第6話 手に入れる
「あなたを私の家来にしてあげる。」
誘拐未遂事件の次の日から、エリザベスはブラピに自分の家来になるように言い続ける。
「断る。」
しかしブラピはエリザベスの申し出を拒み続ける。
「お金をあげるわ。だから私の護衛になりなさい。」
「断る。」
ブラピは大金の誘惑にも負けなかった。
「あなたを剣士にしてあげる。だから私の警護をしなさい。」
「断る。」
ブラピは王族のコネで剣士にしてくれると言われても断った。
「家を買ってあげる。あなたが一生働いても買えないような大きな家よ。だから私の執事をしなさい。」
「断る。」
お金、地位、名誉など、王族の権力でブラピを自分の家来にしようとエリザベス姫は試みるがブラピは首を縦に振らなかった。
「みんなが私に頭を下げてゴマを擦って寄って来るのに、どうしてあなたは私を拒み続けるのよ!?」
「俺は今の生活に満足している。それに金に富に名声は、自分の力で手に入れる。貧乏なんで、王族や貴族のコネは大っ嫌いなんだ。他を当たってくれ。グッバイ。」
ブラピの信念である。ブラピはエリザベスの元を去り、クリスティーナの方へ去って行く。
(か、か、カッコイイ!)
しかし、フラれても王族のお姫様は貧乏人に夢中だった。
「何が何でも、あなたを手に入れるわよ! どんな手を使ってもね! だって私は王族の娘なのですから!」
エリザベスは次期女王になるべく子供の頃から王室のお金持教育を受けてきたので、わがままである。欲しい物は何でも手に入れてきたのだ。
「セバスチャン。」
「はい、お嬢様。」
「何かブラピに弱点はないの?」
「あります。エリザベスお嬢様。」
セバスチャンは、既にブラピのことは隅々まで調べている。
「ブラピは孤児です。」
「孤児!? なんて可愛そうな!」
「ブラピのいるハリウッド孤児院は、国からの補助金で成り立っています。この援助が無くなってしまえば、多くの孤児の子供たちが路頭に迷い餓死して死んでしまうでしょう。」
「さすがセバスチャン! すぐにハリウッド孤児院の補助金を止めて頂戴!」
「はい、かしこまりました。」
「ブラピ、これであなたは私のものよ! オッホッホー!」
エリザベスの手によって、ハリウッド孤児院の補助金は停止された。
「困ったわ!?」
ハリウッド孤児院のシスター・デミが頭を抱えて苦しんでいる。
「どうしたの? デミグラスソース。」
「その呼び方はやめなさい。」
「急に国からの補助金が止められてしまったの!?」
「なんだって!?」
苦境に立たされるハリウッド孤児院だった。
つづく。
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