第15話 パンドラの外に出る

ユウキ:あー。これ、転移者限定だよな

優樹:わぁい。二回連続ボクの出番会ったよ。

ユウキ:調律者、ちょっと答えろよ。

優樹:んー。そうだね。パンドラ内に転移してくる人の条件って、大前提で「元の世界に絶望している」があるんだけど……。万一転移元の世界に戻りたいなら条件あるよ。一つ、元の世界と縁が切れていない。二つ、絶対に元の世界に戻るっていう意思。三つ、元の世界の触媒があること。……かな。ついでに日本に戻るのは結構難易度低いんだよね。

ユウキ:あ、そうなの?

優樹:ここだからいう話だけど、パンドラ……特に-八番街-は日本所縁の触媒ごろごろ堕ちてるから……で、一番厄介なのは一番かな。元の世界に縁が残ってること。これがなかなか……

ユウキ:あー……俺は体残してきてるからいいけど……

優樹:君じゃないけどね。それ。

ユウキ:いや、そういう世界線を作ったんだからアレだって俺だし……ごにょごにょ……普通は堕ちた時点で縁切れるわな。仮に両親・友達・学校や職場の人とかが覚えている、部屋を残してくれているとかがあればワンちゃん……だもんね。

優樹:うん。それは大前提。失踪扱いで探してくれてればまだいいけど、死んだ扱いにされると縁切れちゃうしね……。あと、こっちの世界に馴染めば馴染むほど縁は薄れていくから……戻る気あるならパンドラのご飯食べないほうが良い……。

ユウキ:結構ハードゲーだよな。

優樹:まぁ、なんにしても時間の問題だよね。

ユウキ:だなー。戻る方法は、まぁ、お前に戻してもらうのが一番確実か。

優樹:っていうか、それしかないよ。あと、時間軸がどうなるかは……ケースバイケースだね。世界によって流れてる時間って違うし。ユウキだけは特別だけど。

ユウキ:俺はそのために準備してるしなぁ……。そういう世界線を作ったわけだし。

優樹:ほんとにやるの? アレ。

ユウキ:やる気はあるよ。

優樹:ボクには正解に感じないんだけどねー……。

ユウキ:まぁまぁ。俺のことはともかく。

優樹:まぁ……キミが良いならいいけどぉ……。


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