☆オマケとちょっとした後日談
【いまさらな人物解説】年齢は初登場場のものです
◆マクドゥガル・ホレイショー・フィーン
23歳・男性・タレント(*)。
通称「かたうでマック」。本作の主人公の狩猟士。主に片手剣を使用するが、幼少期の実家の教育のおかげで、(技量は一流とは言い難いが)他の剣系武器や槍系武器も使えるし、一応弓も引ける。
元は王都ニアーロに居を構える貴族の生まれで、武人の家系であるフィーン伯爵家の不肖の次男。現伯爵にして王都の騎士団を率いる将軍である父と、少年期より折り合いが悪く、16歳の時に家出をして狩猟士になった。それ以来、実家には帰っていないが、母や兄との関係は比較的良好で年に何度か手紙のやりとりはしている。
狩猟士としての腕前は、総合的に見れば中の上程度。作中でも語られている通り、やや不器用で道具類を使うタイミングを逃すこともしばしば。反面、大胆でありつつも手堅い作戦を立案・実行できる点は、評価されている。
本人の性格は、少々(?)スケベな点を除けば「マイペースな善人」。長年童貞をこじらせていたので、やや僻みっぽい部分があったが、ランと結ばれたことで解消された。
※近況でも書いたが著者的イメージは「大人になってやや落ち着きのできた横●忠夫」。ヨ●シマの場合、その(性的)煩悩の大きさとそれに伴う奇行がマイナスポイントだが、本作のマックは、それが物語序盤で解消されたことで、大きなデメリットが消えたことになる勝ち組。でも、基本は三枚目。
◇ラン・バレット・フィーン
25歳・女性・元大鬼蜂。
本作のヒロインであり主婦兼狩猟士。主に軽弩を使用するが、最近は長弓もある程度扱えるようになった。近接武器に関しては、打槌の基礎くらいは覚えている。
作中で描かれた通り、大鬼蜂の女王蜂が人化した存在(ただし、その特異な成育環境から、蜂時代でさえ下手な人間より賢かった)。また、同じく蜂時代からマックに興味津々だったため、人化して即“合体”に持ち込み、押しかけ女房となった。
※キャラ創成時の著者のイメージは、外見は財前●子(もしくは美●令子?)だが、中身は生粋の大和撫子(ただし依存系)。あるいは今なら「ヤンデレ成分を限りなく薄めて20歳くらいに成長させたFG●の清姫」という方が近いのかも。
・カシム・ボグウェル
26歳・男性・タレント。
マックと一緒に馬鹿をやる男友達枠として作られたモブ……だったが、書いてるうちにイメージが固まり、割と(サブキャラとして)おいしい役どころになったかも。元軍人で「有能かつ“見え過ぎた”がために上層部に疎まれ、嫌気がさして軍を辞めた」という某後藤さん(あの人は左遷止まりだが)みたいな経歴の持ち主。ハントマンとしての得意武器は重槍だが、軍にいたので軽槍や剣系の武器もそれなりに使える。普段は番外編で書いたとおり愛妻の尻に敷かれているお方。
※著者としては、キャラ的にはキダフとの対比で初期の大十●九郎を想定(善人だがセコくて貧乏性、かつ燃え尽き気味)。ただし外見的にはT●Lのモ●ゼス(赤毛・長身・片目・槍使い)をイメージしている。語尾の発音がヘンなのもその名残。
・キダフ・ボグウェル
21歳・女性・元実験体
カシムの妻で、褐色肌な不思議ちゃん系合法ロリ妻と属性が過積載なお方。
カシムの出番が増えたことに伴い、この子も準レギュラー化し、ついには番外編まで書かれた。(後の)夫と出会ったころはかなり世間知らずだったが、彼と一緒になってからは急速に順応(俗物化したともいう)。いまでは立派な漫才の相方に。態度が辛辣かつ感情表現が希薄なのでわかりづらいが、実際はむしろキダフの方がカシムに依存気味。ランとはまた違った意味で“重い”女性である。
※名前の元ネタは某魔本娘こと「キタブ・アルアジフ」。ただ、キタブだと女の子っぽくないので濁点の位置を入れ換えた。ただし外見的には「貧乳気味なナデ●ア」のイメージで、逆に姉(エセル)の方が髪が白いのでむしろアルっぽいかも。
・ヒルデガルド・ライオネット・フィーン
19歳・女性・タレント
マックの妹で愛称は「ヒルダ」。王都の屋敷で優雅な暮らしをしている本物の
※、いわゆる典型的「悪役令嬢」(金髪・縦ロール・ツンデレ)をイメージ。ルックス面で比較的近いのは某境界線のネ●トか(あれよりは多少胸があるが)。ちなみに、母親(フィーン伯夫人)はテ●レンヌみたくゴージャスボディである。
・カンタータ・ローズ・フィーン
12歳(本当は2歳)・男の娘?・元黒蟋蟀
ヒルダの好奇心の結果、グリューロスから人化してしまった気の毒なコ。愛称は「カンティ」。とは言え、お屋敷では可愛がられているし、本人も幸せそうなので結果オーライかも。男の娘⇒女体化したのもきちんと
※外見的には、某禁●目録を紺髪にして、より幼くしたイメージ。本編時は髪は襟にかかるくらいのオカッパだったが、成長後はイメージ元くらいに伸びている。
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力なく踏みつけた足の裏で、砂がザリッと嫌な音を立てる。
抜けるような晴天から照りつける太陽の猛威は留まることを知らず、疲れ切った彼の身から容赦なく体力を奪って行く。
──いったいどうしてこんなところにいると言うのだろうか?
そんなことを考えて注意力が散漫になっていたせいか、何もないところで砂に足を取られて転んでしまう。
「ハァハアハア……」
立ち上がるのも億劫だが、このままここに、ただ倒れていても事態は進展しない。いや、むしろより悪い方に転がるだけだろう。その程度のことがわかるくらいの理性は、彼にもまだ残っていた。
ゆっくりと身を起こした彼は、だがもはやまともに立ち上がる気力もないのか、ずりずりと四つん這いになったまま進んでいく。
そして、どれほど時間が経ったのか。永劫とも思える苦行の末、ついに彼はとある村の入り口に辿り着き……そこで力尽きた。
* * *
──バシャーーーッ!
「!!」
う、ウワッ、何事!?
いきなり頭から水をかけられ、僕はビックリして飛び起きた。
「あのぅ、ダイジョウブでありますか?」
地面に尻餅をついたまま、声のする方を見上げると、そこには
少女の傍らには、ほぼ空になった水桶がある。先程の水はコレか。
「う、うん。大丈夫……だと思う、たぶん」
そう自信なさげに答えたのは、自分で自分の現状が理解できてなかったからだ。
えーと、確かずっと砂漠を歩いていたような……。
でも、なんで? 僕は一体何をしようとしていたのだろう?
と言うか……ここはどこ?
さらに言うなら…………僕は誰?
地面に座り込んだまま、ウンウン頭を抱えて百面相している僕のことを気の毒に思ったのか、少女が助け船を出してくれた。
「なにやらフクザツな事情があるようですが……とりあえず、自分のお家はすぐそこなので、来てほしいであります!」
朝ご飯をご馳走するであります! と彼女は言ってくれたが、見ず知らずの女性に迷惑をかけてもいいものだろうか。そもそも若い女の子が男をそんな簡単にホイホイ家に招くものじゃないと思う。
「せっかくですけど」と断わろうと思った瞬間、僕のお腹が「グ~~キュルル~~~」と鳴った。
そう言えば、この暑さもさることながら、お腹が減り過ぎて倒れたんだっけ……。
「ほらほら、「若い者がエンリョなんてするもんじゃない!」でありますよ~」
何やら楽しげな彼女に腕を引かれ、彼女の家まで引っ張られる。
僕より頭半分小さい身長ながら彼女はけっこうな力持ちで、ほとんど抵抗らしい抵抗もできずに僕は引きずられていくハメになった。
──もしかしなくても、今の僕の姿、すごく情けない?
いやいやいや、ちょっと待った。今はちょっと目が回るほど空腹で力が出ないだけなんだって!
……ほ、ホントですヨ?
村の入り口から歩いて50歩ほどの、正真正銘“近く”の場所にあった彼女の家までの道のりが、とてつもない苦行のように思われたものの、彼女の善意には一片の曇りもない。
ほどなく僕は、彼女の家の台所で、紫豆入りスープとできたてのパンをご馳走になっていた。
「オカワリはいらないでありますか?」
「い、いえいえ、もう十分です。ご馳走様、そしてありがとうございました」
空腹には勝てず、夢中で食べていた僕も、お皿の中が空になるころには人心地がついて、ペコリと頭を下げる。
「フムフム。それで……聞きたいのですが、どうしてあんな場所で行き倒れていたのでありますか?」
い、行き倒れ……。少々大げさな気もするが、確かにあのまま数時間放置されていたら、熱射病と空腹で死んでいたかもしれない。
言わばこの娘は僕にとって命の恩人なわけで、こちらの事情を説明するのが筋だろう。でも……。
僕は一瞬テーブルに視線を落としてから、キッと顔を上げた。
「あ! 食事代のことを気にしているでありますか? ミズクサイであります。困った時は、お互い様でありますよ~」
絶妙なタイミングで間を外されて、少々凹む。
「いや、そうじゃなくて……」
「ややや、もしかして自分に愛のコクハクでありますか? うーーーん、アナタは悪い人ではなさそうでありますが、自分としてはまずはお友だちから親交を深めたいと……」
──あのぅ、もうちょっと人の話を聞いて欲しいんですけど?
両手を頬に当てて、「ポッ」と顔を赤らめる仕草は、なかなかに愛らしかったが、さすがに僕も、こんな状況下で恋愛沙汰に走るほど脳天気じゃない。
「いえ、そのぅ……僕、どうやら記憶がないみたいなんです」
* * *
そして、僕がヴェスパさん(あの女の子のことだ)に拾われた翌日。
僕は、村の入り口付近にある大きな建物に連れて来られていた。
「それでは、叔父貴、あとはお願いするであります!」
「おぅ、任せナ、お嬢」
ヴェスパさんに「叔父貴」と呼ばれた男性は、30代後半か40代前半といった年格好の、片目にアイパッチをした2メートル近い大男だった。
すでに若者とは言えない年頃ながら、引き締まった体つきと発達した筋肉、しなやかな身のこなしは、見るからに強そうだ。
革製の防具を身に着けているところからして、兵隊さんか何かかな?
「どんな貧弱な坊やでも、オレの“ハントマン促成キャンプ~地獄の3日間コース~”を受けりゃあ、9割方はそれなりのモノになるサ」
「……参考までに、聞いておきたいのでありますが、残りの1割はどうなるでありますか?」
「ん? まぁ、死ぬか再起不能になるか、どっちかかナ」
果てしなく軽い独特の語尾のアクセントが不安を一層増大させる。
──顔も知らない天国の(とは限らないけど)お父さん、お母さん、あなたの息子は今ドキドキするほどピンチです。
「ああ、それからお嬢、たまには
「了解であります!」
ピッと敬礼をしたヴェスパさんは、ニコニコ笑いながら、僕を隻眼の男性に引渡し、軽やかな足取りで立ち去っていった。
脳裏で物悲しげな
「おいおい、さっきのはちょっとした冗談だって。別に死ぬほど危険なこたぁしないから、安心しナ」
よほど僕が不安気な表情をしていたのか、隻眼の男性はバンバンと親しげに僕の肩を叩きながら、そう言ってくれた。
その言葉にちょっとだけ安堵しながら、僕は昨日のヴェスパさんとのやりとりを思い出していた。
* * *
「えーーーーっ! それは困りましたねぇ……」
僕の「記憶がない」という述懐を、彼女は何ら疑うこともなく受け入れてくれた。
──いや、僕としては有り難いんだけど、こういう場合、もうちょっと疑うとか怪しむとかするものなんじゃあ……。
どうやら彼女はよっぽど素直な気性に育てられたらしい。悪い人に騙されないか、ちょっと心配だ。
「それじゃあ、ご自分が誰かもわからないのでありますか?」
「ええ、それどころが自分がどんな姿格好をしているのかも……」
「あ、じゃあこっちに来るであります!」
ヴェスパさんに手を引かれて、彼女の寝室にある姿見の前に連れて来られた。
──いやだから、年端もいかない女の子が見知らぬ若い男を自分の寝室に簡単に入れるのって、どうかと……。
もっとも、目をキラキラさせている彼女の様子からは一片の邪気も感じられない。この様子だと
(この村の男性陣も苦労してるんだろうなぁ……)
しげしげと彼女の姿を眺める。
この年頃の女の子としては、(僕が平均的な体格だとしての話だが)割と高めの身長。全体としてはやや細身だが、13歳くらいの年齢のわりには結構大きめの胸。
烏の濡れ羽色──と呼ぶには、ちょっと赤みが混じっている艶やかな髪は、両耳の上でふたつ結びにしていて、彼女の愛らしさを引き立てている。
顔だちは年齢もあってまだまだ“可愛い”と言うべきレベルだが、あと2、3年したら“美人”と言う形容が似合うようになるかもしれない。
そして、気さくで明るく、見知らぬ僕にもこれだけよくしてくれる優しさを持っているのだから、モテないはずがない。
「ホラホラ、自分ではなく、ご自分の姿を見るでありますよ!」
と、言ってから、それこそ自分でもワケがわからない事を言ってしまったと思ったのだろう。チョコンと頭を下げて、彼女は自己紹介を口にした。
「申し遅れました。自分の名はヴェスパ。この村の生まれで、一月ほど前に14歳になったばかりであります! 今後ともヨロシクお願いするであります!!」
「こ、これはどうもご丁寧に。僕は……えーと」
「もしかして、ご自分の名前までも思い出せないでありますか?」
「──面目ない。そうみたいです」
頭をかく僕の様子を見て、ヴェスパさんはちょっと首を傾げて何か考え込んでいる様子だ。
「呼び名がないと不便でありますね。何か仮初めにでも名前がないと……」
ジュゲムジュゲム、ゴンザレス、スポポビッチ、アンゴルモア……と、何やら呟いているのって、ひょっとして僕の仮名候補!?
慌てて、僕は口を挟んだ。
「ぼ、僕としては、えーと……そう、ノブと名乗りたいと思います」
頭に浮かんだ適当な名前をとっさにデッチあげる。
「ノブ、ですか? ちょっと東方風でありますね──うん、ヨイのではないでしょうか」
彼女のお墨付きももらえたことだし、記憶が戻るまではノブと名乗ることにしよう。うん、よかったよかった。仮名にしてもモケレムベンベとかモケケピロピロなんて名前にならなくて。
そう考えながら、彼女に再度促されて僕は姿見の前に立ち、鏡を覗き込む。
そこには──一言で表すと「地味で平凡な少年」の姿が写っていた。
歳のころは14、5歳。背の高さや体格に関しては、まぁ並といったところ。
アッシュブロンドと言えば聞こえはいいが、ようは砂色の髪は無造作に肩くらいまでに伸ばされ、ボサボサのまま放置されている。日焼けもあるみたいだけど、若干肌の色が浅黒いのは、南方系の血が混じっているのかな?
容貌のほうも、とりたてて不細工と言うわけではないが、美形とも言い難い、まさに中の中といったところ。真面目で温和そうには見えるので、一部の女性からのウケは多少いいかもしれない、といった程度。
(ま、ヴェスパさんの反応から、「絶世の美男子」とかそういうのじゃないことは、十分予測してたけどね)
どこか他人事のような感想が浮かぶのは、記憶喪失だからかな?
「? どうかしたでありますか?」
「い、いえ、何でもないです」
身に着けているのも平凡な焦げ茶色のシャツとカーゴパンツだった。ポケットにも何も入っていないようで、素性のわかりそうな所持品もない。
「うーん、手詰まりか」
どうやら自分で思い出す以外に、当面僕の身元を知る方法はないみたいだ。
「フムフム。そうなると、しばらく暮らす住居が必要になるでありますね」
う……微妙にヤな予感。まさか、「このままこの家に住むといい」とか言い出すんじゃあ?
家の広さや様子から見て、ヴェスパさんはどうやらひとり暮しみたいだし、さすがにそこまで甘えるのは、ねぇ。
「ピンと来ました! ノブさん、こちらへ!」
再びヴェスパさんに手を引かれてやって来たのは彼女の家の裏庭にある物置──と言うには、ちょっとだけ大きな3プロト立方くらいの
「チョット狭いけど、一通りの設備は揃っているであります!」
「と、とんでもない。十分です」
彼女の言うとおり、ドアを開けてすぐの部屋にべッドと
「そうでありますか? では、あとはお仕事はハントマンをやればいいですし……」
確かにそうだ。働かざるもの食うべからず……って、今何か重大な事をサラッと言いませんでしたか、ヴェスパさん!? 誰が何をやるんですって?
「? ノブさんが、
何言ってるんだこの人、みたいな目で見るのは止めて下さい。第一ハントマンって、アレでしょう? メチャクチャ危険でとってもハードな仕事なんでしょう?
「ああ、世間ではそんな風にも言われてたりしますけど、ダイジョウブでありますよ」
──えーと、もしかして、実態はそれほどでもないのかな?
「はい、カヨワイ婦女子の自分にでも十分務まるお仕事なのであります!」
(そ、そっかー、ヴェスパさんでも出来るんなら、何とかなるかも……)
その時は、そんな風に思って納得したんだけど、僕は忘れていたんだ。
彼女が、あの細腕で僕の身体をほとんど持ち上げんばかりに軽々と振り回していたこと……つまりタレント(素質持ち)だということを。
* * *
「どうした、坊主? 黙りこくって」
「い、いえ、何でもないです、はい」
村の入り口から送迎用ネコタクに揺られて、僕たち──僕とあの隻眼の男性は、密林と呼ぶべき
「よォし。これから“ハントマン実地教習~3日間詰め込みコース~”を開始する!」
「──ハイッ!」
先刻までとコース名が違いますとかツッコミたかったけど、あえてスルー。
「本日の予定は、食用キノコ狩り・現地での肉焼き・薬草調合・魚釣り&鉱石採掘の4つだ!」
「ハイッ!」
ちょっと意外。ハントマンって、もっと派手でスリリングなものだと思ってた。
「オレは口は出すが手は出さん。全部クリアーしたら、最後に“
ちょ……いきなりハードルが高くないですか? 記憶喪失だからハッキリ断言できませんけど、僕、いままでこんな大きなナイフを振り回したことも、これで戦ったこともないんですよ、たぶん?
「だーいじょうぶ、オマエさんに着せてあるその防具は、
あのぅ、それじゃあ、教習合宿の意味がないんじゃあ……。
「しかし、いくら口で説明されてもわからんモノはわからんヨ。まずは、当たって砕けろサ!」
砕けたらいけないでしょう、砕けたら……。
「──ええい、ごちゃごちゃ言うねィ。オマエさん。今日の晩飯抜きでいいのカ? 残念だな、さぞかしヴェスパがフンパツしてくれてるだろうに……」
……!
「やります!」
ま、まぁ、せっかく紹介してくれたヴェスパさんの顔を潰すような真似は出来ないよね、ウン。
「うんうん。若いうちは素直が一番だ。習うより慣れろとも言うしな!」
──なんとなく、この教官が腕は立っても教え下手らしいことは理解できた。
本当に危なくなったら助けてはくれるだろうけど、逆に危なくなるまでは放っておかれるだろうことも。
(
微妙な後悔気分を噛みしめつつ、僕は即席ハントマンとなるべく第一歩を踏み出したのだった。
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