## バラバラの自由が実現するセカイ

### 茶飲み話

涙を絞り

可愛らしくにっこりと座り、

まだ色の薄い

ローズヒップティーを

一口分注いだ。


何かあったのと尋ねる

黄昏の魔術師に

そのまま、

間違えてコーヒーを注いだと答えるわたし。


黒い液体の不要性を再度確認すると

黄昏の魔術師は

湯気を立てるカップの一つが

滑らかに奪われる。


艶めく黒色の嗜好品を啜り、

黄昏の魔術師は、ゆったりと尋ねる。


「そんなことで泣いている訳じゃないんでしょ?」


善良者が

神に想定された悪事を

懺悔を試みる間際で

悪友への裏切りとの呵責に

陥ったかのように

ぎこちなく肯く。

「きっと名子ちゃんは何も悪くないんでしょ?」


静かにゆっくりと肯。く

首の深くなった角度で

おはじきみたいな丸こい涙が

背中と肩を縮こまらせる

前方の特異点の影響を

遮断するための人間機能として、

凝固しかけた心の奥から

わらわら流れた。


「涙には浄化の作用がある。

 昔、

 とある魔女見習いから

 教わった呪文。

 大天使ミカエルの呪文。

 覚えておくと

 これからも役立つ。

 そのお茶みたいに

 温かく

 香りが良い物もいい。

 名子ちゃんは

 必要な物を知ってるんだよ。」


黄昏の魔術師の台詞を

BGMにして、

ただただ

涙を流していたら

救われたくなった。

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