第491話 2021/2/16 火牛の計とか

 本日は11時起き。はうー、寒い。明日はもっと寒くなるのか。マトモに起きれないかも知れないな。

 ハトを助けて動物病院に連れて行く夢を見た。しかし夢の中でも金がない。支払いをどうしようか悩んでいた。そんなところはリアルでなくてもいいのに。で、その後何故か食堂に行くのだが、中国人らしき女の人が「ビール。ビールいくら。ビール」

と大声を出していて、店の人が「6番。6番」と答えていた。それじゃわからんだろう、と夢の中で思った事を憶えている。


「火牛の計」という戦術がある。読んで字の如しではあるが一応説明すると、夜中、敵が寝静まっているときに、たくさんの牛の角に燃える松明をくくりつけて敵陣に突入させ、大混乱を起こさせる。そこに突撃して敵を打ち倒すのだ。

 もっとも古い記録では、史記の『田単伝』に、紀元前3世紀の戦国時代、斉の将軍田単が燕軍に対して用いたとされている。日本では寿永2年(1183年)、平維盛の軍と対峙していた木曽義仲が、倶利伽羅峠の戦いで用いたとの伝説があるし、明応4年(1495年)には後の北条早雲こと伊勢新九郎長氏が、これを用いて小田原を攻略したとの話もある。

 だが結論から言えば、これはファンタジー戦術である。まず火牛の計には中国であれ日本であれ、1000頭ほどの牛を使ったとされる。しかし夜、敵に気付かれないようにしながらそれだけの数の牛をどうやって集めるのか。場所も人手も必要だ。しかも角に松明をくくりつけると言うが、そんなデカい角を持った牛ばかりではない。いや、仮にみんなデカい角を持っていて、松明をくくりつける事が可能だったとしても、そんな顔の近くに燃え盛る火を近付けられたら、牛だって嫌がる。そこを何とかクリアして、とりあえず松明をセッティングできたのだとしても、そもそも牛は競馬場の馬ではないのだ、まっすぐ敵陣に向かって走ってくれたりするはずがない。どう考えたって無理がある。

 ただ、それではこの火牛の計はまったく何の役にも立たない無駄知識なのかと言えば、さにあらず。このまま使う事はできなくとも、応用を利かせれば実際に使える場面があるのだ。

 国軍によるクーデターが発生してから2週間以上が経過したミャンマーであるが、国民の反発は大きく、反軍デモが連日行われている。軍としてはここまで反発が強いとは想定していなかったのだろう、何とかデモを鎮圧しようと躍起になっている。しかしこの現代、そうそう皆殺しにする訳にも行かない。そんな事をすれば自滅するしかない事くらい、ミャンマー軍にだってわかる。ではどうするか。そこで選択したのが火牛の計だ。

 12日、ミャンマー国軍は突如、国内の刑務所に収容されている受刑者2万3314人に恩赦を与えると発表し、釈放した。これにデモを行っている市民たちは不安を隠せない。当然の反応だろう。思想犯や政治犯の釈放ならわからないではないが、この数である、そんなはずはない。当然、刑務所に入れられてしかるべき事をした人間たちが外に出て来たと考えられる。

 街に放たれた元受刑者たちは市民に向かって暴力を振るうかも知れない。あるいは反軍デモに混じってトラブルを起こし、軍に実力行使の口実を与えるかも知れない。まさに松明をくくりつけられた夜中の牛の群れの如く、市民の間に混乱を巻き起こす存在である。

 ミャンマー軍は1988年の民主化デモのときにも犯罪者を解き放っている。何の根拠も自信もなしに行っている訳ではない。古の兵法の実践をこんな形で目の当たりにするのは、何ともいえない気分になる。現代の国際政治の枠組みの中で、何とかする事はできないのだろうか。


 15日、文部科学省が開いた「児童生徒の自殺予防について検討する有識者会議」で明らかになったところによると、昨年1年間に自殺した小中高生の数は479人であり、中でも高校生女子の自殺者数は前年の67人から138人と2倍以上に増え、増加率が突出しているそうだ。

 女子高生の自殺について把握されている主な原因や動機としては、「病気の悩み・影響」の『うつ病』が最も多かった模様。

 鬱を理由とする自殺というのはまあ、理解はできなくはない。しかし、それを「原因」としてしまうのはどうなのだろう。何もなしに鬱になる者はいない。鬱になるにはなるだけの理由があり、それこそが本来指摘されるべき自殺の原因であろう。

 とは言えそれは三人三様、十人十色。百人いれば百通りの原因があるのだろうとは思う。単純に誰かを非難して済む話ではない。ないのだが。まあ批判される事を承知で言わせてもらえば、高校生の鬱の原因など、ほぼ家庭か学校のどちらかである。周囲の人間関係に何の問題もなしに鬱になる者は滅多にいないのではないか。

 だが人間関係は永遠ではないし、絶対でもない。すべての例に当てはまる訳ではないものの、いまを乗り越えれば何とかなる場合が多い。ただ死のみが選択肢であるような状況は、自分で考えているほど多くはないのだ。

 助けてくれるかどうかはわからないが、何かの切っ掛けになるかも知れないので、とりあえず困ったときの連絡先を載せておく。

     ◆ ◆ ◆

◇「24時間子供SOSダイヤル」0120-078-310

https://www.mext.go.jp/ijime/detail/dial.htm

◇「子どもの人権110番」0120-007-110

http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html

◇「チャイルドライン」0120-997-777

https://childline.or.jp/

◇「いのちの電話の相談」0120-783-556=午後4時~午後9時

            0570-783-556=午前10時~午後10時

https://www.inochinodenwa.org/

◇「よりそいホットライン」0120-279-338=24時間対応

https://www.since2011.net/

◇「厚生労働省 相談先一覧」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html

◇「いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)」

https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

◇「一般社団法人日本臨床心理士会、一般社団法人日本公認心理師協会『新型コロナこころの健康相談電話』」050-3628-5672

     ◆ ◆ ◆

 数だけはある。使えるかどうかは不明だが、とりあえず助けたいと思う人間は世の中にいるのだ。それは忘れないで欲しいと願うところ。


 本日はこんなところで。昨日はうちの近辺でも震度3ほどの地震があった。この辺は大きな地震がまずないので――阪神淡路大震災のときでも震度4だった――それほど焦りはしないのだが、気持ちは悪いな。早く落ち着いてくれないものかと願う。

 昨日は1000文字も書けていない。もうちょっと頑張りたいなあ。何とかしよう。可能な限り。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る