第55話 セリアとシャリア

「はい、次の人〜」

 エルクの町と同様に門の前では門番が水晶を使って通行人を選別していた。


「は〜い、次のひ…と?」

…ん?俺の順番になると門番がじっとこちらの顔を見ていた。


「私の顔がどうかしましたか?」


「い、いえ何でもありません!」

 声をかけるとあっさり通された。なんだっただろう?


「つ、次の人〜」


「なんなのあれ?」

先に入っていたセリスも俺と同じ認識のようだ。


「…リリスのその格好じゃない?」


「え?」

格好?…まあビキニアーマーに近いくらい露出は多めだが…


「でもあの人顔を見ていたんだよね…」


「知ってる人に似てるとか?」


「まさか〜」

 俺がキャラデザしたキャラにそっくりな人って現実にいるわけ…………なんかフラグ臭がする。


「まあ入れたんだからいいじゃない」

 …後でリリスの姿に戻ろうかな?


とりあえず今日は見て回るには遅いので宿を決め、明日は自由行動と言う事にした。








「…シャリア様を見つけた!?」

 先程セリアの顔をジロジロ見ていた男が眼鏡をかけた女性に報告をしている。。

「はい!あれは間違いなくシャリア様でした!」


「まさかこちらに来るとは…港から海外に?」


「それが…今は宿ををとって休まれています」


「…!?この状況で!?シャリア様は何を考えて…?」


「それが二人の女性ハンターを連れているようなのでそちらの都合かも知れません」


「…シャリア様が城を抜け出してからまだ数週間、おそらく身分を偽って護衛を依頼したのでしょう」


「どうしますかケーナ女史?」


「今はまだ動く時ではありません。そのまま監視を続けなさい」

 あまり騒ぐと見つかってしまう。


「監視しているのはナーヴでしたね?」

さらさらと紙に何か書き記すと知らせてきた兵士に渡す。


「これをナーヴに届けてください。なるべく一人の時を見計らって渡すようにと」


「御意」


 シャリア姫の捜索部隊がユウトと出会ったってしまった事により事態がやや斜め上に向かっていく事となった。






「ヘッ…クシュン!」

 なんとか顔を隠したまま街に入ることができた。…だが…船に乗るのにお金が…足らない…


「まさか荷物袋に穴が開いてるとは…」

 あの魔物の追撃をかわしている間にどこかで引っ掛けたのだろう…逃走資金にしようとしていた宝石類がほとんど残っていなかった。


「罰が当たったのかな…」

 自分が生き残る為とはいえ人に魔物をなすりつけてしまったのだおそらくあの人たちは……


「…とりあえず今日は宿を取りましょうか」

 宿へと入っていた。

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