第592話 2021/5/28 天王山

 いま午前2時。起きた訳ではない。例によって例の如く眠れないのだ。今日は病院で薬をもらってこなければならんのだが、このまま眠れないとかなりヤバい。可能なら早く眠って午前10時までには起きたいところなのだが、この分で行くとかなり難しい。いかん、何とか、何とかしなければ!

 ……で、何とかなった。

 結局6時起き。4時間も寝てないが、まあ天井は回ってないし何とかなりそうだ。病院に行って、あと買い物にも行かにゃならんな。ちょっと不安だがどうにか一日乗り切りたい。

 そんな訳で本日はネタ1つ。時間的にも精神的にも余裕がないので。


 俗に「天下分け目の天王山」などと言う。野球やサッカーのシーズンも後半になると、上位チーム同士の対戦の際に用いられる事が多い。しかし実際の天王山は天下を分けるほどデカい山ではない。大阪府と京都府の境にある山で、標高は270メートルほど。名前だけなら有名なポンポン山ですら679メートルもあるから、まあ小山と言うか、ちょっと立派な丘と言ってもいいだろう。

 天王山の「天王」とは午頭天王の事であり、山頂近くに建つ酒解さかとけ神社に牛頭天王が祀られている事に由来する。とはいえ別に総本山という訳でもないし、信仰の中心でもない。

 そんな天王山がさも重要な場所であるかの如く言葉に使われ始めた理由は、1582年の山崎の合戦において、明智光秀軍に対するために羽柴秀吉配下の羽柴秀長や黒田官兵衛が天王山に陣を置いた事による。天王山に陣を構えると、眼下に淀川が広く見渡せるのだ。それもあって古くは応仁の乱、新しくは戊辰戦争でも陣が置かれたらしい。

 要するに、秀吉軍に天王山を取られた時点で明智側の敗北は決定していたのだ、みたいなところから天王山という名前がピックアップされたのだろう。名前の響きも良いしな。ただ史実として実際に勝敗を分けたのは、淀川での戦いらしいが。

 そんな天王山の類語としては、山場や大一番などがある。

 さて国会では6月9日に党首討論が開催されるのだそうな。立憲民主党の安住国会対策委員長はこれを「今国会最大の山場」と称したらしい。山場って言われましてもね。何と言うか「天王山」よりは「天保山」の方が近いのではないか。いまこの状況で首相と枝野党首が討論などしたところで、何が得られるというのか。何の価値を生むというのか。

 まあ枝野氏に「国民がビックリするような新提案」なんて事は無理だろうし、対する首相にも官僚の原稿から離れた「想定外の表明」を期待するのは難しい。討論という形式を取りはするだろうが、実際のところ学芸会のようなものにしかなるまい。演者の側は国民から注目してもらいたいのだろうが、正直面倒臭い。絶対に面白くないしな。

 別に党首討論にエンターテイメント性を持たせろと言うつもりはない。ただ魅力的な演者を用意して欲しいだけだ。「コイツの言葉になんか意味も価値もない」としか思えないような連中が雁首並べても、興味など持てまい。欧米ではやれポピュリズムだ右翼の台頭だ、みたいな話があるものの、日本の場合は現状それ以前の段階であると言える。

 ここで何度も書いているが、日本にはどう頑張っても独裁者など出て来ない。政治家になろうとする連中の中に独裁者を目指そうとするヤツがいないのだから。なるべく責任は取らずに美味い汁だけ吸いたい、この国ではそんなヤツらばかりが政治家になっている。国の権力をすべて我が手に握ってやろう、みたいなアクティブでダイナミックな政治家はどこにもいない。日本の政界はコソ泥の集団なのだ。そんなところから革命家も独裁者も出て来るはずがない。

 天王山、乾坤一擲、頂上決戦、そんな言葉はいまの政界を見る限り、虚しく響くだけである。いま日本の政治にそれを求めるのは、ない物ねだりなのだから。諦めるしかない。

 

 ここまで書いてホッとして少しウトウトしたら、夢を見た。その中でいまは亡き父親に文句をブツクサ言われたのだが、いまさら知った事ではない。鬱陶しいから出て来ないでいただきたいところ。

 本日はこれにてオシマイ。昨日は600文字ほど書けている。何とか今日も頑張りたい。

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