夢というものは

残酷なものだ


目の前に現れたと思ったら

ふっと消えるのだ


思い描くのは自由というのだから

こんなに厄介なものはない

自分の理想

自分の希望

真っ白のキャンバスに

笑みを浮かべて描くのだ


当たり前のごとく

夢は自分の技量をはるかに超える

つらくて

投げ出したくて

キャンバスを真っ黒く塗りつぶそうにも

下地が消えないんじゃあ意味がない


ずっとずっとキャンバスの底に残って

他の人にも見られてしまって

下手に応援でもされたら

さらに縛られて仕方がない


なあ、こんなにも苦しいのなら

いっそ夢なぞ見せないでおくれ

一度見てしまったなら

抜け出すことなどできないのだから


奇跡的に夢が叶って

私の理想が叶ってしまって

ああ幸せだと

心がいっぱいに満たされたなら

今までの苦労なんか

何処かへ行ってしまうのだ


苦しかった記憶がおぼろ気となって

また叶うだろうと夢を描き始めるのは

何かの中毒のようで

軽く恐怖を覚えるのだけど

そんな私も中毒者だから

淡い夢に思い馳せてしまうのだよ

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