第453話 2021/1/9 イギリス3題

 本日は3時起き。寒い。さーっぶい! 最高気温4℃かあ。そらエアコンもガンガン回るわな。いまエアコンは18℃設定なのだが、室温は16℃。今月支払いの電気代が1万7000円ほど。来月いくらになるんだろうなあ。はあ、胃が痛い。


 アニメ『伝説巨神イデオン』で主人公たちと戦う敵、異星人バッフ・クランは「重機動メカ」と呼ばれる巨大戦闘兵器を操るのだが、この重機動メカには大きく分けて3つの系統がある。ギド・マック、ガルボジックといった異形の姿をした物、ジグ・マックやロッグ・マックなど比較的人型に近い2本脚の物、そしてギラン・ドウやドグ・マック、ガンガ・ルブなど3本脚の物である。

 ちなみにイデオンのテレビシリーズは打ち切りだったので、放映できなかったエピソードがあり、それをまとめて劇場版の『発動編』として公開したのだが、そこに出て来るガンガ・ルブの後継機ザンザ・ルブも3本脚である。

 地球とは違う文明、違う文化を持つ異星人を象徴する3本脚のメカであるが、最初に世に現れたのはイデオンの作中ではない。SF好きなら誰でも知っている、もはや古典中の古典とも言えるH・G・ウェルズ氏の作品『宇宙戦争』に登場した火星人の戦闘兵器「トライポッド」が源流である。

 アンティーク家具で3本脚のテーブルや椅子、電気スタンドなどがあるが、あれもトライポッドと呼ぶ。もしかしたらウェルズ氏の着想の元になったのはその辺りなのかも知れない。

 宇宙戦争は1898年発表の作品だが、やはり現代において一番有名なのは1938年のアメリカCBSラジオで流されたラジオドラマだろう。かのオーソン・ウェルズ氏がプロデュースし、リスナーにパニックを起こしたと言われるアレである。「パニックを起こす意図などなかった。宇宙人がやって来て戦う物語など子供向けの番組でありふれているじゃないか」と釈明するオーソン・ウェルズ氏の映像を見た記憶がある。

 宇宙戦争の影響力は凄まじく、それ自体が何度も映像化されたのはもちろん、オマージュ作品を大量に生み出した。上記のイデオンのような例まで含めれば、数え切れない作品が影響を受けている。

 H・G・ウェルズ氏の作品で後代に多大な影響を与えたと言えば、『透明人間』もそうだろう。透明人間と聞いて、それがどういうものか想像できない現代人は、この世界中に1人もいないかも知れない。それくらいメジャーな存在と言える。

 もちろん水を例に挙げるまでもなく、透明になったからといって見えなくなるのはおかしいし、そもそも人間の体はいろいろな成分が部位によって偏在している。それが一律に全部同時に透明になるというのは、いくら何でもご都合主義に過ぎる。物質を透明化する薬があったとしても、筋肉と骨が同じ薬で透明化される訳はないのだ。そして透明人間の話題が出ると必ず言われる事だが、目の網膜まで透明になって光を通してしまったら、透明人間は目が見えなくなる。すなわち透明人間など到底有り得ない存在だ。

 だがそれをわかっていてもなお、透明になった人間という設定には夢がある。何とか屁理屈をこじつけてでも物語中で人間を透明にして暴れ回らせたいと思う作家のまあ多いこと。

 SF、ホラー、ファンタジー、いろんなところに透明人間は出没する。オーソドックスに薬で透明になる者もいれば、光学迷彩のように見えなくなる技術を開発したり、攻殻機動隊の笑い男のように「見えているのに見えていない」状態を作り出す者もいる。現実世界のステルス技術だって、発想の根本をたぐれば透明人間に行き着くのかも知れない。そう考えると、影響力は絶大である。

 さてそんなH・G・ウェルズ氏の没後75年にあたる今年、イギリスの造幣局はウェルズ氏の作品をあしらった2ポンドの記念硬貨を発行した。硬貨に描かれたのは宇宙戦争のトライポッドと、タキシードにシルクハット姿の透明人間。だがこれにウェルズファンが苦言を呈した。そりゃそうだろう、何せトライポッドに脚が4本あったのだから。

 さらに言えば、透明人間はジェントルマンではないらしい。つまりシルクハットはかぶらないそうだ。そして極めつけは、この硬貨の縁に刻まれた文言。

「GOOD BOOKS ARE THE WAREHOUSES OF IDEAS」

 良書はアイデアの宝庫という意味のこの言葉は、ウェルズ氏の言葉だと紹介される事があるのだが、実際にはこんな発言はしていないのだそうな。

 硬貨のデザインを手がけた人物はこう話しているという。

「『宇宙戦争』のキャラクターはこれまで数多く描かれてきた。だから私は何かオリジナルで現代的なものを創出したかった」

「私のデザインはこの本に登場する様々な機械からインスピレーションを受けている。トライポッドや5つの脚と多くの付属物を持つハンドリングマシンなどだ。最終的なデザインは、多くのストーリーを1つの形に統合した複合物であり、H・G・ウェル(原文まま)のすべての作品を象徴し、硬貨のユニークなキャンバスにぴったりだ」(以上CNN)

 まあ何と言うか、言いたい事はまったくわからないではないのだが、そんなところでオリジナリティを出さなくても良いような気がする。いやそもそも、クライアントである造幣局の担当者が何故デザインの変更を主張しなかったのか。もしかしてトライポッドという単語も知らない者が担当したりしたのだろうか。どうせ出すならマニアが唸るような物を出せば良かったのに。まあ、いまのままでも珍品として価値が出るかも知れないが。


 そんなイギリスのイングランドで7日、犬の散歩をしていた女性がぬかるんだ土の中から人骨のような物が露出しているのを発見、警察に通報した。ただちに専門家チームと探知犬が現地に急行、大規模な捜索を行った結果、女性が見つけたのはジャガイモだと判明したのだそうな。

 警察の報道官曰く、

「『現場』を調べたところ、人のつま先に見えたものはジャガイモで、隣にキノコが生えていた」

「通報した女性の注意深さは称賛するしかない。遺体とみられるものを見つけた人は、同じように通報してほしい。それが野菜であることが判明した場合は、うちの警察犬たちがご褒美をもらえたことに感謝するでしょう!」(以上AFP)

 との事。イギリスにも何やかんや問題は山積しているのだろうが、警察がこういうコメントをしても怒られない文化というのは良いものだと思うところ。


 もう1つイギリスの話題。首都ロンドン市のカーン市長は8日、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、制御不能になりつつあるとして、

「ウイルスがロンドンにもたらす脅威が危機的な状況にあるため、重大インシデントを宣言する」(ロイター)

 と表明した。この場合のインシデントとは、「危険な状態に陥る可能性が高い状況」といった意味である。平たく言えば「マジヤバい」と行政が宣言した訳で、つまりはお手上げ寸前という事だと考えれば良いのではないか。

 行政のシステムがイギリスと日本では違うので、「日本の行政も重大インシデントを宣言すべきだ」みたいな話はどうかとは思うものの、一般市民に切迫感を伝えるための手段を幾つも持っているのは参考にすべきだろう。伝えた結果が死者7万8000人というのはイロイロとアレではあるが。


 本日はこんなところで。明日からはほんの少し、気温にして2℃くらいマシになる模様。でも寒いのは間違いない。ああ嫌だ嫌だ冬は嫌だ。

 昨日は1300文字ほどしか書けていないが、とりあえず前に進んでくれたのは有り難い。一昨日は完全に手が止まって、もう何も出て来ないんじゃないかというくらいどうしようもなかったからな。まあ、ちょっとずつちょっとずつ進んで行こう。そのうち何とかなるだろう。

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