第765話 2021/11/17 需給とか

 本日は4時半起き。体調はまあまあである。これなら買い物に行けるかも知れない。冷蔵庫が空っぽになる前に行っておかないと、「食い物がない! でもしんどい! どうしよう!」てなことになるのだ。余裕を見て動かないとな。

 などと偉そうなことを言っているが、余裕のある行動などしている場合の方が圧倒的に少ない虫けらである。「まあ1日2日くらい何とかなるやろ」「そうそう簡単に死なへん死なへん」とか言いながら先延ばしにするのだ。実際、死ななかったし。

 でもまあ、今日は何とか動けそうなので、四の五の言わずに動いてみる。とりあえず買い物に行って帰って来るだけのシングルタスクである。どうにか乗り切りたい。


 需要と供給を学習するのは中学生くらいだろうか。人は値段が高ければその物を欲しいとは思わなくなり、安ければ欲しいと思う。逆にその商品を売る側は、値段がなるべく高いときに売りたいし、安いときには売りたくない。この相反する指向を表す二本の曲線が重なったとき、そこでは需給バランスが保たれている。このときの価格を「均衡価格」と呼び、これこそが商品のその時点における適正価格である。この均衡価格を導き出す動きそれこそが「市場原理」というものであり、「価格の自動調節機能」とも言われる。なお、これをアダム・スミスが「神の見えざる手」と呼んだ、というのは誤解であるらしい。

 この市場原理を頭に入れた上で使われる言葉が「需要ニーズがある」である。つまり需要曲線が高まっている、ならば供給しなければ損ではないか、ただちに商品を市場に供給しよう、といった動きを見せる場合に用いられる。まあ商品の供給が適正な活動によって行われるのであれば、需要に応じた供給をするのは正しい判断と言えるだろう。儲けられるときに儲けるのは商売の鉄則である。ただし、この「需要がある」という言葉は免罪符にはならない。需要があったら何をしてもいい訳ではないのだ。

 たとえば高級メロンの畑があったとする。ここからメロンを大量に盗んで、市場価格の半分の値段で叩き売りをしたとする。どうなるかといえば、そりゃまあ売れるだろう。誰だって高級メロンを安く買えるなら買いたいのだ。しかしこれをして、「メロンの安価な販売には需要がある」と主張し、泥棒が無罪を叫んだらどう思うか。そんなもの、通じる訳があるまい。メロンの需要のあるなしを語って良いのはメロン生産農家であってメロン泥棒ではない。泥棒には需給を口にする資格すらないのだ。

 昨今話題の転売屋もそうである。需給のバランスを破壊するような行為をしておきながら、「売れるのは需要があるからだ」とうそぶく。転売屋が存在しなければ均衡価格はより低くなり、より多くの商品が売れるにも関わらずだ。需給バランスを無視した購買を需要と呼ぶのは詐欺的な発想であり、寄生虫の自己弁護に過ぎない。「この羽毛布団は100万円で売れた。だから100万円が適正価格なのだ」と催眠商法の首謀者が主張するのとまったく同じ理屈である。もし現時点で法に触れなくとも、限りなく犯罪に近い反社会的行為であることは間違いない。脱法ドラッグのようなものだと言える。

 さてYouTubeには「ファスト映画」と呼ばれるジャンルの動画があった。いまもあるのだろうか。確認はしていないが、あっても早晩消滅するだろう。ファスト映画とは簡単に言えば長編映画の「あらすじ」を作成し、映画の映像やスチル写真などを利用してわかりやすい説明を加えてまとめた動画のことである。2時間の映画を10分とか15分とかにまとめてあるらしい。

 16日に仙台地裁は、このファスト映画を作成したとして著作権法違反に問われた札幌市の無職の25歳の男に対し、懲役2年、執行猶予4年、罰金200万円(求刑・懲役2年、罰金200万円)、ほかの2被告には懲役1年6月、執行猶予3年などの判決を言い渡した。

 裁判長は「ファスト映画は、著作権者が正当な対価を収受する機会を失わせ、映画文化の発展を阻害しかねない」(読売新聞)と非難している。男らは昨年4月から今年4月までの間に、広告収入として約700万円を得ていたが、その間の男らのファスト映画による被害総額は約3億円に上るらしい。

 またこの判決を受け映画や漫画などの海賊版対策を行う「コンテンツ海外流通促進機構」(CODA)の代表理事は、「被告らに対し、民事訴訟による損害賠償請求も検討していく。今後もファスト映画の撲滅に向けて尽力する」(読売新聞)と話した模様。

 まあやっていることの内容を客観的に見れば、虫けらのこの日記も「ファストメディア」と言えるのかも知れない。著作権法違反だと誰かが言い出せば削除せざるを得ない物である可能性もなきにしもあらずであるが、少なくとも虫けら自身はこの記事で広告収入を得てはいない。広告は出るが儲けは全部カクヨムに吸い上げられる。数字的に見るなら存在しないに等しいのだ。つまり、需要はほぼないと言っていい。

 一方ファスト映画の方は金になる。つまり需要はあったのだろう。しかし需要があるから存在していい訳でないことは上に書いた通りである。いや、もしかしたら下手に需要があったがために著作権者の怒りを買い、法的手段を行使されることとなったのではないか。これがYouTubeに公開されずに個人的趣味として制作されていたものなら、ここまで大きな話にはなっていないはずだ。これもまた、ある種の市場原理であるのかも知れない。何にせよ「見えざる手」は見えないのだ。どうせこの程度大丈夫だろう、と思っていたら手痛いしっぺ返しがやって来る。需給のバランスは壊してはいけないなと考える次第。


 現在中東からの移民・難民を2000人ほどポーランド国境に移動させ嫌がらせをしているベラルーシであるが、何で中東の移民・難民が内陸国のベラルーシにまで行くのかと不思議だった。しかし昨日の産経新聞にはこうある。

「ベラルーシは、イラクやシリアでEU行きを希望する人に旅行用の査証を発給し、国内に誘導した上で、ポーランド国境地帯に移送している。移民にペンチを渡し、鉄条網を破って国境突破をあおっているとの情報もある」

 つまりは移民を騙して国境まで運び、ポーランド攻撃のための武器として使っているのだ。とんだ悪知恵である。なお一応付け加えておくが、おそらくこの移民・難民の全員が本当の移民・難民ではない。ベラルーシ政府の意向を受けてポーランドに潜入しようとしている工作員も含まれているはずだ。それがわかっているからポーランド政府は何が何でも移民を入れないのである。

 この問題と並行して、ロシアはウクライナの東部地区に近い国境に9~10万人規模の部隊を集結させているという報道もある。移民・難民と軍隊を使った二面作戦であるが、これをEUでは「ハイブリッド攻撃」と呼び警戒を強めている。

 EUとロシアの関係はイロイロと面倒臭い。ロシアの人道問題や軍事に対する懸念を理由にEUはロシアに経済制裁を加えている。しかしEUにとってロシアは最大の天然ガス供給国であり、ロシア側にとってもEUは最大の供給相手となっている。先般ベラルーシのルカシェンコ大統領が「天然ガス止めるぞ(意訳)」とEUを脅したが、ロシアはすぐさま「こっちは関係ない(意訳)」と不快感を表明した。もし本当にロシアのガスがベラルーシで止められてしまったら、つまりEUからのガス料金支払いが滞れば、ロシアの国家財政が傾くと言われているのだ。

 EUが何をしたところで、ロシアの人権状況が変わることはまずないだろう。あるとしたら、ロシアの財政状況が想像を超えて極端に酷い状態になったときに援助と引き換えに譲歩を迫れるか、くらいだと思う。軍事面での懸念も、相当なイレギュラーが発生しない限り現状が継続するに違いない。まあ日本人として正直な気持ちを言えば、ロシアには永遠にEUと揉め続けていて欲しいと思うところ。極東の存在は忘れてくれていい。


 本日はこんなところで。立憲民主党の代表選にも触れようかと思ったのだが、ほんの2、3行で終わる話だしな、あえて書く必要もないだろう。

 昨日は1500文字ほど書けた。もうちょっと書きたいところだったが、集中力が切れてしまってまるでダメだった。何とか今日は頑張りたい。

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