第26話 描きたいと思ったら吉日

俺は書きたい。


いつでも書きたい。


でも書けない。


誰も読んでくれないと書けない。


誰も読んでくれはしないだろうと勝手に腹を括って、誰も読まないであろうそれを書けない。


意識と無意識が同時に存在するこの世の中に、

少しばかりの不安と、漠然とした希望を抱いて。


それを閉じ込めたまま、外に出さずに。


無意識の箱に仕舞い込んでばかりいた。


寝ている時の子供は可愛く、寝ている時の嫁も可愛い。彼らの意識は今この世界にはなく、その存在は僕の意識の中だけに存在している。


そんなことを考えただけで、無性に自分の存在を再認識する。


もうすぐ俺も眠りにつく。


気づいた頃にはこの世界は無意識の中に沈んで、今読んでいるあなたの意識の中にだけ現れる。


ね?


人を見つめたらそこに自分がいた。



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