屍人の橋
「真心様、敵の一群が引いていきます、その代わりに先ほどまで後詰をしていた兵が上がってきております、何か荷物を……石でございますね、それなりの大きさです」
「堀を埋めるつもりだ、その方向にゴブリンの攻撃を集中させるようにいって」
「かしこまりました」
三治がリッチAに渡したのは背負わなければ運べない程の大岩であった。
ゾンビ達はそれを苦も無く運びながら進軍してくる、ゴブリンが弓で攻撃するのだが持っていた石を前に出し盾代わりにしてどんどん堀へと進軍を続ける。
とうとう堀の前にまで到着しどんどん岩を放り投げ堀を埋めていってしまう。
次を運ばせない為にゴブリンはゾンビを攻撃し打ち倒す、しかしそれは悪手であった
「まずいですね、ゾンビ達は自らの体で堀を埋めようとしています」
「七辺君マモノをなんて思ってるのよ、こんな戦い方酷いよ」
ゾンビが死んだとき他のゾンビが死んでしまったゾンビをそのまま堀の中に落とし自身もまた堀の中へと降りていく。これにより急速な速さで土塁を超える橋が出来てしまうのだった。
「名付けて屍人橋って所かな? マモノなんてこうやって使ってなんぼさ」
マインに戦況を聞き、三治は陣中で一人含み笑いをしながら趣味の悪い名付けをする。そろそろ日が暮れるがまぁ屍人には関係ない、だがゴブリン達にはきついだろう。このまま楽勝だろう、そう思うととうとう声を上げて三治は笑うのだった。
「日が暮れ始めましたね」
「敵の攻勢は?」
「変わらずですね、屍人の橋から土塁を登ってくるマモノもおり、こちらは負傷者が出始めております」
「すぐに交代要員に来てもらうように伝令を」
「かしこまりました」
真心も薄々思っていたが、相手はこちらを休ませるつもりなんてない。
疲弊させ、降伏を狙う作戦だろうか。だとしたら何て陰湿な戦い方だろうか。
真心はこんな戦いが初めてのダンジョンバトルなのに甚だ不満を感じていた。
「な~んて考えてるのかね? だとしたら勘違いしないで欲しいね、僕は僕の作ったマモノの能力を把握し確実に勝つ方法としてこの戦法を使ってるんだ」
別段三治だってこんな陰湿な戦い方がとても素晴らしく好ましいと思ってはいない
ただ、今作れるマモノで確実な勝利を手にするならこの方法がベストだと結論を得たからだ、他の者なら別の策もあるかもしれないとは三治だって思ってる。
「おっと、何人かゴブリンが追加で出てきたわ、何か穴みたいなのが見えるわ」
「おそらく地下に秘密通路でもあるんだろうね」
「壊す?」
「いや、屍人橋を作って二の丸侵入が優先だ」
三治は冷静に真心を倒す為の指示を出すようにマインを伝令に出すのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます