第26話 転学初日
初登校の日を迎えた。
少年は電車で登校したが、定期券の購入などに少し手間取った。
学校に到着すると転学試験を受けた応接室へ案内される。
「始業式の後、二学年だけを講堂に残すのでその際にご挨拶の場を設けます。」
転学試験に参加していた初老の男性職員がにこやかに話す。
どうやら普段はにこやかにしているのが特徴らしい。
応接室前の廊下が学生の声でざわつく。
どうやら式が終了したらしい。
「では参りましょう。」
男性職員に促され、少年は講堂の舞台裏に通された。
壇上にいる恰幅の良い男性教師に手招きをされる。
少年は緊張の面で壇上に立つ。
一学年40×6の240人定員という事もあり少年を見る目が多く、非常に緊張する。
口の渇きを抑えながら、少年はマイクを握ると挨拶を始める。
「今日からお世話になります。不慣れな事が多くご迷惑をお掛けするかとは思いますが、何卒よろしくお願いいたします。」
社会人の定型型挨拶のようで固い。
在校生も面食らった顔をしている。一拍置いて拍手が少年を迎えた。
どいつもこいつも面構えは所詮、ぼんぼん。ぬるい生き方をしているんだろうなと少年は冷ややかにそう思った。
その日は挨拶が終了すると半日で終業なので少年は家路につく。
「狼が羊の群れで牙を抜き、生きていくのが我が人生・・・か。」
少年は彼等の何不自由ない生き方と自分の生き方を比べて、ひどくコンプレックスを感じたのは言うまでも無い。
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