【漫談】苦手なところ【番外編】

私ね、中学生の時に同級生に絡まれたことがあるんですよ。

みなさんもそういった経験あると思うんですが。

なんだ、中学校から帰る時にね、傘を持ってこう帰っていたら、ぶつかってもいないのに当たったと文句を言ってきてね。まあいわゆる外れ物というんですか。周りとは混じり合わない人でしてね。これがすごい嫌な思い出で、私の記憶に残っているわけなんですよ。


んで、月日は流れて私も二十代になって、仕事でも大事なところでいつもミスをするだらしない大人なんですけどね。ただ人間関係も広がってそれなりに色々遊びも覚えるわけですよ。である時ふと気が向いたからって、二十代になってから野球を始めたんですよ。そうしたらトントン拍子でうまいこと話が噛み合って、この前草野球の試合に呼んでいただいて。でも仕事でも大事なところでミスするからなあ、そういう、いわゆる強心臓の真逆ですよね。負けてる場面で打席が回ってきて、私がヒットを打つかどうかが大事な局面がやってきたわけです。ところが大事なところで弱い奴ってのは、こういうときに昔の嫌な思い出を思い出すわけですね。


そしたら、思い出すんですよ。例の外れ物。中学生の時の。

あれが、「おい、今傘がぶつかったぞ」っていう台詞が打席に立ってる時に頭の中を駆け巡って離れないんですね。しかも一番いやらしい、この一番手の届かない外角低めのところにばっかりピッチャーがボール放ってくるんですよ。それで嫌だなあなんて思ってたらだんだん持ってるバットが傘に見えてきたりして。結局打てなかったんですね。そんなことを、ぽろっと漏らしたらそれが対戦したチームの選手に伝わったそうでね、なんかこういう風に言われてたそうなんですよ。


「あいつは、アウトローに弱かった」、とね。

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