第5話 ヤンデル記念ファイナル決勝

 今、決勝が始まった。

 ウマ達がゲートにそれぞれ入っていく。


 1番 マチカドクラカレー

 2番 ミホノトレセン

 3番 グラスワイパー

 4番 サクラノミヤシンノ


 ――当然、これはパソコン版のゲームの中の話である。


 ウマの名前のとおり、このゲームは某有名競馬ゲームのパクリであり、実在した名馬の関係者から名称使用承諾を得ていないことから、その名馬に似た微妙な名前が付けられている。

 それでも、1番には土浦市の観光施設と名物、2番にあっては美浦村の某施設名なのだから、その名前を持ち出すとは、やりたい放題である。


 今、僕らは佐那美の部屋におり、佐那美のベッドとテレビの前をぶんどって、大画面テレビに映し出されているウマ達が走り出すのを食い入る様に見守っていた。

 その状況――いや、『その殺気』はまさに、競馬場のパドックや観客席に佇む猛者そのものである。

 ちなみにマチカドクラカレーのトレーナーは眞智子で、ミホノトレセンがうちの美子。またグラスワイパーのトレーナーがクリオ、サクラノミヤシンノは佐那美となっている。

 

 当初、歴史に残る名馬の名前を弄ったトカイTOやシロクロマッキー、スペクタルワーク、コールゾシップなどのウマを巡って誰がトレーナーになるかと揉めていたが、最終的に僕に決めて欲しいとの要望があり、独断と偏見でこの様な組み合わせになった。

 その理由は簡単だ。

 それぞれの名前に似ているウマを充てただけである。他意はない

 ただ、眞智子だけはちょっとばかり愚図っている。


 「……いや、私はやっぱりトカイTOの方が良かったんだけど――相性も良かったと思うんだけどなぁ」


 彼女が未練たらしく僕を睨み、ブーブーと文句を言っている。

 いや、キミの場合は本家の声優と名前が被っているだけだからっ。

 

 「エアシャ〇ールの方がよかった?」


 ちなみにそのウマはかなり尖ったキャラである。


 「――いや、なんか昔のこと思い出すから、やっぱりこれでいいわ……」


 眞智子は僕から目を逸らしため息を付いた。余程消したい記憶なのだろう。

 とりあえず説得成功である。

 こうしている間に全ウマがゲートに入り、まもなくゲートが開放された。

 


 『今、スタートです!』



 ようやく始まった……なんとなくこの後の行動が分かるのだが……


 「行けーっ! ぶっちぎれーっ、私の――」


 「このマチコノタンサイボ、横で五月蠅いっ、死〇ッ!」


 「ちょっとミコノブラコン! 私のウマの進路塞がないでよ。邪魔なんですけど!」


 「あーっ、クリオヤンダーがすぐ後ろにいる! 行けっ、そのまま驀進だっ!」


 酷い罵り合いである。

 それはもう、馬券を握り締め殺気立つオッサンそのものであり、彼女らも彼ら同様に拳を突き出し、それぞれ育成した馬に檄を飛ばす。

 佐那美に関しては取手競輪場にいるガラの悪いオケラ客そのものだ。

 そのオケラ客が、奇跡の逆転劇で決勝を決めた。


 「やったーっ! 見たか、あたしの――」


 「くっそーっ、サナミバカチンオーに負けたーっ!」


 ――とまあ、決着はついたけど、競馬ゲームと言うより、どさくさ紛れの悪口大会であり、酷い有様だ。

 ちなみにその制作者は僕の脇で正座して項垂れていた。

 頭がタンコブを拵えて今にも泣きそうである。


 そう、彼がこのゲーム『ウマ男Ver2』を作成した地端元家、佐那美の弟である。

なお、先ほど佐那美の心に深い傷を与えた『ウマ男』も元家が開発したものだ。


 「あぁ……僕のお金がぁ……」


 元家はしょんぼりしながら、大きなため息を漏らした。

 彼が言うお金というのはウマ男シリーズのプログラム開発費のことである。

 佐那美は、缶詰にされた(?)ウマの課金代と言っていたが、それは正しくない。

 あのゲームは製品として日の光を浴びることのないものだから、課金自体がありえないのだ。

 それでも佐那美はプログラム内容に納得いかないということで開発費を回収してしまったのだ。


 「何で安楽死みたいな妙なところをリアルに再現しちゃったの? 佐那美さん、あのウマに思い入れしていたみたいだし」


 「いや、『映画に小道具用にゲーム作れ』って言っていたのうちの愚姉ですよ。しかも『出来れば何かのパクリ』とか『変なところで現実感出すクソみたいな』などリクエストしたんですからね」


 あっ、そうなんだ……それならわかる。

 彼女なら指示しかねない。

 佐那美は映画用の笑いのネタとして、この手のどうしようもない道具を使うのが好きだからなぁ。


 「それって、缶詰にしちゃった件は自分の指示した結果ってヤツなの?」


 自分で言うのもなんだけど、缶詰は余計な表現である。

 元家も若干困惑しながら答えた。


 「ウマを缶詰にしたっていう表現はプログラムに入れていませんが――まぁ、彼女の指示どおりになった、ということになりますかね。しかも、あの人、自分で指示していたことなのに、数日後にはすっかり忘れているってパターン多いですから……ホント、その日の気分で指示してくるんですから、たまったもんじゃありませんよ」

 

 確かに、佐那美は昨日指示した内容が、次の日には全く違う内容に変更することは多々ある。

 パクリとはいえ、これだけ再現させるのには大変な作業だったのだろう。

 

 「その――元家君としては、あくまでも3万円は手間賃だと……」


 「そうですよ。俺、言われたとおりプログラムしただけですよ! ソレなのに姉貴……酷いですよね」


 そういえば、佐那美はお金のことに関してはもの凄くシビアだからなぁ。

 自分で指示した内容はすっかり忘れるくせに、お金のことについてはちゃんと覚えているから質が悪い。

 結局、佐那美は元家から開発費を取り上げられた挙げ句、あのゲームの改良版である『Ver2』と共に佐那美専用チートウマ男を提供させたのである。

 それはあんまりである。


 なお、今回差し出した『Ver2』は、それぞれウマ男の育成だけではなく、友達同士でウマ男を持ち込みリアルタイムでレースさせることが出来るものになっている。

 また、観客はそれぞれの馬券を買って楽しむこともできるそうだが、僕らはまだ未成年なので馬券システムについてはプログラム上使えないように封印させた上で遊ばせているので断りを入れておく。


 「こんなに頑張っても、姉貴はその3万円すらくれないんですもの……こうなったのも、みんな神守さんのせいですからね」


 「へぇっ、僕のせい?」


 元家の言う『神守さんのせい』とは、以前出演した映画のギャラの件のことだ。

 それは、映画完成直後にマスコミから取材を受けた際に、彼らから執拗にギャラの話を質問されたので、冗談半分で社長にギャラを興行収入1割を要求したものだ。

 それに対して社長である地端の親父さんは、話題性を狙って僕とクリオのギャラを興行収入の4割にしてくれた……のだ。

 確かにその話は話題となり、結果的に映画興行収入で100億円を突破したのだが、それはあくまでも映画館の収入などが含まれている。

 それを差し引くと5~6割が残るが、そこからフィルム配給元と分配することになり、最終的にうちの会社に入ってくるのは興行収入の2割程度になってしまうのだ。

 それなのに僕らのために興行収入4割を払ってしまえば、会社としては大損害である。

  

 ――つまり、社長は会社の収入とすべきところを全体の興行収入ということでマスコミに宣言してしまったわけで、これは完全な大ポカである。


 そのことを知った佐那美は、泣きながら親父さんを木刀振り回して追いかけたそうだ。

 さすがに色々と会社に与える影響も大きかったので、もう一度話し会うことになり、佐那美と親父さんがバチバチとやりあった結果、僕が最初言っていた興行収入の1割……つまり10パーセント、クリオについては3パーセントで落ち着き、皆それで妥協した。


 だが、佐那美の頭の中では、親父さんが勘違いしていた会社の収入の割合だと思い込んでいた様で、それが実は会社収入の半分以上であったことを知るや否や、今度は僕の家に殴り込みにきたのだ。

 ただ、何故か彼女の手に僕の名前と佐那美の名前が記された婚姻届が握り締めていたことから、美子と美子の緊急メールで駆けつけた眞智子に返り討ちにされたことは言うまでもない。


 ――それ以降、佐那美はお金に対して、それ以上にシビアになった。


 「あぁ、あの映画の件で、か……」


 「うちの姉貴『神守君に結婚してもらわないと会社潰れちゃう』って婚姻届一生懸命書いていましたよ」


 「そうか、なんだか君にも迷惑かけちゃったみたいだね。お詫びをしなくっちゃなぁ……あっ、そうなると佐那美さんがあの調子だから、現金渡すと火に油注ぐことになりそうだし――」


 普通の高校生なら『頑張れ』と励まして終わる――だが、僕は佐那美が発狂するほどギャラを頂いた俳優でもある。

 ここで、詫びということで彼との信頼を獲得しておいた方が今後の佐那美対策になるだろう。

 だから、投資と思って出費することにした。


 「えっ、何か買ってくれるんですか? だったら俺はグラボがいいです。パソコンの処理性能を向上させたいんで」


 彼はパソコンの部品であるグラフィックボードを要望した。

 ピンからキリまであるだろうけど、彼の場合はピンの方だろう。

 ならば、近いうちに彼を連れて秋葉原に行くか。


 ――いや、待てよ……どうせなら佐那美を連れていって、秋葉原でパーツ買った方がいいな。


 この前、佐那美を除け者にしたから、彼女を連れて行った方がご機嫌かも。

 一緒に連れて行けば、パーツも必要経費で落ちるかもしれないし……

 それと、地端姉弟だけだと他の連中がキチるので、他の連中も連れて行った方がいいかもしれない。

 仮に他の連中を連れて行って佐那美の機嫌を損ねて、パーツ代は自腹切らされたとしても、久しぶりに秋葉原巡りするのも悪くない。


 よし、決まった! 秋葉原でお買い物だ。


 「わかった。あとで皆で秋葉原へ行こう。そこで現物見て佐那美さんに必要経費だと説得してみよう。ダメなら僕が出すよ」


 僕はそう提案すると、彼は急に明るい表情で「ありがとうございます。これからは『お兄さん』と呼ばせてください!」と僕の右掌を両手で掴み大変喜んだ。

 よかった、この件はこれで片付いた。



 ――と思った矢先、急に元家が前のめりにつんのめり倒れた。



 「……えっ、元家君? どうした」


 僕は倒れた元家を起こしあげ、ふと背後を振り返る……そこには右素足をまるでサッカーボールをシュートしたかのように蹴り上げた姿の美子がいた。


 美子は無表情で元家を睨んでいる。

 完全に怒り心頭……てこともなさそうだが、ちょっとムッとしている。


 「おまえ、言い方考えろ。それだと私がおまえと結婚するみたいじゃないか。それは絶対にありえないから……」


 美子は鋭い目つきで元家を威嚇した。怯える元家、何が何だかわからず「なんで、なんで?」とパニックを起こしている。

 ちなみにいつもの美子であれば、そこらにいる女子中学生となんら変わりないが、それが俺がらみだと、ガラリと人が変わる。

 今回はこの程度で済んだが、もし元家が『佐那美姉さんと神守さんが結婚するから、お兄さんって言ったんだよ』って間違えても発言した日には彼女からバッチンバッチンと顔面を容赦なく殴られていただろう。

 

 そして、いつもなら眞智子やクリオあたりが、いきり立つ美子に対して『おまえは佐那美の弟と結婚しろ、私はおまえの兄さんと結婚するから』等ちょっかいを掛けるのだが、今回は彼女らはジッと美子の様子を覗っているだけであった。

 余りにも不自然だったので、咄嗟に僕は彼女らに「今日は参戦しないんだね?」と確認してしまったが、彼女ら真顔で掌を左右に振って否定した。


 「まぁ、普通に考えれば礼君がお兄さんになってくれれば、会社的に楽だろうし」


 「そうそう、レイの財力があれば、地端家や神守家は親子三代喰っていけるとおもうよ」


 珍しく、大人の対応で答えた……ていうか無表情で淡々と答える様が逆に恐ろしい。

 だが、そんな彼女らの感情を逆撫でするトラブルメーカーはここにいる……



 「じゃあ、あたし神守君と結婚していいんだね」



 しれっと佐那美は俺が抱きかかえている元家を引き剥がし、チャッカリと僕の腕にしがみついた。

 その瞬間、僕の周りで何かがプチっと切れる様な音がした。

 眞智子、クリオそして美子が同時に無言で立ち上がり、佐那美をボコボコと蹴り始めた。


 「ちょ、ちょっと何するのよ!」


 「うるせー、私はおまえの弟だからあえて見逃しただけだ。だがおまえは話は別だ!」


 眞智子はそう言って佐那美にゲンコツ1発を喰らわせたが、クリオと美子は無言で佐那美を殴り続ける。


 「ちょ、そこまで怒らなくてもいいでしょ三人でボコボコにしないでよ!」


 確かに三対一で暴力を振るわれては、その場にいた僕は何をしていたんだっていうことになる。

 なんか、イジメ……ではないのだが、これはあまりにも頂けない光景だ。

 仕方ない、僕が動くとするか……


 えっ、『そんなことより、さっさと僕が彼女らを止めればいいだろ』って?


 それは無理だ。下手に庇ったりすると『佐那美は庇うんだ……』とヤンデレトリオが嫉妬し、さらに輪を掛けて佐那美を殴るだろう。

 だったら、佐那美を庇うことなく、彼女ら自身にブレーキを掛けさせてやればいい。

 具体的に言うと、僕が巻き添えを喰らう形で殴られることだ。


 それにしても……嫌だなぁ……


 彼女らが佐那美に殴り付ける瞬間、その間に僕の半身をスッと差し出す。

 ポカ、ポカッという軽い衝撃と共に、美子とクリオが唖然として呆然と立ち尽くす。


 「いたい、いたい! なんで僕まで殴るの?!」


 これで巻き添え被害者が完成。

 一応、痛い振りこそはしているが、実際にはそれほどでもない。

 彼女らは佐那美に対して一応加減はしていたようだ。


 「ちょっ、おまえら誰を殴っているんだよ! やめろって」


 眞智子が慌てて、美子とクリオの襟首を掴んで後ろに引き倒した。

 眞智子に止められスッと我に返る二人。そして出てきた言葉が……


 「クリオあんた何でうちのお兄ちゃんを殴るの!」


 「何言っているの、レイを殴ったのはあなたでしょ!」


……とお互い人の所為にして自分の事を棚に上げる二人であった。

 非常に見苦しい様はちょっと不快である。止めに入った彼女もそう思った様で「おまえら、礼君に謝れ!」と美子とクリオを一喝した。

 これで、とりあえずこれでこの件は終わった。

 ホントに佐那美はトラブルメーカーである。

 シュンとする2人……そこで余計な人がボソリと一言


 「いやぁ~神守君も災難だねぇ」


 ――はい。トラブルメーカー、再びである。

 誰の所為でこうなったのか考えずにアハハハ……って笑っている佐那美に対して、僕自信も不快とおり越してかなりイラッとしたが、彼女らはもっと苛立っただろう。

 美子とクリオが拳を握り締めワナワナと震えている。

 そんな中、至って冷静なこの人が引きつった笑みを浮かべて周りの女の子に確認する。


 「……そう言えば、罰ゲームしていなかったね」


 眞智子である。こういう時の眞智子は、相手に渾身の一撃を与える仕返しする事が多い。

 さらに眞智子が他のヤンデレらに確認する。

 

 「それで、誰がさっきのレースでビリになったんだっけ?」


 「それってクリオヤンダーじゃなかったけ?」


 「ちょっと美子、私のウマに変な名前をつけないでよ! そうよ、私のグラスワイパーがビリだったのよ!」


 「じゃあ、罰ゲームな」


 「そうだ。そうだ」


 眞智子と美子がクリオに罰ゲームを指示している。

 ――って、さっきレースで勝ったのはサナミバカチンオーだったよな……何で?

 それは佐那美も疑問に思ったようで、「ちょっと何で私抜きで罰ゲーム進めているのよ!」と彼女らに文句を言う。

 だが、何かちょっとヤンデレトリオの様子がおかしい……


 「うーん……そうだね」


 クリオが何か考えている――そして数分後、ようやく口を開いた。


 「んじゃ、罰ゲームね。レースで1着だった人は、ベッドで一人で寝てね。後の三人はレイと一緒に床で寝ましょ」


 皆が一応にウンウンと親指を立てて快諾しているのに対して――


 「はぁあああ?」


――と素っ頓狂な声を挙げる佐那美。

 ん? これってもしかして、一番ビリが優勝者に対して罰ゲームをするっていうひねくれたゲームだったのか?


 「言ったじゃん。一番ビリだったヤツが罰ゲーム…ゴニョゴニョ…って」


 眞智子が悪意ある顔で佐那美を見る。

 今、『罰ゲーム』の後にゴニョゴニョと何か呟いた気がしたが……


 「そうでしょ! じゃあ何であたしが罰ゲームくらうのよ!」


 佐那美がさらに追及するが、そこで眞智子の脇にいた美子が反論する。


 「罰ゲームを考えるのはビリだった人だから! 私はこの馬鹿がそう言ったのちゃんと聞こえたわよ」


 もちろん美子が言う『この馬鹿』とは眞智子の事である。

 先ほど眞智子がいっていたゴニョゴニョとは『罰ゲームを考えること』ってことのようだ。

 

 「じゃあ、それはそれでいいわよ。でも何で私が罰ゲーム喰らわなきゃならないわけ?」


 そこで罰ゲーム発案者のクリオが一言。


 「あーっ、ゴメン。私外国人だから今、変なこと言っちゃった。ちゃんと言い直すわ――」


 ――いや、クリオさん。ちゃんと意味通じてましたけど。


 「んじゃ、罰ゲームね。負けた3人は床に敷かれた布団で寝ること。もちろん、ゲームに参加していなかったレイは私らと一緒ね。それで勝者は自分のベッドで快適に寝て下さい――これでいいかしら」


 うわっ……この人っ、自分らが罰ゲーム喰らうって言い直したよ。

 まぁ、この程度の罰ゲームは問題はないと思うのだが……

 だが、佐那美は納得しなかった。


 「はぁああああ? じゃあ、なんで神守君が床に寝る訳? 私は勝者よ、勝者の特権で――」


 そこで眞智子と美子、クリオが掌を左右に振って否定した。


 「誰も勝者に特権を与えるって話していなかったよね」


 「それにお兄ちゃんはこのゲームに参加していなかったし、私らはゲストですもの。床で寝るのが当然だよね」


 「私ら佐那美みたいにムッツリ――っていうかドスケベじゃないんで、別にあんたが考えているイヤラシいこと考えていないし、しないから」


 なるほど、そうしてくれると助かる……でもちょっと不安なところがある。それは……


 「いや――美子がいるだろ?」


 眞智子が僕の不安を代弁してくれた。

 一同が美子を見る……

 当然、美子は怒りだすがこの時の彼女は説得力がなく、ただ逆ギレしているだけである。


 さて、とりあえずはそういう事で落ち着いたが問題は彼女らの均衡がいつ崩れるのかである。

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