《教えて、サポーター先生!1》

アルティアと話してから3日。


俺はとにかく言われた方向に向かって歩いていた。


『こっちが東で良いんだよな?』


〈肯定です!街まで約1年程です〉


サポーターが俺の質問に簡潔に答えてくれる。


誰もいない砂漠でサポーターとはいえ話ができるのは嬉しいんだけど、もう少し話し方をどうにかなんないかな。


『なあ、もう少し話し方をどうにかできない?』


〈理解不明。説明求めます。〉


『いや、今みたいな機械的な話し方じゃなくて滑らかに話せないかなって?』


〈了解!実行可能か検索します!検索中です…〉


そう言って黙りこんでしまったサポーター。大丈夫かな?


〈実行可能。人間の話し方を学習!最適な話し方を学習!完了!実行しますか?〉


『あ、ああ』


〈実行!改めて宜しくお願いします。マスター!この話し方よろしいですか?〉


『だ、大丈夫!それにしても声も急に変わったな?』


そう。今まで中性的な声だったのが女性の声に変わった。出来る女性って感じだ。


〈マスターが男性なので女性の声にしました。男性の声がよろしければ変更しますか?〉


『いや、良い。今のままで!』


砂漠でたった1人なのに男と話し続けるのは何か嫌だ!


『なあ、お前ってアルティアが作ったんだよな?』


〈いいえ、女神アルティアは私を世界樹の記憶から引っ張ってきて、マスターのサポーターとして付けただけです!〉


俺が疑問を尋ねると新しい事実が出てきた。世界樹だって!?ファンタジーの定番じゃないか!


『世界樹から引っ張ってきたってどういう事?』


〈世界樹とは、あらゆる世界に繋がって存在する管理装置です。アルティアはこの世界に存在する世界樹からアルティミアの記憶をコピーし私をサポーターとして付けました。〉


『管理装置?』


〈はい。世界樹とは創造神が全ての世界を作った際に世界が崩れない様に作られたものです!世界の全てを記録し管理しています!現在、私は世界樹とは独立していますがアクセスする事は可能です。〉


『全ての世界を創造神が作った?あれ?でも、アルティアは私達が世界を管理しているって言ってなかった?』


〈現在はそうです。ある時、創造神が姿を消してしまった事で残された世界の崩壊を防ぐ為、5柱の神が世界樹と繋がり管理する事にしました。


『なるほどね。でも、何で創造神は姿を消したんだ?』


〈不明です。世界樹にも記録はありません!残された神達も知らないでしょう!〉


何でだろ?死んだとか?でも創造神って事は1番偉い神様って事だよな?う~ん。わからん!


『ところで、地球にも世界樹ってあったの?』


〈あります。ですが、地球の世界樹は現在、地球の神によって姿は見れなくなっています。〉


『何で?』


〈かつて、地球に住む人間達が争っていた際に世界樹を傷つける可能性があり隠したそうです!〉


マジか!見てみたかった!


『この世界の世界樹は何処にあんの?』


〈エルフ達が住む大陸に存在しております!〉


エルフいるんだ?会ってみたいな。


『よし、じゃあ今度はこの世界について教えくれ。常識とか!』


〈はい。まず、この世界には5つの人間の種族が存在しております!人族、魔人族、獣人族、エルフ族、小人族です!それらは5つの大陸に別れており、そこから更に国が複数に別れています!〉


『めんどくさいな。何で同じ種族で国を分けてるんだよ!』


〈仕方ありません。人間は意見が違うと争うものですよ?地球でも同様ですよね?〉


まあ、確かに。個人でも国でも争いは起きてるからな、地球でも。


〈続けますね?それぞれの種族は仲の良い種族もいれば対立している種族もあります。特に、人族と魔人族の仲は最悪ですね。他にも仲の悪い種族もありますが、常に争っているのはこの2種族だけですね。〉


『獣人族は?アルティアは獣人は差別されてるって言ってたけど。』


〈獣人は他の種族から動物の様に扱われていますね。獣人は奴隷にされる者も多く、あまり自分達の大陸からは出てきません!唯一、エルフ族だけは他の種族を差別しませんので獣人も普通に生活しております。〉


よし、獣人族とエルフ族は仲良くしよう!他の種族は敵対するなら容赦はしない!


『質問、この世界の神様の扱いってどんな感じ?信じられているの?』


〈はい。この世界には複数の教会があり、それぞれの神に祈りを捧げております!中でも5柱の神達は昔に姿を見せた事があるため、アルティミアの神として多くの人に信じられています!他にも竜神など人間が神と呼ぶものは多く、この世界では神を信じない者はいません!〉


『アルティアって凄い奴なんだな』


〈ですから、信者の前で神を馬鹿にするような事を言うと面倒な事になるので気を付けて下さい〉


はい、気を付けます!


〈それから、国にも王族を頂点として貴族達がおりますので目をつけられないよう注意した方が良いでしょう。〉


『目をつけられたら?』


〈逃げることをオススメします!〉


なるほど。まあ、揉める必要はないからな。


『あ、ところで今いる場所は何処の大陸なの?』


〈ココは人族が住む大陸の一番端に位置する砂漠です〉


マジか!よりにもよって人族が住む大陸かよ!


俺には最悪の場所じゃないか!とにかく嘆いても仕方がないし、まずは街に着くこと。


それから姫華姉さんを探し出す。とにかく情報を集めないと!

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