第五幕)自然と言えば自然

 真夜中。あと数時間で明け方という時間帯になるあたり。隙だらけの穏やかすぎる表情で眠るカットベルを残してベッドから抜け出した清水坂は、呼び出された先へと向かっていた。

「………」

 つい先程、浜本からTELがあったのだ。話したい事がある、訊きたい事もある、その内容は会ってから、だから今すぐ来てほしい、と。なので清水坂は、人通りのない深夜の道を駆けているのである。


 ………。


 呼び出された先は、清水坂の自宅から小一時間はかかるであろう距離に漸く一軒あるファミリーレストラン。大通りに面しているがそこだけが異様に明るいという、夜の待ち合わせにはもってこいの場所。

 その店の中。窓際の席に、俯きかげんで座っている浜本が見える。その表情は思い詰めるという程ではないものの一応に固く、何やら頗る緊張しているようでもあった。これからの事を考えると、無理もないと言えば無理もない事ではあるのだが………。


 からん、からん。


 清水坂が店内と外を仕切るドアを引くと鈴の音が鳴り、その音に反応して顔を上げた浜本と視線が重なった


「あ………」

 いつものように、と。自然に、と。何気なく、と。そう言い聞かせながら。そう思いながら。そう努めながら。浜本がぎこちなく手を振る。


「………」

 その様子を見て清水坂は改めて緊張したが、無理に微笑みながら手を上げて応えた。


「「………」」

 その様子は端から見れば付き合い始めの純真カップルといった感じなのだが、勿論そうではなく、その心中はそれぞれに複雑な感情が揺らめいており、清水坂は浜本に近づく毎に、浜本は清水坂が近づく毎に、その揺れがその度合いを増していた。


「お待たせしました。ご注文の清水坂幸太郎です」

 ゆっくりとではあったが一直線に浜本へと向かっていた清水坂は、努めて明るくそう言って緊張を忘れようとした。


「よ、よっす………思ってたよりも早くてビックリです。えっと、まぁ、とりあえず座ってよ………」

 浜本も同じく、努めて明るく振る舞おうと試みたようだが、どうやら清水坂よりも緊張の度合いが大きかったようで、ぎこちなさは拭えなかった。


「いらっしゃいませ。ご注文の品がお決まりになりましたら、そちらにございますボタンを押してお知らせください」

 清水坂が腰掛けるとすぐ、店員がお冷とおしぼりを運んできた。そして、そう言ってくるりと戻ろうとする。


「あ、すいません。ポテトフライとドリンクバーお願いします」

 その店員を呼び止め、清水坂は注文した。食事をするつもりはなかったのでメニューを確認する必要がなかったし、浜本は少なくともドリンクは注文しているという事がテーブルを見て明らかであったので、早めに済ませて一対一の状況になろうと思ったのだ。


「かしこまりました。では、ドリンクの方はセルフとなっておりますので、あちらでお好きな飲み物をお選びください」

「はい」

「では、ごゆっくり」

「どうも」


「………」

「………」


「「………」」

 店員が接客を終えて戻っていくと、店内に流れる静かなBGM以外然したる音の無い世界が暫し続く。現在のところ、利用している客は清水坂と浜本のみのようだ。


「あのさ、清水坂はやっぱ、炭酸ホワイト?」

 その世界を変えようとしたのは浜本であった。しかしながら空気は相変わらずぎこちなく、バタバタガタンという音が鳴るのではという雰囲気で立ちあがりながらそう訊いた。私が行きますよという意思表示を示したのであろう。いつもそうだったから。そのいつもの雰囲気に我が身を置いて落ち着こうと思ったから。そして、清水坂を目の前にした途端に自ら呼び出したにも関わらず緊張が止め処なく上昇していたので、インターバルをとる為でもあった。


「え、あ、ありがと………お願いします」

 浜本のぎこちなさによって緊張が更に強まっていた清水坂も、やっぱり少しだけインターバルが欲しいなと感じていたので、少しだけ安堵しながらそう言って微笑んだ。


「うん。じゃあ………待っててね」

「うん………」

 ぎこちない浜本の背中を、清水坂はぎこちなく見送った。


 ………。


「………」

 浜本は最初、清水坂にTELするのをかなり迷っていた。しかし、見てしまった。聞いてしまった。どういう事なのか判らなかった。理解する事が出来なかった。思考する事が出来なかった。其処に居た清水坂が、昔から知っている清水坂とは違っていたからだ。

「………」

 ある決断を胸に清水坂の家に向かっていた浜本は、その道すがらに黒衣に身を包んだ何者かと話している清水坂を見つけた。その黒衣の者は見知っている者であった。更には、自らを清水坂の伴侶と言う女性が現れた。その女性は聞き覚えのある容姿であった。何が起きようとしているのだろうか? しかし、近寄って姿を露わにして加わる勇気はなく、気配を消す事にのみ努めながら様子を窺っていた。やがて黒衣の者が逃げるように去り、清水坂と赤髪の女性が何処かへと歩き始めた。浜本は気づかれないように追う。



 その先は廃校だった………。



「………」

 一部始終を目撃してしまった浜本は、この店に入って考えた。漸く考えた。頭の中を整理する事から始めた。心を落ち着かせようと努めた。その結果、整理できず落ち着かず、勢いのまま清水坂を呼び出してしまった。



 何をどう訊こうというのか。

 訊いてどうなるのいうのか。



 自身の行動に対して様々な質疑が浮かんでくる。しかし、そのどれにも明確に答える事が出来ず、そうしている内に予想よりも早く清水坂が来た。清水坂がその能力を最大限に使用したとして、それを自身の経験で大凡ながら想像してみると、TELを終えてすぐに来てくれたという結論に至り、その事実をどう捉えれば良いのかという新たな疑問が加わってしまった。そしてそれは、自身の思惑が絡んでいるだけに、手強い難問と化していた。


「清水坂………」

 ボタンを押してジュースをグラスに丁寧に注ぎながら、浜本は背中の向こうに座る清水坂への想いに様々な思惑を絡め続けた………。


「………」

 その一方で清水坂は、ガラス窓に映る自身を眺めながら思考を巡らせていた。浜本は何を思っているのだろう。何を考えているのだろう。呼び出した理由はなんとなくではあるが察しがついていた。いつもなら、話しがあるのであれば家に来て部屋に上がる筈だからだ。呼び出したという事は、その部屋に誰かが居るという事を知っているからで、知っているのに時間を待たずあえて呼び出すという事は、話しとはその誰か………つまりカットベルが関係している事で、真夜中というこの時間を加味して結論づけると、最低でも今夜の一連の内のどこかからかを見られてしまった可能性は大きいという事になるからだ。

「………」

 だから思う。浜本は何を思っているのだろう、と。何を考えているのだろう、と。ガラス窓に映っている自身の姿は見る感じ人間のそれと変わらないのだけれど、その身体には吸血鬼の血が流れ、人間を越えた能力を宿している。こうして座っているだけならば何ら変わらないのに、それなのに、違うのだ。もう、人間では………。

「ない、か………」

 カットベルと出逢ってまだ一週間すらも経過していないというのに、思いもしていなかった方向へと進んでいるのだ。能力云々を別にすれば、何だかロミオとジュリエットみたいな感じだ………。

「いいや、違うかな………」

 これではまるでロミオとジュリエットみたいだと思ってすぐ、彼等は三日間くらいの物語だったっけと思い出した清水坂は、俺達とは違うと思い直した。それに、こっちはまだ始まったばかりで終わりにあるのが明か暗か見えていないのだから………とも。

「でも、覚悟したんだ………」とにかく、覚悟を決めたからには他にも覚悟を決めなくてはならない事がある。


 の、だけれど。


「覚悟、か………」でも、覚悟って何なのだろうね………。今、俺に出来る事?


「おまたせ………」

 お互いにどのくらいの時間を要した後だろうか、そう言いながら浜本が戻ってきた。


「ありがと」

 清水坂はそう言って、早速グラスを口に運んだ。

「えっと、浜本、これ」

 炭酸無しホワイトだった。


「え? あ、あの、ああの、なな、何かな………」

 浜本がビクンと反応する。


「いや、その………あ、話しって、何?」

 炭酸が何処かでサボリかましているみたいなんですけどぉ………と、いうツッコミを入れさせて和むつもりなのかと思った清水坂は、それならばとツッコミを入れようとしたのだが、呼びかけただけで狼狽する浜本を見て今はそのいつもとは違うのだという事実を思い出し、促した方が緊張が解れて話しだしやすいかなと自身から話しを振ってみる事にした。


「へ? え、えっ、と、そ、その、あのね………」

 清水坂は穏やかに訊いたつもりだったが、浜本の狼狽ぶりは続いていた。


「TELで言ってた事って、さ………ついさっきの事?」

 浜本にしては珍しいくらいの狼狽ぶりを見て、まずは自身が落ち着かなければと思うに至った清水坂は、この分だと浜本からは切り出せないかなと思い、予想していた事を自身から言い出す事で再び促してみた。


「あおう、ふ………うん。そう、なんだけどさ」

 浜本が肯定する。その心中はまだ複雑だったが、清水坂の穏やかな表情を見て自分も前に進む事を決めた。


「やっぱそっか………で、浜本はどう感じたの?」

 どう言われても受け入れようと覚悟しながら、清水坂は話しを進める。


「清水坂って、さ………改造人間なの?」

「………え?」

 が、暫し待とうと思い直した。


「本郷猛さんとか一文字隼人さん的な、あ………もしかして、秘密結社の方?」

「………」

 天然なのか養殖なのか、付き合いが長いだけに逆に判然としない。


「………ゴメン。清水坂とこういう空気になるの、初めてだからさ………」

 どうやら、この場にどうしても漂う重すぎる空気を自分なりに少しでも軽くしようと思っての事だったようだ。


「こっちこそゴメン。よし、いつもどおりでいこう」

 それが判った清水坂は、努めて明るくそう告げた。


「うん。その方がアタシ達っぽいよね」

 目の前にいる清水坂に自身のよく知る清水坂を感じた浜本は、それで気持ちが軽くなったような気がしてそう返した。自然と微笑む事も出来た。その心に宿っている清水坂との想い出が脳内で映像化されていく。


「じゃあ、面倒だから簡単に一言で言うと」


「上司に弄ばれ続けた揚句に凌辱までされた気の弱いオフィスレディーするからさ、清水坂はその上司ね。深夜のファミレスで泣くわ喚くわの大騒ぎ。わお楽しそう。それじゃあ、始めるよ? よぉーい!」


「すいませんでした激しく遠慮しますゴメンなさい詳しくお話ししますどうか許してくださいボクが間違ってました」


「判れば宜しい」

「はい………」

 浜本が努めていつもの感じになろうとしていると見て取れた清水坂は、それを通り越していつもどおりにまで戻っているかのような浜本を見るに至って少しだけ後悔したが、しかしそれはそれで浜本らしいと懐かしい感覚にもなったので、その浜本を受け入れつつ、カットベルとの事を出会いから順になるべく詳しく、けれど慎重に配慮しながら、話し始めたのだった………。


 ………そして。


「浜本には言おうと思ってたんだよ。ほら、会いたいとか言ってたし………」でもさ、言えない事情がわんさかで、危険な事に巻き込みそうな事態も次から次へとでさ………ゴメン。


「それはイイんだけど、清水坂の話だとそのカットベルさんっていうバンパイアはさ、詰まるところ清水坂にワザと殺されようとしたって事?」それにしても、噂に聞く闇夜の悪魔とは似ても似つかない感じね………。清水坂が危ないと思って跳び出そうとしたら、めちゃんこ強いから驚いたんだよ? でも、そういう理由があったんだね。


「うん。なんかさ、そういう掟とかがあるらしくて」そこまでしてもらってまで人間に戻りたいとは流石に思ってなかったんだけど、所謂ところの怪異の者の側では人間ってそのくらいの価値なんだろうね。そうじゃなきゃそこまでしようなんて掟、考えないもんね………たぶん。


「そうなんだ………」それにしても、人間に戻す方法なんてあったんだ………って、清水坂の言うとおりあの教団の事だから怪しいけど。でも、それなら知らないのも無理ないなぁー。だって、そんな事までして人間に戻してくれるようなバンパイアなんているワケないもん。あ、そう言えば、タチの悪いバンパイアにそうされて利用されている者を助ける為にそのバンパイアを葬るハンターがいるとかなんとか………清水坂が言うあの教団も、表向きはそれを名目に活動してるんだったっけ。ま、表向きって言っても、裏世界の話しなんだけどさ。そっか………とにかく、清水坂が人間に戻りたいと言ったから従うなんてそんな掟を守るバンパイアなんて、初めて聞いたよ。しかも、闇夜の悪魔と恐れられている最強のバンパイアさんがねぇ………。


「………」人間に邪険にされた………って言うか、迫害とかされた歴史があるみたいだし、もしかしたら恨みや憎しみとかとは裏腹の、何かこう複雑な心境とかあるのかな。そういう深い部分までは考えてなかったけど、思慮しておくべき事かもしれないなぁ………。


「ねぇ、清水坂………清水坂は自分がバンパイアになったって知った時、どう思った?」たぶんカットベルさんはさ、掟に従ったと言うよりも寧ろ清水坂に従ったんだね………怪異の者にとってみれば人間族って憧れだから、人間も人間を好むだろうと思っているし。


「最初は人間に戻りたいって思ってたんだけどさ、外見が変わらないからなのかな、これはこれで仕方ないかなって思ってる。便利って程に使う機会はないだろうけど、不自由なワケではないし、理由はどうあれ助けてもらったワケだし」これほどの能力なんて、怪異の者同士の戦闘以外は使い道がないよな。なるほど、たしかに人間なら畏怖の念を抱きつつも抹殺しようとするかも。度を超えた能力を有している者は抹殺しようとする、とかなんとか………たしかにそうかも。人間同士でもそうだし。人間じゃないなら尚更に。


「そういうプラス思考なトコ、清水坂らしいよ」カットベルさんはきっと、清水坂を大切に想ってるんだね。そんな短い間に清水坂と何があったのかな………話しを聞いた限りでは判んないけど。私なんか、もっともっとずっと前からこんなに近くにいたのにさ………。


「ん? あ、でもさ、足手まといになるんじゃないかな、オレ………」喧嘩レベルの話しじゃないし、死という認識を概念としてではなく現実として意識しておく勇気………って言うか、選択肢の内の一つとして覚悟しておくなんて、はたして俺に出来るのかな。いや………しなきゃならないのか。覚悟しなきゃな………どうやって?


「まさか清水坂、戦闘にまで参加するつもりなの? 喧嘩レベルの話しじゃないんだよ? いつどこで襲われるか判んないんだよ? そんなの危険すぎるよ!」バンパイアは基本的に戦闘民族だし、あの闇夜の悪魔の血が流れてる今の清水坂なら好む好まないは別にしてそういう場面に遭遇したらきっと、前に出て打開するという思考になるんだろうけどさ。でもさ、今はまだ人間の頃の感覚が殆どな筈………それなのに、どうしてそんな簡単に身を置けるの? そんなにカットベルさんが大切なの? あ、でも清水坂は優しいから守ろうとするかもなぁ………。


「正直に言えば、凄い怖いよ。たぶんそれはまだ大したレベルではないんだろうけど、それでも殺されるかもしれないっていう事態になった事あるし。慣れる慣れないとか、運が良いとか悪いっていうのも変な話しなんだけど、実際に殺されると自覚せざるをえない状況に身を置いたり、この手で殺したりする場面を経験する事になったら、精神的に自滅しそうな気がする。だってそれは、想像する事も出来ないような経験だから。でもさ、それでも………」あの時は無意識に動いてたけど、よくよく考えてみれば酷い事をしてるんだよな………罪悪感がないのは、カットベルが言ってた血の影響ってヤツなのかな。いや、違うな………きっとたぶん、あの大男とか小さいのとかひょろいのが人間じゃなかったからだな。それに………。


「そうなんだ………ねぇ、そう思ってるのにさ、それでも、それでもカットベルさんの傍に居てあげるつもりなの? イヤだって清水坂が言えばさ、カットベルさんならその気持ちを尊重してくれるんじゃない?」あ、イヤな私が出てきてる………しかも、それに気づいたのに止められないでいる。私、完全に嫉妬してる。


 嫉妬してるんだ、私………。


「それは………うん。そうだと思う」あの大男は人間とはかけ離れた容姿だったからっていうのもあるんだろうな………カットベルの敵だからではなく、偏見? 差別? スフィアさんは人間っぽかったから助けた? いいや、スフィアさんは走り去るのを見て気づいたんだっけ。やっぱ、カットベルの事が好きだからなのかな………でも、カットベルも今の俺も同じ怪異の者なんだよな。


「それならどうして? どうして言わないの?」どうして私を選んでくれないのよ………。


「それは………」惚れちゃったから、カットベルに。


「ねぇ、清水坂………」私の事、どう思ってくれてるのかな。


「ん?」あれ、何か急に………どうしたんだろ?


「もしも私が、実はカットベルさんのように怪異の者だったとしたらさ、清水坂はそれでも今までみたいに仲良くしてくれた?」私の位置が知りたくてたまらない。もしも、


「そんなの当たり前だよ」

「え………っと」


「急に、どうした?」浜本………そんなの当たり前の事なのに。


「そっか………うん」即答してくれるんだね………嬉しいよぉー。うん。そうだったよ。清水坂ってそういう男だったんだ。そうだよね、うん。清水坂ならさ、それがどうかしたの? って感じでさ、おもいきって訊いたのにコッチが拍子抜けしちゃうよってくらいにさ、悩んでた私がバカみたいじゃんってくらいにさ、真正面から受け止めてくれたよね………今みたいにさ。誰よりも優しいから、清水坂は。いつだって私の味方してくれてたから、こんな感じでヤキモチ焼いちゃうのって久しぶりかも。


「ありがと………」うん。うん。そう。そうだったよ。そうなんだよね………こんな事なら言えば良かったよ、私。痛恨の大失敗です。


「そんな当たり前の事を訊いて、どうしたんだよ、急に」しかも、脈絡ないし。


「そうだね………ゴメン」たしか、人間は親兄弟や子供とかとは五割のシンクロ率で繋がってるという。自分自身は十割だから、人間は様々な感情の半分を共有しているという事で、つまり半分は我が身に起きた事と捉える。そしてたしかミツバチはそれが人間よりも多くて八割弱程あって、だから仲間が攻撃を受けると我が事のように大挙して敵を迎撃しようとする。そんな話しを何かで読んだ記憶がある。それをふまえて考えてみればきっと、吸血族のそれは人間よりも強いという事で、たぶんミツバチのそれくらいあるのだろう。殆どの血がカットベルさんの血である今の清水坂は、それが愛情と重なってより強い絆で結ばれたのかな………。


「ホントにどうしたの? 急に」それにさ、怪異の者になったのは浜本じゃなくて俺だぞ。


「あのね、清水坂………」私ね、ホントは清水坂の事が好きなの。大好きなの。しかもね、ずっと以前からそうなんだよ。カットベルさんよりも早く、清水坂の事を………好き好き光線だっていっぱい発射してたんだぞ? なのに清水坂ってさ、そういうの気づかないんだよね。周りは殆ど気づいてるくらいだったのに。大好きだから清水坂と………って、今更そんなのズルいか。でもね、告白する勇気がなかったんだよ。だって、自信なかったもん。だから今もまだ、真実は言わないでおこうとしてる。受け止めてくれるんだと判った今でも私は、劣等感と憧れを抱いてる。固執してる。


「浜本、どうした?」何か今日の浜本はいつもと違う………って、それはそうか。怪異の者がいて、怪異の者になってって言われても、だよな………。


「え? あ、あのさ………あ、うん。しかし残念だなぁ~って、思ってさ」こういうヤリ方じゃないと、チラ見せする事すら出来ないんだよね、私。目一杯に見せつけたいクセにさ。


「ん? 残念って?」やっぱ、少なからずショックなのかな。


「だってさ、彼女が出来ちゃったならもうさ、清水坂とのストレス発散はNGでしょ?」ストレス発散、か………そんな軽い想いなんかじゃなかったのに、どうして私、そう言っちゃったかな。どうして言わなかったのかな………。


「なんだよ、それ………」ストレス発散、か。浜本……ホントは俺、そんな軽い想いなんかじゃなかったよ。


「まさか浮気させるワケにはいかないもんね………これじゃあ、他に相手を探さなくちゃだよ」やっぱり、痛恨の極みだよぉ………。


「何人もキープしてるんじゃなかったのかよ………」浜本は美人だし、優しいし。


「えっ、清水坂だけだよ。ホントにそう思ってたの? そんなの見栄を張ってただけ!」清水坂以外ともだとしたら、それはもはやサルだよ………少し考えたら判るのに。って、清水坂とだけでも既にサルかもだけど。でもそれは清水坂とだから………って、清水坂のバカ! 私は一途なんだぞぉー! あ、そっか。私のせいか………。


「オレにそんな見栄を張る理由が判んないよ………浜本って手紙とかいっぱい貰ってたから、ホントにキープしてると思ってたよ」違ったのか………モテそうなのに。


「実は、あれは全て女子です。更に言うと、同性には今でもモテモテです、えっへん」そんなのそういう事にしとけば清水坂が嫉妬とかしてくれるかなって思ったからに決まってるじゃん………これも痛恨の大失敗か。でも、少しは疑えよなぁ………。


「そうだったんだ………知らなかったよ」あれって女子からだったのか。


「完全に清水坂仕様になってるから、メンテナンスが大変だよぉ………なんてね」清水坂以外と、か………考えらんないよ、そんなの。


「何か、その、ゴメン………」そう言われると、罪悪感が………でもやっぱ、浜本は男からもモテると思うんだけど。


「じゃあ、責任とってくれる?」一緒にナゴヤに行ってくれるとか、今すぐ捺印して区役所に提出してくれるとか………なんてね。


「えっ………」どうすればイイんだろう、俺。からかってるだけなんだろうけど、答え方によってはブッ飛ばされるような気がする……女心は複雑だし。


「チョット! 悩まないでよぉ………もう決めたんでしょ? ったく、清水坂はエスのクセに優しいからタチが悪いよホント」もお………しがみついちゃうぞ?


「エスってそんな………」それは、浜本の方だろ………って、そうでもないか。


「たっぷり経験してますけどぉ? すっかり清水坂仕様になってますし。身に覚えがないなんて言ったら、弄んだ上司と弄ばれたOL遊びしちゃうぞ?」嫌いなんかじゃなかったけどね。寧ろ好………って、完璧に清水坂仕様だな、私。


「え、あの………ゴメンなさい」でも、あれは浜本が……うん。自粛。ブッ飛ばされそうだから黙っておこう。


「なんなら、キープしとく?」私はそれでもイイよ。もしかしたらまさかの大逆転とか、ある………のかな。


「それはどういう意味でしょうか………」からかうなよな………やっぱ、浜本の方がエスだよ。


「勿論、女のプライドです!」ホントはさ、諦めたくないっていう未練がましさなんだけどね………。


「プライド?」意味が判んないよ………からかって楽しんでるようにしか見えないけど。


「………」

「………?」


「あの、さ………」

「え、うん………」


「………」

「………?」


「カットベルさんに出会わなかったら、ナゴヤに来てくれた?」あう、う、ヤバい………訊いちゃったよ、私。


「え………」急だな………でもそれは勿論。


「あ、やっぱ」答えが怖いから言わないで!


「そりゃ、さ。行ったよ」いつかは俺の事、好きになってくれるかもって思ってたから。


「え………ホント?」………そうなの?


「………うん」もしも浜本が、来てとか来いとか言ってくれたら………嬉しいもん。


「そっか………」間違いない。痛恨の大失敗だよ………極みここに極まる、だよ。油断していた私のせいだ。だから、うん。これは運命なんだね。素直にならなかった罰だ。


「うん………」結局は、俺の片想いのまま終わったんだろうけどね………。


「ねぇ、清水坂………」それなら、背中を押してあげなきゃ。


「ん?」何かまた、表情が変わった感じが………。


「カットベルさんを大切にしなよ?」たぶんきっと、清水坂だけが頼りだと思うよ。だって、清水坂に向けるあの表情、そしてあの態度は、噂に聞く闇夜の悪魔とはまるで違ってたもん。


「え、あ………うん」そうだよね。ありがと、頑張るよ。


「それと、その教団にはかなり気をつけて」敵に回すとなると………厄介だから、凄く。頑張って、清水坂。私はいつだって、清水坂の味方だよ。


「うん………」浜本も知ってんのか………有名なのかな? あ、そういえば………何て名前なのか知らない。


「よし、話しは終わり! 夜が明ける前に帰ろう」

そう言って最後のヒトツ、すっかり冷めてしまったポテトを口に運んだ浜本は、ヒョイと立ち上がってスタスタと、レジに向かった。


「え、あ、家まで送るよ」

 清水坂が慌てた様子で追いかける。


「大丈夫よ。襲われても負けないから」

 だって私は………、



 モンスターだもん。



 からん、からん。



「じゃあ、気をつけて」

「うん。じゃあね」

 店を出たのは、夜が明けようとしている頃であった………。


 ………。


 死を覚悟して生を得るに至った夜が明け、朝を迎え、昼と呼ばれる辺りを大きく過ぎた頃。清水坂が住む家の、清水坂の部屋にある、また一つ想い出の増えたベッドの上。


「んんっ………」

 全裸のままで眠っていたカットベルは、今まで感じた事のない心地良い気だるさを全身に感じながら、随分前まで遡らなくてはならない程に遠い昔ならそうであった無防備さで、ふんわりと目を覚ました。

「ん、はうう………」

 顔を沈めていた枕から微かに清水坂の匂いがして、反射的に笑顔が零れる。そしてふと、清水坂が与えてくれた昨夜の余韻を身体のそこかしこに感じる。

「コータロー………」

 脳裏に浮かぶその一つ一つは、カットベルにとって初めての経験で、恥ずかしさと嬉しさが複雑に、そして幾重にも駆けまわり、その結果あまりにも心地良い幸福感に包まれて思考回路が遮断された時間を、あらためて思い出す。

「コータロー?」

 そして気づく。居る筈の清水坂が居ないという事に。

「コータロー!」

 ガバッと身体を起し、部屋中を見廻し見渡す。

「コータロー………」

 が、見つけられず。途端に心が悲しみで埋め尽くされ、脳が不安に支配され、ベッドから跳び出してドアを開け、廊下へと踏み出して匂いを探す。

「何処に行ったですか、コータロー………」

 泣きそうな表情で階段を駆け降りるその途中、物音が耳に届いた。

「コータローですか?」

 階段を下りきった一階の廊下を左にブンッと顔を向け、その音がする場所へと一目散に向かい、ドアを開けて中へ入る。

「コー」

 そこは、浴室に繋がる一室で、洗面スペースの横に洗濯機や脱衣カゴや衣類やタオル等が置いてあり、そのカゴに誰かが脱いだ衣類が収まっていた。

「タ、ロー」

 それを視界に捕らえた瞬間、カゴに収まっている方の衣類の一つを躊躇なくガバッと掴み、顔に近づけて匂いを確認する。

「の、です」

 確認を終えると、奥にある曇りガラスのドアに視線を移す。音がするのはそのドアのそのまた奥で、ここに清水坂の衣類がある。

「と、いう事は………」

 感じた安堵を確信に導こうと、躊躇なくドアを開けた。

「コータロー!」

 すぐに目が合った。驚いた表情の清水坂と。


「えっ、と………ノックってこの国だけの文化なのか?」

 カットベルらしき気配は先程から感じていた清水坂ではあったが、まさかいきなり突入してくるとまでは思っていなかったので、もしかしたらと思ってそう訊いてみた。ノックは日本語ではないのだが。


「はい。乗っかって、えっと、紀伊國屋の竹の分を、7日………なのです」

 清水坂を見つけた安心感に満たされていたカットベルは、ポーッとなりながら聞いていたので、聞きとれていなかった。しかし、清水坂の言う事なら間違いはないと思っているので、その意味は判らなかったがそう言って肯定した。


「いやその………うん、忘れてください」

 天然かなと思った清水坂は、吸血族は基本的に無礼講なのだろうと思い込む事にした。


「忘れるですか? 判りました!」

 カットベルは笑顔でそう言った。

「忘れ、あ、あうう………」

 しかし、眼前の清水坂を見ているうちに昨夜の事を思い出してしまい、恥ずかしさが込み上げてきたので、俯いて目を逸らした。


「ん? どうしたの?」

 急に俯いてモジモジするカットベルを不思議に思った清水坂は、何気なく近寄っていった。


「はううぅ………」

 触れるまで残り僅かという程に清水坂が寄ってきたので、カットベルは恥ずかしさが増して焦りを感じた。しかし、俯いているその視界に丁度とでも言うべきか清水坂の下腹部が入ってしまい、それによって現実的にはっきりと昨夜の事を思い浮かべるに至ってしまい、多大な恥ずかしさと微かな疼きに見舞われて顔を上げた。

「あううぅ!」

 すると今度は、その視界全面に清水坂の顔が入ってしまい、その清水坂と目が合った。

「コ、コータロー………」ぎゅ。って、してくれるですか? 昨夜みたいに、昨夜みたいにぎゅって………してください。

 大好きという想いが感情を独占する。


「お風呂、入りに来たの?」

 しかし、清水坂にそのような気はなかった。


「はう………えっ?」


「寒いもんね。朝は特に」

 故に、そう言って微笑んだ。清水坂は、カットベルが裸で入ってきた事をそう結論したようだ。


「と………はい。そうなのです」

 清水坂に至近距離で見つめられ、微笑まれたカットベルは、それでまたポーツとなってしまい、深く考える事なく肯定の意を示した。


「それなら、オレは上で待ってるから、ゆっくり温まってね」

 カットベルが肯定したのでやっぱりそうだったのかと思った清水坂は、寒いから早く温まった方が良いと気遣って浴室を後にした。


「あうっ?! コ、コ………」

 話しかけそびれたカットベルは、昨夜の事を思い浮かべてしまったのでもう充分に身体が火照ってしまって寒くありません………と、思いつつも、清水坂がそう言うのならそのとおりにしようと、浴槽に足を跨ぎ入れた………。



 ぱたん。



 その一方で浴室から出た清水坂は、畳んで置いてあるタオルを棚から一枚抜き出すと、身体を拭いて服を着た。

「………」

 そして気づく。カットベルが着る衣類が見当たらない事に。しかし、それはそうだ。昨夜の戦闘によってボロボロになった衣類はもう衣類としては役に立たないし、その後の都合上により全裸にしてしまったし、そのまま寄り添って眠ったのだから。

「と、いう事は………」裸のまま浴室まで来た? やっぱカットベルって、触られるのは恥ずかしいけど見られるのは平気ですって感じなのかなぁ………俺はどっちも平気な方かな。逆に浜本は未だにどっちも………って、こらこら。

「なぁ、カットベル」

 気持ちを切り替えた清水坂は、曇りガラスのドアまでカットベルに呼びかけた。


「あう? は、はい!」

 呼びかけられたカットベルは、ザバッと立ち上がりながら返事をした。実は先程からずっと、曇りガラスのドア越しに眺めていた。タオルで身体を拭いているのであろう清水坂を。服を着ているのであろう清水坂を。そして、そのドアに戻ってきた清水坂を。


「着替え、とりあえずオレのでイイかな」

 何を着るのが温かいかなと考えながら、清水坂は訊いた。


「えっ、あ、お洋服ですか………」

 もしかして一緒にお風呂に入ってくれるのかもと期待していたカットベルは、そうではないと判って残念に思った。服を着ているのであろう清水坂を眺めていたのに。

「あ! あああの、あのコココ、コータローのでしたら何でも着るです!」

 しかし、瞬時に思い出す。清水坂の服を着るという事はつまり、自分は清水坂の伴侶であるという証だという事を。そこは未だ、勘違いしたままであった。

「すぐに着るです!」コータローから言ってくれたという事は、アタシを、その、つまり、伴侶だと、そう思ってくださっているですね! ですね!


「持ってきたら置いておくから」


「はははい!」

 清水坂が出ていくのを曇りガラスのドア越しに見送ったカットベルは、満面の笑顔になりながら再び、身体を浴槽に沈めようとした。

「あっ………」

 その時、曇っていなかった鏡に自身の笑顔を見た。久しく見る事のなかった、とても柔らかな表情だった。

「アタシ………」

 それを見て、あらためて思う。清水坂の事で一喜一憂している自身を。

「アタシは………」

 思えば、清水坂と出逢った時からずっとそうであった。それ以前の自分とはまるで別人のように見える程に、きっと幼い頃まで遡らなければ見られないであろう程に無防備な、そんな自身の姿を見て、不意に母の言葉を思い出す………。


『ねぇ、カットベル。アナタもいつか、恋をする時がくるでしょう。もしかすると、アナタはその時、戸惑うかもしれません。恋をすると、その誰かに頼ってしまって、精神が弱くなるからです。でもね、カットベル。アナタならきっと、その大切な誰かを守ろうとも思う筈です。精神が強くなる程に、ね。ですから、安心して弱くなりなさい。弱くなれば弱くなる程に強くなりますよ。さてさて、アナタがどのような殿方を連れてくるのか、私は今から楽しみで仕方がありません。うふふ………♪』


「アタシ、見つけましたですよ………」母様………。

 幸せそうに呟いた………いや、話しかけたカットベルは、ざばんと湯船を跳ね上げるとそのまま浴室を出た。



 ぱたん。



 すると丁度その時、カットベルの着替えを持った清水坂が入ってきた。


「え、あ、ゴメン」

 まさか裸のまま浴室から出て待っているとは思っていなかった清水坂は、それではすぐに身体が冷えてしまうだろうと慌てて謝った。そうではないのだが。


「コータロー!」

 行こうと思ったら来てくれたので、カットベルは嬉しくて清水坂に抱きついた。


「えっ?」

 そんなカットベルをなんとか受け止めた清水坂ではあったが、突然だったので支えきる事までは出来ず、カットベルを抱えたまま廊下へと、更には壁際へと後退した。



 かちっ。


 がちゃ。



 その時、その廊下の先にあるこの家の玄関のドアが開いた。


「ただいまぁー」

 姉の早苗が帰ってきた。なので当然、その後ろに父の祐作、母の百合子が続く。


「「あ………」」

 此方と向こうが向こうと此方をそれぞれの視界に捉えるのに、三秒とかからなかった。


「「「「「………」」」」」

 当然と言えば当然………全員、暫しのフリーズ。


 ………そして。


 家族にカットベルを当たり障りなく紹介し、フリーズの原因と誤解を正し、カットベルに家族を紹介し終えた清水坂は、あらたまって家族の方に向き直った。


「突然なんだけど、オレ………明日からカットベルと、世界を旅しようと思ってるんだ」

 そして、そう告げた。


「「「「ええーっ!」」」」

 清水坂以外の全員が驚く。


「………どのくらいの予定?」

 まずは、百合子が口を開いた。


「それは………決めてない」

 清水坂が答える。


「長い新婚旅行になりそうね」

 そう言って、早苗が微笑む。


「ゴメン………でも、本気なんだ」

 清水坂は同行するつもりであった………仇討ちに。このままこの家で住むとなれば、カットベルが危惧していたような事態を招くかもしれない。既にもう教団には知られている可能性もあるが、早いうちに出ていった方が良いと考えた。放任主義の家族ではあるものの、事情は流石に言えないので、思いついたアイデアがこれであった。


「コータロー………」

 清水坂がそのような覚悟を今の今まで見せなかった分だけ、カットベルはその言葉に驚いた。しかし、嬉しさが込み上げてきてもいた。

「ホントに………イイですか?」

 カットベルはカットベルで、仇を捜す事は諦めて清水坂の伴侶として生きつつ、向こうから来るのを待とうと考えていた。なので、清水坂や清水坂の家族に迷惑をかけないようにするにはどうすれば良いのかを悩んでいるところだった。


「うん。勿論だよ」

 しかし、清水坂は違った。いや、相手を優先するという観点で見れば、清水坂もカットベルも同じである。


「アリガトウなのです………」

 カットベルは微笑んだ。その頬を、幸せの涙が一滴ずつ流れる。


「急な話しでゴメンなさい」


「カットベルさんを苦労させないように」

 清水坂が再び謝ると、祐作はそう言って認めた。可愛い息子の突然の決心は心配ではあるものの、反対する気持ちはなかった。なので、やるべき事はやりなさいとだけ告げた。


「連絡も忘れないでね」

 百合子も同様に、それだけを告げるに止めた。


「その土地その土地のお土産も忘れないでね」

 早苗もボケる事で肯定の意を示した。


「あの、みなさん、ホントにアリガトウなのです………ですが」


「世界で勉強してきます」

 カットベルが何か言いかけたが、清水坂が言葉を重ねた。


「コータロー………アリガトウなのです」

 旅をすると清水坂は濁してくれたが、実際は危険な戦いの旅である。カットベルは自身の事も含めて正直に伝え、せめて清水坂との関係だけは許してもらおうと思ったのだが、清水坂に制されたので、そのまま甘える事にした。しかし、清水坂に及ぶ危険は精一杯以上で取り除こうという気持ちを、更に更に強めた。



 そして。



 そのまま和気藹々とすごした清水坂とカットベルは。


 その夜、家を後にした。



 ………、


 ………、



 ナゴヤに向かう為に。




              第五幕) 完

              終幕へと続く

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