残念ながら、僕たちが青春時代夢中になったものは何の役にも立ちませんでした!(涙)
ガチ岡
第1話 用済みの名探偵その1
僕こと、
まず六時半にセットした目覚ましを止めるところから僕の一日は始まる。
起きてすぐケトルでお湯を沸かしながらその間に洗面所で顔を洗って眠気を覚まし、ケトルで沸いたお湯でインスタントのコーヒーを入れて一気に飲み干す。
その後、昨日学校帰りにスーパーで買っておいた食材と昨日の夕食の残り物を冷蔵庫から取り出して簡単な朝食を二人分作る。
そして朝食を作り終えた後、僕は身だしなみを整えて、ゆっくりと階段を上がって二階へ向かう。
階段を上ったすぐ横にある一室、――愛する義妹の部屋の前にたどり着いた後、僕は一度『コホン』と咳払いをしてゆっくりとドアを開く。
僕は決してまめな性格ではないけれど、それでも愛する義妹に好かれるための努力は惜しまない――愛されるお義兄ちゃんへの道は険しいのだ。
「
そう言って、僕は義妹の部屋のドアをゆっくりと開けながら部屋に入る。
愛すべき義妹はすやすやと寝息を立てて部屋に侵入した義兄に気づくこともなく眠っている。(そして言うまでもないがその寝顔は超かわいい)
僕は十五秒ほど義妹の寝顔を見つめた後、意を決して窓まで歩き、一気にカーテンを開ける。
窓からはとても強い朝日が差し込んできた。
――今日はいい天気だ。
「んん……お義兄ちゃんおはよう」
窓から降りそそぐ日光をもろに浴びた義妹は目をこすりながらゆっくりと目を覚まして僕に朝の挨拶をする。(もちろんそんな仕草も超かわいい)
「おはよう、礁湖。朝ごはんできてるから支度が済んだら下りておいで」
この愛らしい少女は
このようにして僕こと――『義妹職人』海野杜達也の一日は始まる。
「えー、お義兄ちゃん、今日の朝ごはんはイカ墨パスタじゃないの!?」
僕に起こされてから五分ほどたった後、礁湖はリビングに下りてきてテーブルに並ぶ僕の渾身の朝食――目玉焼きがのったベーコンと別皿に盛りつけられたサラダ、それに適量にバターが塗られた食パンを見て開口一番そう言った。
「だから礁湖、いつも言っているけど一般的な家庭では朝食にイカ墨パスタは出さないんだよ。毎日決まって同じクレームを入れてくるのはいい加減やめてほしいんだけど」
「えー、今さら我が家で『一般的な家庭』を参考にされても困るよ。それにお義兄ちゃんの作るイカ墨パスタは世界一美味しいんだから。毎日三食イカ墨パスタでも生きていけるまであるよ!」
「はいはい、可愛い義妹にそこまで評価されてお義兄ちゃんは嬉しいよ。でもそれはまた今度時間があるときに作ってあげるから今はベーコンとパンで腹を満たしてくれるとお義兄ちゃんはもっと嬉しいかな」
「……絶対だよ? 絶対今度作ってね」
「はいはい」
そう言って不満を言いながらも礁湖と僕はテーブルについて食卓を囲む。
『いただきます』
二人でそうやって手を合わせ、一緒にいただきますを言って朝食をとる。
確かに礁湖の言う通り、きっとうちは『一般的な家庭』とは少し異なっているのだろうけれど、僕は今の生活に満足しているきっとそこには後悔なんてない。
――きっと後悔なんて、ない。
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