第391話 2020/11/8 当確

 本日は2時半起き。いや、いまから寝てもいいんだが、とりあえず書けるだけ書いておこう。日本時間の今日未明にアメリカの大統領選挙でバイデン氏の当選が確実となった。ペンシルベニア州で勝利し20人の選挙人を獲得した事により、バイデン氏の獲得選挙人の数が273人となり、過半数を超えたためだ。これまで慎重だった全米の各メディアは一斉に当確を報道している。


 現在午前3時40分。テレビをつけてみたが大統領選の報道特別番組は放送されていない。騒ぎは夜が明けてからか。どんな騒動になるのやら。まあみんなもう飽きてしまっていて、たいした騒ぎにはならない可能性もあるかな。とにかくノンビリ待つとしよう。


 それにしてもバイデン氏かあ。ワシントン政治に限定すればイロイロ長けた優秀な人物なのだろうが、年齢が年齢である。世界情勢の動きについて行けるだろうか。トランプ氏は独善的な断定が多かったとはいえ、それでも世界の潮流に遅れることなく対応していた。あのバイタリティは凄まじいものがあった。バイデン氏はいまは元気な様子を見せているが、果たして4年間持つのだろうか。任期半分くらいでカマラ・ハリス副大統領に席を譲ったりする事になるかも知れない。


 仮に4年持ったとしても、2期目はない。4年後の大統領選挙では共和党からマイク・ペンス氏が出て来るだろうから。現在の副大統領である。年齢も若いし頭も切れる。ヨボヨボのバイデン氏では相手になるまい。普通に考えれば民主党の次の大統領選挙の候補はカマラ・ハリス氏になるだろう。世代交代が進むのは喜ばしい事だ。あとは能力、特にハリス氏が今後の4年間でどれだけの手腕を発揮できるかにかかっている。


 バイデン氏が大統領に就任しても、トランプ氏の支持者が消えてなくなるわけではない。彼らはバイデン氏が何かするたびに文句を言い、トランプ氏の方が良かったではないかと主張し続ける。おそらくそれは4年間消える事はあるまい。そして4年後ペンス氏が大統領選挙に出馬したとき、彼らはまた再結集するに違いない。ハリス副大統領がその数をどれだけ減らせるか、いかに実績をもってアンチを黙らせられるのか。アメリカの将来、とくにいま明らかになっている分断が解消されるかどうかに関しては、そこが生命線だと思う。


 つまりザックリ言い切ってしまえば、これからの4年はハリス副大統領の4年であってバイデン大統領の4年ではない。彼は単なる神輿に過ぎない。神輿としての立場を逸脱しようとすれば、アメリカ政界は大混乱を起こすかも知れない。まあその辺、日本もあまり他人事ではない気がするが。


 バイデン大統領が就任すれば、日本の首相は朝貢外交よろしくまた握手をするために訪米するのだろうが、その際外務大臣と防衛大臣を連れて行くべきだ。そしてハリス氏に会談を申し込み、日米安保の重要性を徹底的にアピールさせねばなるまい。神輿の相手は神輿に任せておけば良い。何なら安倍前首相を特使として派遣するくらいの事をしても良いかも知れない。とにかく次期政権で中心となるのはハリス氏のはずだ。そこを攻略し、安保体制をより強固なものとする事が日本にとっては最重要課題である。脇目も振らずにそこに一点集中してもらいたいところ。


 一方のトランプ氏はこの先どうするのだろう。もちろん簡単に敗北を認めない事は十分に考えられる。裁判をいくつも立ち上げて、不正選挙を訴え続けるだろう。だがそれが認められる可能性は低い。いかに最高裁判事を保守派で固めたからといって、彼らとてトランプ氏の操り人形ではないのだ。証拠もなしに不正だ不正だと叫ばれても、味方のしようがない。多少時間はかかるかも知れないが、最終的にはホワイトハウスを退去する以外の道は残されていない。


 問題はその後だ。一昨日も書いたが、政界から放り出された後、おとなしくしていればいいのだが、自分の「信者」を集めて第三の政党を立ち上げるかも知れない。そうなると、イロイロ厄介な事が続くに違いない。従来のアメリカ大統領と比較して、トランプ氏はことごとくイレギュラーなのだ。先が読めない。


 大統領選挙で敗北したら笑顔でホワイトハウスを去り、回顧録を書いて出版し、各地の講演でギャラをぼったくる、みたいな「普通の元大統領」の姿が想像できない。主張に正当性があろうがなかろうが、この先も戦い続けるのではないか。民主党はもちろん共和党にとっても「もう勘弁してくれよ」と言いたくなるような存在と化してしまうように思う。下手をすれば大統領への返り咲きを狙うかも知れない。人の姿をした厄災となったトランプ氏を見てみたいような怖いもの見たさはあるのだが、世界のためには落ち着いて欲しいところ。


 誰が大統領になっても、アメリカの対中強硬姿勢はもはや変えられない、という声がある。それ自体はたぶんその通りだろう。だがいま以上にハイレベルな、いま以上に踏み込んだところにまで強硬姿勢を拡大するかと言えば、バイデン大統領ではおそらくその点について期待できないのではないか。北朝鮮問題も同様であろう。ところがその一方で、迂闊に軍を動かしてしまう怖さもある。トランプ氏は言葉は乱暴なものを好んだが、とことん戦争をしなかった。軍の動きだけを見れば臆病と言われても仕方ないほど、とにかく戦争から距離を置いた。それにより困った事になった国もあるのだろうが、少なくともアメリカ人にとってトランプ氏は平和の大統領であった事は間違いない。果たしてバイデン大統領はそこまで平和に執心できるだろうか。平和には決意と決断力を要する。品の良いだけのお爺ちゃんにそこまで期待をするのは無謀ではないかと思う次第。


 とはいえ、日本人としてはもう決まってしまったものはどうしようもない。あとは何とか日本に大きな波が押し寄せてこない事を祈るばかり。


 さて、5時半か。今日はこんなところで。少し早いが朝飯の支度をしよう。

 昨日は1300文字ほど書けた。更新するにはまだ文字数が足りないが、おそらくは今回が最終回になる。延々と書き続けてきた『魔獣奉賛士』もようやく終わりだ。はあ、疲れた。いやいや、まだ終わっていないのに疲れ切ってはいけない。でも1年続いたからな。さすがにもう飽きた。こういうファンタジーらしいファンタジーは当分書きたくない。お腹いっぱいである。次回作は幾つか候補があるのだが、とりあえずしばらく時間を置こうと思う。それまで『懐ソン英雄伝』でも書いていようかな。

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