第6話 眞智子の黒歴史
プロモーションは試写会の後に行われた。
その時の取材陣は新聞・テレビ・週刊誌等のマスコミ7社しかいない極めて寂しいものであったが、それでもクリオは緊張のあまりトイレに籠もって出てこない異常事態が発生してしまった。
幸い、試写会の招待客の殆どがレインのファンだったので、僕が『レイン』としてプロモーションに飛び入り参加する旨佐那美に提案したところ、彼女の即決でその運びとなった。
もちろん、籠城中のクリオには美子経由で僕がプロモーションに出ている旨告げたところ、彼女は慌ててトイレから飛び出し、プロモーションが行われている舞台向かったそうだ。
彼女が舞台に上がった時、丁度僕は「サンディはピザの食い過ぎでお腹を壊した。だから出てこない」と笑いを取っていた所だったので、速攻でビンタを食らうハメになった。
観客は大笑い。
当然、それは狙ってやった事なので彼女が僕の思惑に乗った訳だ。
彼女は肩の力が抜けた様で、ハキハキとしたいつもどおりのサンディ=クリストファーが復活した。
クリオのプロモーションはとりあえずは成功で終わった。
――で、すぐに佐那美の家に戻りって打ち上げ会となる。
パーティ会場は地端家ご自慢の客室兼シアタールーム。宴会場くらいに広い。
そこに長い大きなテーブルが置かれ、テーブルにはオードブルなどが並べられている。多分、佐那美の母親である佐那子さんが、仕出屋に注文していたものだろう。
だったらクリオの歓迎会もそうしたら良かったのに……最初はそう思ったが、よく考えてみると佐那子さんは佐那美とは違ってしっかりしているから何らかの都合があったのかも知れない。まあ、いずれにしても終わったことを言っても仕方がない。
今は打ち上げの話をすべきだろう。
その特設会場のテーブルには地端夫妻、佐那美、弟の元家と、僕、美子、眞智子、クリオの計8人がそこに座ることになる。
通常は、社長の親父さんが上座に座るのだが、「俺はお母さんと一緒に端っこに座るよ。あとは好きに座ったら」と席順は早者順ということになってしまった。
当然、席順で一悶着がある訳で……
「お兄ちゃんの脇は、この私。美子が座る事は当然よね」
「美子、何言っているの? 今回の主役は私でしょ? レイの脇はわたし」
「冗談じゃないわ。家の子であるあたしが神守君の脇に座るのよ」
……と、ものの見事に言いたい放題である。
そんな中、眞智子は争奪戦に参加することなく黙ってその様子を窺っていた。
僕の視線が彼女の視線に合うと、彼女は
「私は横じゃなくていいよ。別に人んちでガタガタいうつもりはないから」
と言って僕の対面に座った。
そして残る3人がじゃんけんを始める。
――決まったのは僕の左脇が佐那美、右脇がクリオ。あぶれたのは美子だった……
美子はふくれっ面で、「じゃあいいよ。私、ここに座るから」と言って僕の股ぐらの上に座り込んだ。
「あーっ」という批難の声がサラウンドの様に聞こえる。
美子はおしりをズリズリと動かし、僕の股間を刺激する。
「ちょ、ちょっと美子さん?」
美子はウフフと上品な笑みを浮かべているが、下品に攻めないで欲しい。
僕もちょっと……て言うかかなり恥ずかしい。
佐那美らが美子を引き剥がそうと身体を乗り出した時に、聞き覚えのある声が聞こえた。
『美子ちゃん……聞こえてる?』
対面から聞こえた。その声を聞いて美子は蛇睨まれた蛙のように硬直する。
この声は……美子の声になんとなく似ている。
美子の顔色が一瞬で青ざめる。
声のする方向を確認すると眞智子が差し出したスマホからであった。その画面にはどこかの新世紀のゼ○レみたいに『サウンドオンリー』と表示された画面が表示され、そのスマホから明らかに聞き覚えのある声が聞こえてきた。
今、確実に美子を恐怖のどん底に陥れるのはそれである。
「ま……ママ?」
「美和子さん。美子、また礼君にエッチなことをしようとしていますよ~」
眞智子が、ここぞとばかりにうちの母親に媚びと美子を売った。
『美子ちゃん……帰ったら――私の所に来てくれる?』
「――はい」
美子は眞智子にギロッと睨み付けると、大きなため息をついて僕から降りて佐那美の脇に座った。
それから間もなく、地端家にて打ち上げ会に入る訳だが………
地端の親父さんの携帯が鳴る。
親父さんが電話に出ると、何か急な用件が入ったようで、その打ち合わせのため佐那子さんと一緒に出かけてしまった。
残された問題児たち――、なんかヤバい気がしてきた。
僕の予感を確信に変えたのは佐那美の一言だった。
「あっ、そろそろ時間だ。テレビつけよっと」
「何か見たい番組あったの?」
「いつも見ているテレビの番組。各都道府県の面白いものを紹介する奴なの」
「へぇ…………」
何でこんな時にテレビを見るんだ? 録画して後で一人でこっそり見れば良いじゃん……普通ならそう思うだろう、だがその時の佐那美は明らかに嫌らしい笑みを浮かべていた。
それを美子が横で見ているが、止めようともせずにウンウンとうなずいている。
――何か嫌な予感がする。
僕と同様、眞智子も何かを感じているのか、怪訝そうな顔で彼女らを見ている。
「て、テレビはやめない?」
「えっ、いいじゃん。ここは佐那美んちだし……」
眞智子の訴えを退けたのは美子である。
眞智子は明らかに焦っている。そんなのお構いなしに佐那美が新聞の番組欄を読み上げる。
「何々……今日の『激白 都道府県民会』は……茨城県特集だってさ」
佐那美はニヤニヤ笑っている。
「ちょと、何で私を見てさっきからニヤニヤしているの……」
眞智子が何かを直感した様で顔色が悪くなる。
「別にぃ?」
「確認するけど、私の昔の……話じゃないよね?」
「どうだろうね~」
いつも彼女に怒鳴られ殴られている佐那美がここぞとばかりに挑発する。
そうこうしている間に、テレビが始まる。
茨城特集って何かなって思っていたら……
――――やっぱりヤンキー特集だった。
それも、『えっ、未だにいるの? 陸の孤島茨城のヤンキー』と言うもの。
もちろん隣の千葉まで巻きこんで、チバラキ周辺にいるヤンキーを取材していくものなのだが、なんだか段々僕らがいる方面まで取材が進んで行っている様だ。
『すげー、今時ヤンキーがいるんだぁ! すげーぜ茨城』
司会が遠慮なく感嘆の声をあげる。
その瞬間、眞智子の頭がテーブルに落ちるように激突した。
「もぉ、やだぁ~。昔の自分のことを言われている様で、もの凄く恥ずかしい」
…………眞智子さん、元ヤンだもんね。
「今の私にしてみればあれは悪夢なの。どうしようもない汚点なの!」
――あれ?この人、まるで中二病を卒業した富○○太君やモ○サマーみたいな挙動だぞ……
だが無情にも彼女の意見を無視してテレビが放映されていく。
丁度、地元と思われる人が取材に――って、あの人、どこかで見たことある。
彼女は茶髪で制服を着崩し、リボンタイをだらしがなく首からぶら下げている。
「こ、
眞智子の顔がさらに青ざめる。
そうだ。僕の友人マサやんこと
――もちろん、眞智子がこの琴美の事を恐れているわけではない。ヤンキー特集で自分の周りの人物が出たことで自分にも害が及ぶかも知れないって動揺しているからである。
『何だよ、何カメラ向けてんだよ! ころ○ぞコラ!』
その琴美がテレビクルーにいきがって突っかかっている。
普段の琴美ならそんなことはしない。しかもさりげなく化粧をして、着崩している制服は折り目がきっちり付いたものを使用しており、明らかにヤラセで演じている感じである。
番組のADから、
『茨城って本当にヤンキーいるんですね』
と声を掛けられると、その彼女は自慢げにこう答えた。
『あったり前だっぺよ! 石を投げればヤンキーに当たるっておめー知んないのか?』
琴美は普段、そんな方言なんか使わない。
……今時の若い茨城県民――特に県南地域の人が、テレビで『だっぺよ』は言わないと思うし、全国放送している番組で方言をバリバリに言う人いないと思う。
明らかに言わされ感がある。
ちなみに、石を投げてもヤンキーがそこらにいる訳でもなく、東京みたいに人口が密集している訳でもないので誤解のないように。
だからといって石は投げちゃダメだよ、絶対に。
『茨城って何か変わったものありませんか?』
『そーだなぁ……コンビニない地区では夜に自動販売機の前でたむろしているとか、国道で狸の轢かれた死骸が転がっているとか……』
あ、それ聞いたことある。特に『○○郡○○町』『○○郡○○村』って言われている地区だよね。
『はぁ――他にありませんか?例えば伝説のヤンキーとか……』
『あっ、居ます居ます! 金属バットの眞智子さんとか!』
…………僕はちらりと眞智子の方を見る。他の連中も彼女をチラリと見ている。
「ホント、マジで最悪――琴美、あとで覚えていろよ!」
眞智子は顔を赤く染め上げテーブルをドンドンと叩いている。
『あの、その伝説というのは……』
『いやぁあの人、マジで怖いっすよ。本気で
…………あっ、それ僕も現場にいました。被害者も今、リモコン片手にニヤニヤしてテレビ見ていますから。
「悪意ある言い方! しかも
『その情報、どこから入手したんですか?』
『ちょっと同学年から』
眞智子がギロリと美子と佐那美の弟の
元家は両手を振って否定するが、うちの妹は「あはは」と行って否定も肯定もしなかった。
――あっ、美子と琴美って確か……同じクラスだっけ?
美子は僕の視線に気付き、ピースサインをしてニタニタ笑っている。
……これ以上、追及はしない方がいいのかもしれない。
『その伝説の眞智子さんに会わせてもらえませんか?』
『あっ、ソレ無理。
琴美はそう言うと逃げるようにカメラから遠ざかった。
でも、眞智子さんこの映像見ちゃいましたよ。今、彼女は鬼の形相であなたとあなたの彼氏宛にSNSで何かを撃ち込んで……いや、打ち込んでいます。
そして取材を進めていく様子が映し出されており、二人のモザイクが掛かった女子へと行き着いた。
『えーっ、これからお兄ちゃんとお出かけするんだけど』
『これって事務所とおしているんですか?』
そしてどこかで聞いた事があるフレーズ……ご丁寧に音声加工がされているが、明らかに僕の知っている人物である。
再び、眞智子はテーブルに額を打ち付けた。
ADはさらに彼女らに伝説のヤンキーについて尋ねる。
『あっ、知っていますよ。あの伝説のヤンキーでしょ?うちのお兄ちゃん狙っているのよね』
『ぶっ飛ばす対象にですか?』
『いえいえ、奴はうちのお兄ちゃんにぞっこんですから』
全国放送で僕に好意を持ってくれている眞智子の内心を暴露され、顔がボンと赤くなりショートして動きが止まった。
……っていうか、それは眞智子さんと僕の話であって、なんで勝手に美子が全国放送で暴露するんだよ! おかげで僕も顔が赤くなっちゃったんですけど!
『しかし、去年まで特攻服着たヤンキーだったのに今じゃ普通のお嬢さんだからねぇ。それでも本性は隠せない様ね。今でもちょっとしたことですぐ暴力振るいますから』
そして、映像では佐那美はまるで打ち合わせしていたかのように不良時代の眞智子の写真をポケットから取り出し、それをADに差し出した。
それには白い特攻服を著てバットを担いで蹲踞の様な体制で、凄んでいる金髪の眞智子が写されており、それが今、全国放送で流されてしまった。
「ワーオ、眞智子、土木作業ノ仕事シテイタンデスネェ」
いつもは流暢な日本語を話すクリオが呆気にとられて、おかしな日本語になっている。
「アッ、
……確かにそう見えなくもない。
佐那美がボソリと呟く。
「……
美子とクリオが「プーッ!!」と吹き出した。
眞智子は顔を両手で覆うとその場に「恥ずかしい」と連呼しながら転げ回った。
それはもう、中二病と同じ感じの服をまとったかつての自分の写真を全国放送されてしまった訳ですから、ある意味公開処刑と言っても過言ではない。
「まだ何かあるのぉ~!」
眞智子の悲鳴があがる。
その問いを答えるかの様にADが取材を進める。
『その伝説のヤンキーは今、どこにいるのでしょうか?彼女が出没する某診療施設付近に行ってみましょう』
完全に突撃取材風のヤラセである。
「眞智子さん、取材受けたの?」
「受けてない!」
一方で、佐那美と美子、クリオが腹を抱えてゲラゲラ笑っている。
だが、それが一瞬で凍る。
『あれ、何やら綺麗なお嬢さんと一緒に歩いてくる男の人がいる…………これはもしや』
どこかで見たことがある女子、そして男の方は直接は見たことがない背中だけどなんとなく誰だか分かる――
「ちょっと。なんでお兄ちゃんと眞智子と一緒にファミレスから出てくる訳?」
「あれ、あたしも聞いていないんだけど?」
さっきまで眞智子をからかっていた美子と佐那美が一瞬で不機嫌になり僕らに詰め寄った。
「……ラブホから出てくれば良かったのか?」
眞智子がよっぽど頭にきていたのか、いつになく好戦的な態度で臨む。
「お前ら、いい加減にしろよ………あの日、私がせっかく気を利かせて一緒に帰ろうって誘ってやったのに『私達、クリオの件で用があるから』って先に帰ってよ……・挙げ句にテレビ局使って私をからかうって……何なんだお前ら」
明らかに怒りのオーラが、美子と佐那美のそれを超えている。
挙げ句に、クリオにまで……
「これ、やり過ぎだよね。私は眞智子の昔のことはよくわからないけど、テレビ局使って、眞智子の恥ずかしい黒歴史を晒してからかうのってどうかと思う――」
と、ドン引きされている。さらにクリオの話が続く。
「こんな、『お笑い芸人みたいな』――」
「ぐはっ」
その瞬間、眞智子の心に見えない鋭利な物が突き刺さる。
「そして、『中二病全開で』――」
「うぐぅ!」
また違う心に刺さる。
「日本中に生き恥さらしたのよ!」
この言葉がトドメの一刺しとなる。
「あははは……そんなに言われるとは思わなかった……orz」
当然、クリオは美子と佐那美に向けられた叱責のものだったが、一番ダメージを負ったのは眞智子であった。
結局、テレビ局の連中はどうなったかというと、誰からの通報により駆けつけた警察官に呼び止められ、その間に僕らはそのまま立ち去る形で茨城ヤンキー特集は終わった。
――でも、何かあの警察官は……偽物ぽい。大方、ここまで視聴者を引きつけてその続編狙っている手法だろう。
そうなると確実に今度こそ眞智子は取材を受けるハメになるだろう。眞智子自体もそれに気がついているようで大きなため息をついている。
「眞智子さん、どうする?」
「――ハハハハハ……そうね。対策しておくわよ」
眞智子はそう言いしばらく沈黙した。
そして何らかの対策が閃いたのか、美子の両肩を鷲掴みすると、
「そういう事で、美子。あんたの大事なお兄ちゃんを巻きこむからそうならないように協力しなさい」
と脅しを掛けた。
案の定、美子の眉毛と頬がピクリと動き引きつった笑みを浮かべており、ご機嫌斜めである。
ずいぶん高飛車な協力要請だなぁ……これ、うちの美子ひねくれるよな。
「――もし、私が拒否したらどうなるの?」
「そうね――大事なお兄ちゃんと私が、ラブホから出てくるところで続編取材を受けるって形で始まると思うけど、いいのか――」
美子の問いに脅しで答える眞智子。眞智子が皆を言う前に美子が速攻で答えた。
「オーケー、わかった。この件は私は引く。私は関係ない」
美子は『今後私は関係ない』と宣言することで眞智子の協力を拒んだ。
……でも、なんで眞智子は美子に喧嘩吹っ掛ける形で協力要請したのだろう?
もっと素直にお願いすれば協力してくれたのではないか?
「――まぁ、いいわ。どうせラブホから出たところで嘘くささが出るだけだから」
眞智子は次のターゲットをクリオに定めた。
「クリオ……頼みがあるんだけど――」
眞智子の要請にクリオは眞智子の手を引き寄せ両手でぎゅっと握り締める。
「協力したいんだけど、私はこの
確かにあれだけ佐那美にボロクソ言われて傷心した彼女にして見れば、返り討ちにあるのではないかと警戒するだろう。彼女の気持ちもよく分かる。
そんな人に協力要請すること自体無理なのに。
――そうなると今回の首謀者にストップを掛けるしかないだろう。
さて、眞智子はどんな手で彼女に脅しや懇願をするのだろうか。
「――佐那美さあ……」
「あっ、私は知らないから」
佐那美は速攻で拒否った。
こう言う時は、佐那美が明らかに次を企んでいると考えるべきだろう。
「あっ、そ」
眞智子はそう来ることは端から読んでいた様で、すぐに引き下がった。
こうなると、次は僕に協力要請がくるだろう。
「礼君、頼みが――」
「眞智子さん、僕は眞智子さんを協力するよ」
――こういう状態で僕が拒否するわけにもいかず、この場合はハッキリと言わざるを得ない。
それに何で、最初から僕に頼まなかったのだろう? 僕なら即決なのに。
僕がそう言えば、美子もクリオも、ひょっとしたら佐那美だって協力してくれたのかも知れないのに。
何で眞智子ともあろう人が、賢い交渉術を行使しないのか?
普段は要領が良い彼女の決断に些か疑問に感じた。
では、彼女がどうしてそんなことをしたのか?
むしろそう仕向けたのか?
「ありがとう。礼君だけが私の味方ね」
眞智子が微笑む……っていうか今、ニヤリと北叟笑んだ気がする――
……あれ、ひょっとしたら彼女はこれを狙っていたのか……?
あっ、そうか! 彼女があえて下手な交渉をした理由が分かった!
彼女は初めから彼女らに協力を求めるつもりはなく、あえて協力しないよう仕向けたこと事が本当の狙いだったのか。
具体的などういう事なのか?
佐那美を完膚なきに打ちのめすため、僕を巻きこんで彼女を仕返しする。何があっても協力しなかったお前らも悪い。
これだろう――
実際に佐那美はクリオには強いし、美子は佐那美を面倒くさい馬鹿と敬遠しているのが現状である。
これが美子と佐那美、クリオと佐那美のパワーバランスだ。
こんなバランスが悪い人らを協力させるのは効率が悪い。
だけれども、これが佐那美と眞智子となら話が変わる。
佐那美が眞智子に対しては多少不意打ちは出来たとしても、絶対に勝てない! どんなに有利に進めても最終的にはひっくり返されるだろう――
そのためには美子とクリオが邪魔なのである。
また、その話は後日話すとする。
そして地端の親父さんと佐那子さんが戻ってきた。
「クリオ、学校と話がついた。あさってから佐那美と一緒に行ってくれ」
「えっ?」
地端の親父さんの話にクリオがびっくりして声が裏返る。
さらに佐那子さんが軽く経緯を告げた。
「いやぁ~お父さんが帰国する当日に『クリオを留学させてやってくれ』って言うもんだから困っちゃったわよぉ。まぁ一番驚いていたのは校長先生なんですけどね」
それは下準備が大変だったろう……佐那美も土曜日にうちなんかに来ないで佐那子さんと協力してあげるべきだと思う。
とりあえず、この後は食事を取りながら歓談して打ち上げ会は終わったが、黒歴史を暴露された眞智子は終始お疲れで元気がなかったのは言うまでもない。
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