秋本夢美――①

<お母さん、そして夢美へ


 こんなことをしてしまってごめんなさい。私なりにどうにかしようと頑張ったけれど、もう限界です。お父さんがいなくなってから、ずっと一人で私と夢美を支えてくれたお母さんには心から感謝しています。今日まで私を育ててくれたこと、本当にありがとうございました。


 夢美も、いつも一緒に過ごす時間は楽しくて、私にはもったいないくらいに優しい妹でした。こんなことになって、きっと驚かせて、悲しませてしまっているかもしれないけど、許してください。こんな情けない姉で、ごめんなさい。


 二人とも、どうか私のぶんまで幸せになってください。本当に、今までありがとう。この家に生まれてこれて良かったです>


 遺書、と言う物なのだろう。


 お姉ちゃんが、死ぬ間際に残した最後のメッセージ。


 ――どうして?


 真面目なお姉ちゃんらしい綺麗な文字で書かれた文面を呆けたように見つめて、あたしは胸中で疑問を膨らませる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る