


「決まってる訳ないじゃん。」


え?


「ゆう君を、幸せにする。それがわたしの進路。」


なんじゃそりゃ


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