第658話 2021/8/2 亡命とか

 本日は11時半起き。昨日しんどかったからな、まあ仕方ない。午前中に広島で震度4の地震があったようだが、さすがに大丈夫だろう。日本の家は震度4では潰れない。しかし地盤は緩むからな。この先雨でも降ったときに何か起きなければいいが。


 精選版日本語大辞典の解説によれば、「亡命」とはそもそも「戸籍を抜けて逃亡すること。逐電。また、その人」の事らしい。続日本紀の和銅元年(708年)の記述に亡命の文字が見られるという。随分歴史のある言葉なのだな。しかし現代、この言葉は「宗教、思想、政治的意見の相違により、自国で迫害を受けた場合、または受ける危険がある場合それを避けて他国にのがれること」の意味として受け取られる。

 正直、日本人には「聞いた事はあるが、あまり関心がない」言葉ではないか。何せ日本から亡命する者など滅多にいないからな。1970年のよど号ハイジャック事件の実行犯が北朝鮮に亡命しているが、それを羨望の眼差しで見つめていた日本人はほぼいないはずだ。出て行ってくれて助かったと思った人も多かろう。

 詳しく調べてはいないが、当時でも北朝鮮に移住したければできたはずである。しかし連中は警察に追われていたので、公的機関に書類を提出するなど無理な相談だった。故にハイジャックの末、亡命である。何とも命冥加な事である。亡命した連中はその後の北朝鮮による日本人拉致に関わった疑いがある。まさに唾棄すべきとしか言いようがないヤツらであった。

 さて現在東京ではオリンピックが開催されている。様々な国からイロイロな事情を抱えた選手たちが集まっている訳で、当然政治亡命もあるだろうなとは思っていたのだが、1日、ベラルーシの陸上選手クリスツィナ・ツィマノウスカヤ氏が羽田空港からの出国便に搭乗せず、警察官に亡命の意思を示した。

 本来2日の女子200メートル走に出場する予定であったのに、昨日突然コーチから帰国を告げられ、羽田空港に連れて来られたという。ツィマノウスカヤ氏によれば、

「(5日の)女子1600メートルリレー予選に出場予定の複数の選手が必要なドーピング検査を受けていなかったことで出場資格を得られず、代わりに自分がリレーのメンバーに不本意に入れられた」(時事通信)

 とのコーチに対する批判を7月30日にInstagramに投稿したところ、ヘッドコーチから「上層部の命令で代表から外す」(時事通信)と通告された模様。

 ツィマノウスカヤ氏は過去にベラルーシの政権を批判した事もあり、今回の代表外しは同国のオリンピック委員会より上からの指示があった可能性も考えられる。先月29日にはルカシェンコ大統領が、

「どの国よりもスポーツに資金をつぎ込んでいるのに」

「(外国の選手は)五輪で勝てば何でも手に入るが、負ければパンを探し回らなければならないことを知っている」(以上時事通信)

 と、メダルを獲れない選手たちに不満を表明していた。この事と、今回の亡命が無関係とも思えない。

 旧ソ連構成国であるベラルーシは「欧州最後の独裁国家」と呼ばれ、ルカシェンコ政権は高圧的な政治で国民を押さえつけている。今回のオリンピックも国威発揚と政権浮揚にしか興味がない。この点に関しては日本も余所の事を笑えないが、少なくとも日本では政権を批判して刑務所に放り込まれる心配はないし、基本的に自衛隊や警察が自国民に銃を向ける事もない。与党の政敵が国外追放されたりもしないのだ。共産党が国政政党として存在していられる時点で極めて自由な国と言える。

 ツィマノウスカヤ氏は欧州への亡命を希望していると報じられている。具体的にはドイツかオーストリアという国名が挙がっているが、実際どこに亡命するのかはまだ不明である。

 彼女に対しては、ベラルーシ国内で政権に近いメディアが「お前は国の恥だ」(BBC)との中傷キャンペーンを張っていたらしいし、亡命せずに本国に帰っていたら悲惨な結果となっていたかも知れない。ベラルーシの反体制派メディア「ネフタ」の記者はTwitterでこう述べている。

「大事なのは、ツィマノウスカヤ選手が独裁政権の批判を特にしていないという点だ。単に、ベラルーシチーム関係者が書類手続きを誤って、何の訓練もしていない競技に彼女を登録してしまったと不満を口にしただけだ。それなのに独裁体制の国営メディアは彼女を国家の敵に仕立てあげた」(BBC)

 ベラルーシのルカシェンコ政権が神経過敏になっている様子が伝わってくる。末期症状とも言えるが、独裁国家というのはこの末期症状になってから崩壊までが長い。その間、国民は苦しみ続けなければならないのだ。

 東京オリンピックはまだまだ続く。この先も同様の事態が起こる事は十分に考えられる。2日午前の会見で加藤官房長官は、

「きのう、ベラルーシの陸上選手である、クリスチナ・チマノウスカヤ氏が亡命希望をみずから公表したと承知している。現在、組織委員会、IOC=国際オリンピック委員会などの関係機関で、本人の意向確認などの対応が行われていると聞いている」

「現時点で把握している状況としては、チマノウスカヤ氏は、関係機関の協力を得て安全な状況に置かれているということで、今後、関係機関と協議されると承知している。政府としても、関係機関と連携して適切な対応を図っていく」(以上NHK)

 と述べている。世界が注目しているのだ、日本政府にはくれぐれも間違いのないよう対応してもらいたいと願うところ。


 7月28日、アフガニスタンの反政府武装勢力であるタリバンが、時事通信の取材に応じた。この中で日本などが育成を支援してきた女性警官を始めとする政府の女性職員について、タリバンが関わる体制下でも、

「女性が犯罪に関わるケースがある。女性警官や検察官は必要だ。政府内では他にも女性が必要な部署はある」(時事通信)

 と述べたという。

 タリバンは元々独自解釈のイスラム主義を頑なに守っており、女性の教育や社会進出について否定的な立場であった。いや、否定的というのは間違いではないのだが、タリバンの「否定的」は我々日本人が考える「否定的」とは意味もレベルも異なる。早い話、女性の教育や社会進出を大きな声で求める者は皆殺しにしてきたのである。それが限定的とは言え女性の就業を認めるようになったというのは、態度が軟化したのだろうか。

「今回のタリバン幹部の発言には、タリバンが女性の社会進出にも一定の理解を示していることを強調し、国際社会の印象を良くすることで交渉を優位に進めたい思惑があるとみられる」

 と時事通信は報じているが、まあそういう事だろう。態度が軟化したのではない。より狡猾になっただけなのだ。こんな言葉を真に受けてはいけない。タリバンの目的はあくまで「アフガニスタン・イスラム首長国」を興し世界に認めさせる事である。そのためなら小手先の目眩ましも使う。我々はそれを大前提として彼らを見なければならない。


 アメリカで昨年より新型コロナの蔓延のために職を失い家賃が支払えなくなっていた人に対し、ホームレスの増加防止策の一環として設けられていた「立ち退き猶予措置」が7月いっぱいで失効し、数百万人が近日中に住居を失う恐れが出てきた。アメリカには家賃補助ってないのかと思ったのだが、報道の記事を読む限りあるらしい。しかしその予算は確保されているにもかかわらず、支給が滞っている模様。

 新型コロナのワクチンを巡るドタバタでは「日本は効率的に回る仕組みを作れないのか」的な批判が起こる事もあるが、こういうところを見るとアメリカもそうたいして変わらないのかも知れない。海外の良いところだけを見ると日本はすべての面で周回遅れとなっているかのように思えてくるが、そうそう理想的な国家などないのだ。所詮人間が作っているモノだからな。


 今年も帰省はしないでくれという声がどこかから聞こえているような気もしないではないのだが、まあオリンピックやってるし、説得力はあまりないと思う次第。


 昨日1日、福岡県久留米市のディスカウントストアの駐車場でエンジンをかけたまま駐車していた日産セレナが炎上し、中に乗っていた2人の子供のうち4歳男児は無事逃げたものの、チャイルドシートに座っていた1歳男児が全身火傷の重傷を負い意識不明の状態であるという。

 子供2人を置いて買い物をしていた母親は子供を助ける際に軽い火傷を負った。この母親を批判する声もあるが、虫けらはさすがにこれを責める気にならない。母親1人で4歳児と1歳児連れて買い物しろってか。それはいわゆる無理ゲーであろう。まさか車が燃えるとか母親にとっても想定外だったのは間違いないし、とりあえず車が炎上した原因を特定しなくてはなるまい。話はそれからだと思うところ。


 本日はこんなところで。はあ、ため息をつくと幸せが逃げると言うが、もう逃げる幸せも残っていないのではないかと思われるくらい一日中ため息ばかりついている。やれやれ。

 昨日はミステリーを2000文字ほど書けた。調子が悪いときは悪いなりに書かないとな。何とか今日も頑張ろう。

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