騎士という公務員になりたい僕は組織を抜けたい~能力は一つで剣を使わない多重万能能力の神速剣士~「お前はもう、死んでいる」
第21話 ハイスペック勘違いバトル(いや、まぁ、バトルは成立してるよ? バトルはね)
第21話 ハイスペック勘違いバトル(いや、まぁ、バトルは成立してるよ? バトルはね)
なんでこいつそんなに私のこと化物呼ばわりするの? え、何? バカなの? 死ぬの? 死にたいの? ……まぁ、私が殺すけど。うっとーしー石ころ攻撃も今なら止んでるし、砂煙も払ったから……。
「『ライトニング』」
彼女は左手をヘルゲンにかざし、手から電撃を放つ。が、ヘルゲンは瞬時にストーンを目の前に作り出して防ぐ。
だが、攻撃の直撃はとっさに防げたがストーンの砕けた破片がヘルゲンを襲う。ヘルゲンは両腕を顔の前でクロスし、ダメージを最小限に抑えながらいくつかの小さい破片は体をかすめてヘルゲンに血を流させる。
「ぐっ、なんという威力。……ヌ!?」
ストーンの砂煙と破片……その中を突っ切って彼女はホウキをヘルゲンに振り下ろした。ヘルゲンは両手に持った剣の
──ガンッ!!
ホウキと剣がぶつかった効果音である。ヘルゲンはその場に耐えきれず、地面に叩き落とされた。
彼女はヘルゲンを追わない。木の葉や木の枝、雑草に土という服が汚れてしまう要因があるから。彼女は自分に課した『汚れずにミッションをこなす』という縛りプレイを最後までやり遂げるつもりだ。
……………………んーーーん? あれ? 赤いやつ、上がって来ない……。え? まさかあれで死んだの? いやいや、そんなわけー……あるんかねぇ?
彼女はキョロキョロと周囲を見渡すがしばらくしてもヘルゲンは上がってこなかった。
「ま、来ないなら来ないでいっか。さて、ミッションの続きしよっと」
彼女はホウキに腰掛け移動し始めて再び援護射撃をしようしたら舞っていたストーンの粉が鼻に入り、彼女の鼻がムズムズし始めた。そのため彼女は一旦移動するのを止める。
「へっ……」
「へぇ……」
もう一拍置いて……からの。
「へっく──ダアアァァーーン!!──」
? ……ん? なんかすっごいでかい音したけど? え? なに? こわい。
彼女はびっくりして固まってしまう。そして頭と目だけ動かして音源を探す。……ん、ん? どっから? 下か!? あ! いた!!
ヘルゲンが急上昇し二本の剣を構えて彼女に接近する。彼女もまたホウキから降りてホウキでヘルゲンの攻撃を受けとめる。
──ガンッ!!
相変わらず効果音がおかしいがヘルゲンの猛攻は止まらない。ヘルゲンは二刀流の真髄、手数の多さを利用して致命傷にならずとも腕や胴、足などを攻撃するが彼女には届かない。
「ちぃい! 『エーティーフィールド』か!! 人間の分際でそれが使えるとはやはり化物と言わざるを得んな!」
「ただ魔力が多いだけで私は人間よ!」
「ぬかせ!」
彼女も彼女でホウキでヘルゲンの攻撃をさばきつつ、雷魔法を近距離からおみまいする。
ヘルゲンは上体をそらして回避。続けざまに複数の雷魔法を彼女は放つが、ヘルゲンはさらに上体をそらして避け、その勢いで彼女にサマーソルトを繰り出した。そのサマーソルトも彼女には届かない。
彼女は態勢が崩れたヘルゲンを叩きつけようとホウキを振り落とす。ヘルゲンは体をひねって避け、振り向き様に『
「め、目ガアああァーーー!!!」
彼女は目と耳を同時に失う。イーヤアアァァーーー!! め、目が! 目が! お目目と耳があぁァーー!! ヒィイイーーーーールゥ!!
彼女はヒールで目と耳を回復させる。目と耳を潰された痛みで気付かなかった胸の谷間に固い何かを押し付けられている感触にヒールで回復し終わった後に気付く。そして目で見て確認しようとした時、爆音がなり響いた。
───
私の想定を遥かに凌駕する化物ぶりに思わず足を止めてしまっていた。そのほうけている隙にやつが雷魔法を撃とうしていることに気付き、私はストーンで対抗する。
「ぐッ。なんという威力」
なんとか相殺できたが砕けたストーンの破片が私を襲う。砂煙の中を突っ切ってやつがホウキを振りかぶった状態で現れた。
「ヌッ!?」
私の戦法を真似ただと!? そして重い。
ヘルゲンは木々の枝をへし折りながら地面まで落とされた。
「……まさか地面まで飛ばされるとはな」
「少佐殿、ご無事ですか!?」
「『
「はい、少佐殿のお陰でこちらは持ち直しつつあります。ただ、
「そうか。ならば、当初の作戦通り『時間稼ぎ』を目的とした立ち回りを引き続き頼む」
「ハッ! 承知しました。ラル大尉からもそのように指示がありました」
「ふっ。ラル大尉もわかるようになってきたか。……なら安心だ。持ち場へ戻れ」
「ハッ! その前に少佐殿にこれをお渡ししたく思います」
「いいのか? これはアルファの──」
「──良いのであります。是非、少佐殿の策を潰したあれを、確実に殺して欲しいのです!」
「……わかった。では使わせて貰うとしよう」
「ありがとうございます。では、我輩は隊の指揮に戻るであります!」
「ああ……さて、今度こそやつを仕留める」
ヘルゲンはアイテムボックスから大型ライフルを取り出して構える。そして強化魔法を掛けながらスコープを覗く。狙いは頭、後頭部に狙いを定め、今度の狙撃は消音・不可視の魔法を掛けずに砲身が耐えられる限界まで弾を強化する。
先程まで動いていたやつの動きが止まり、絶好のチャンスが訪れる。が、焦らない。私はやつの呼吸に合わせタイミングを測る。
3
一呼吸目……。
2
二呼吸目……。
1
よし、次で──
──ダアアァーーーン──
!? 引き金を引くわずか一秒も満たない間にやつは回避行動をとっただと!? つまり……これは!!
「予知タイプか……えぇい、忌々しい力だ」
それも危機察知の未来予知ときたか……。ならば予知をしたところでどうしようもならない状況を作り出すまで!! 速度と手数で押しきる!!
──ガンッ!!
二本の剣とホウキがかち合う。そしてヘルゲンが絶え間なく攻撃を仕掛ける。ホウキ一本で捌ききれない彼女に剣が振り落とされるが、見えない壁に阻まれる。
「ちぃい! 『エーティーフィールド』か!! 人間の分際でそれが使えるとはやはり化物と言わざるを得んな!」
エーティーフィールド……それは『80』もの『場』を作り出し、その『場』を重ね合わせ出来た『領域』のことをさす。その領域はありとあらゆる攻撃を防ぐ。『80の場』全てを突破されなければ。『80もの場』どころか『場』を一つ作り出すのでも難しい。扱えるのは限られた天才で生まれ持った才能と膨大な魔力を持ち、魔法に対して日々努力をしたものしか扱えない。
「ただ魔力が多いだけで私は人間よ!」
そんな理由だけでは不可能だ。私はよく知っている。天才といわれたサリフィス様でもそれは使えなかった。
「ぬかせ!」
私はやつの回避できないタイミングを図ってフラッシュバンを使い、一瞬の隙を作り出した。そしてアイテムボックスから大型ライフルを取り出し、心臓に銃口を押し当て、出力最大で弾丸をぶっぱなす。
エーティーフィールド内からの攻撃は防げまい……。
辺りに轟音が鳴り響いた。
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