言う事を聞かない

『アイツ、ダンジョン内の空間において待機してろって言ったら、暴れ出しやがったんだ、ダンジョン中があいつの雷撃でめちゃくちゃだ』

「お、落ち着いてくださいよ、ねぇシスタ、基本的にマモノはダンジョントレーナーに服従するんじゃないの

にそうでございます、ですが何事にもは存在します、サンダーバードが暴れてるのもそれでございますよ」


 液晶越しにダンジョントレーナーは真心に詰め寄る、落ち着くように真心が言っても、これでどう落ち着けばいいんだと、ダンジョンの酷い有様を見せる。彼が作ったであろうマモノ達は暴れるサンダーバードに弓や槍で応戦するが、羽による風圧で自分事吹き飛ばされ、サンダーバードがダンジョンの壁に雷撃を放ち、その瓦礫に埋もれ更にマモノが潰されていく。

 やがてというか、順当にダンジョンに青い空が見える大穴が出来ると飛び立ち、空へ飛び立ち、更にダンジョンに雷撃を浴びせ続ける、もはやダンジョンは崩壊の一歩手前と言っていいほど荒らされてしまっていた。


 さて、ではなぜサンダーバードは好き勝手に暴れているのか?

答えは簡単だ自分たちに置き換えてみて欲しい、いきなり政権が民主主義から君主制になり今日からお前らは俺の命令通り動け働け跪けと言われて、納得するか?

 否だろう、知識や知性がある奴なら猛烈に反発するだろう、そういう事だ。

更に言えばサンダーバードはのお願いしか聞き届けない。

 真心でさえというワンクッションを置かねば命令出来ないのだ。


つまりはだ。


「えっと……多分、アンナが大人しくしてって言ったら、大丈夫です」

『そのアンナは人間か? いくらでも礼ならするから、こいつを大人しくさせる為、俺のダンジョンに来いと君から行ってくれないか』

「ムリです」

『もしかしてマモノか? ならそいつをかけてダンジョンバトルだ!』

「ムリです」

『はぁ!? じゃあ、こいつに命令をしてたのは誰だって言うんだ!』

「私の異世界の一人の少女です、神様の約定、ご存じですよね」

『…………ちっくしょぉ! こうなるのを予想して異世界人を利用したのか!』

「いえ、ただの偶然です、私がサンダーバードにビビっちゃって、その子にサンダーバードが懐いてるのを良い事にそうしてるだけなんです」


 そう神様の約定である自分が出したマモノやダンジョンバトルで獲得したマモノ以外の生物をダンジョンバトルの間以外に別の異世界に放出したりすることを禁ずるというものによってサンダーバードに唯一お願いが出来るアンナは真心の住む島以外に行く方法は限られる、定住なんて持っての他なのだ。

 液晶の前でダンジョントレーナーは、もう終わりだ、なんて貧乏くじを引いちまったんだと嘆き、膝から崩れ落ちてしまっていた。

 その姿に真心は自分のマモノの管理がずさんなせいでこうなってしまった事に反省する、前にマモノ達の事を大切にしたいと言ったばかりだと言うのにだ。

 とりあえず、さすがにこれ以上は不味いだろうと提案を始める。


「えっと、よろしければ引き取りましょうか?」

『……どうやって?』

「私とのダンジョンバトルにわざと負けるとか?」

『それしかないか、勝負内容は、適当にじゃんけんでいいか、液晶越しでいいよな、俺は魔力を賭けに出して貰いたい』

『はい、なんかすみません、私はサンダーバードを賭けに出してもらうで』

『いや偶然の産物だけど客観的に見ればいい方法だと思う、協力してくれる異世界人がいたら俺も使うかな、それじゃ、じゃんけんぽんのぽんで手を出す事、俺はグーを出す、それじゃいくぞ、じゃん・けん』

「『ぽん』」


 液晶の前のダンジョントレーナーは疲れ切った顔で矢継ぎ早にダンジョンバトルを提案し、真心も申し訳なさそうにそれを受ける、その言葉にダンジョントレーナーは苦笑いしながら適当なルールを用意して、ダンジョンバトルを行う。


 史上初だろう。死傷者を出さず一瞬で勝負のついたダンジョンバトル勿論勝ったのは真心、サンダーバードは島へと戻り、アンナのいる森へと向かった。 後日サンダーバードは真心の頭上にのみ雨雲を作り続けたとかなんとか。

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