第327話 2020/9/5 悪役とか

 本日は7時半起き。久しぶりに冷房なしの夜だった。ちょっと暑苦しかったが。今日は昨日より3℃くらい気温が上がる予報なので、昼間はまた冷房が必要だろう。買い物はどうするかなあ。時間はあるのだがやる気がない。困った困った。


 物語を創るとき、構成をシンプルにするなら悪役を用意すれば良い。絶対的に悪い存在を正義の主人公が倒す構図は、誰の目にもわかりやすい。余計な説明をしなくても済む。ただ、このテクニックは創作ならではの物である。現実世界に起こる事象に安易に当てはめると混乱する。

 たとえば第二次世界大戦を、人の心を失った悪魔の帝国である枢軸国に愛と正義の連合国が立ち向かい打ち破った、と解釈すればわかりやすいのは間違いないが、その悪魔の帝国の末裔の一人としては少なからず不満を感じる。実際、あの時代に日本に生きていたのは普通の人間たちであり、悪魔ではなかった事を我々は知っているからだ。あの戦争は正義と悪との戦いなどではなく、結果として勝った側が正義を主張しているに過ぎない。ただし、そういう視点に立って歴史を俯瞰すると、全体が非情に複雑になって理解が困難になる。物事には一長一短があるという事だ。

 さて複雑と言えば旧ユーゴスラビア連邦の崩壊も複雑な話である。何かあるたびにいろんなサイトを見て理解しようと試みるのだが、一向に理解できない。クロアチア紛争とボスニア・ヘルツェゴビナ紛争とコソボ紛争が同時並行的に起こっており、紛争が入れ子細工のようになっている。これを理解しようとするのは、よほど並列処理が得意な者でなければ苦行だろう。

 無論、これもまた強引に簡略化すれば、多少理解しやすくはなる。セルビア人を悪者にすればいい。悪いセルビア人の支配から様々な民族が脱出しようとしたと解釈すれば、個々の紛争は比較的わかりやすくなる。しかし現実がそんな単純な訳がない事は言うまでもない。

 4日アメリカのホワイトハウスにおいて、かつてのユーゴスラビア構成国であるセルビアのブチッチ大統領と、コソボのホティ首相が会談、経済関係を正常化して行く事で合意した。トランプ大統領の仲介によるとの事。まあホワイトハウスで会談するんだからそういう事だわな。

 セルビアの国内的にはコソボはセルビア領内の自治州であるが、コソボ側はすでに独立したと宣言している。セルビアはスラブ系のセルビア人の国で、コソボはアルバニア人の国である。しかしこれはいわば結果論、歴史のイタズラによるもので、元々コソボはセルビア人の歴史にとって重要な地であった。300年程前、オスマントルコ帝国が侵攻してくるまではセルビア人の住む場所だったのだ。

 とは言え、現在コソボの住民の90%以上はアルバニア人であるという。そこでセルビア人優位の支配を受け入れよというのは難しいだろう。これは移民・難民の問題ともリンクしている。日本には関係ない話だと高をくくっていると、いずれ痛い目に遭う事になる。

 まあそんなこんなで、ユーゴスラビアの崩壊に伴いコソボはセルビアからの独立を宣言し、紛争が勃発。北大西洋条約機構(NATO)軍がセルビアを空爆するに至った。繰り返しになるが、コソボに暮らすアルバニア人はオスマントルコ帝国の拡大と共に移り住んできた人々であり、イスラム教徒である。つまりこの空爆は、イスラム教徒のためにアメリカを中心としたNATOがキリスト教徒であるセルビア人を攻撃したという事だ。故にコソボはイスラムの国でありながら欧米に近しく、セルビアにとってアメリカは敵意を向ける対象である。ちなみにこのときロシアはNATOの空爆に強く反対した。よってセルビアはロシアに近しい。

 しかし今回、セルビアとコソボはアメリカの仲介によって少しだけ歩み寄った。これは極めて大きな出来事である。イスラエルとUAEの国交正常化も大きいが、それに匹敵すると言えるかも知れない。これはトランプ政権ならではの功績と言えるだろう。他の大統領ではこうは行かなかったように思う。

 なお、セルビアとコソボの両者はこれを機に、イスラエルとの関係を改善するそうだ。コソボはイスラエルを国家として承認し、セルビアは大使館をテルアビブからエルサレムに移転するらしい。もしかしたらトランプ大統領の関心としては、こちらがメインだったのかも知れないが、まあそれはそれ。結果オーライである。これを切っ掛けにして彼の地に平和が訪れるのであれば、それに越した事はないと思う次第。


「日本には人種差別は存在しない」と言う人がたまにいるが、何をもってないと言い切っているのかよくわからない。人種差別の存在しない国など、この世にあるはずがないと思うのだが。日本で人種差別が大きな問題にならないのは、白人や黒人の数が少ないから差別に遭遇する機会がないだけであろう。

 もちろん、当の白人や黒人もさほど大した差別を受けているという実感はないだろうとは思う。そもそも日本人には嫌いな相手であっても石を投げつけたりツバを吐きかけたりするような文化が存在しない。それをするヤツはゼロではないが、滅多にいない。そういうのが普通にそこら辺にある国と比べれば、日本の差別などないに等しいものなのかも知れない。ただそれと、差別があるかないかは別の話だ。

 日本に暮らす日本人は何も特殊な人類ではない。普通の人々だ。ならば差別くらいあって当然である。ただし、人種差別が社会構造と複雑に絡み合っているような国ではないから、極めて素朴な差別があるだけだろう。「うわっ、外人や」というレベルであるな。だから人種差別絡みであまりおかしな問題は出て来ない。

 アメリカのジョージワシントン大学に勤務する准教授が、ブログで人種詐称を告白したのだそうだ。彼女は「アフリカ系の黒人、アメリカにルーツのある黒人、カリブ海にルーツのあるニューヨーク市ブロンクス出身の黒人」(BBC)であると常々主張していたらしいのだが、実際にはユダヤ教徒の白人であったという。

 こういうのってバレないものなのだろうか。写真を見たが、確かにまあ白人にしては色黒に見えなくもないような気がしないでもない、という感じである。鼻の形が白人っぽくないと言えなくもないが、よくこの程度でこれまで黒人だと主張してこられたものだな、というのが素直な感想。大学ではアフリカやカリブ海からの移民史を教えていたのだそうな。学生には黒人も多かったろうに、何で誰も指摘しなかったのだろうか。

 BLMを考えるまでもなく、アメリカにおける社会と黒人の歴史は複雑である。イロイロあるのだろう。こういう黒人になりたい白人はときどき出て来るらしいが、何かセコい話だな、と思う次第。


 台風10号の接近に伴い、その進路に当たると想定される鹿児島県の離島、十島と三島の両村は、4日史上初となる本土への村民避難を実施した。全員避難ではないものの、合計370人ほどが自衛隊のヘリや村営のフェリーで避難したという。

 まあ今回の台風10号はな。このままで行けばちょっとシャレにならないレベルになるのはほぼ確実であるから、この判断は適切であったと思う。とにかく人的被害が出ない事を祈るばかり。


 本日はこんなところで。やる気はなかったのだが、何とか買い物に行って来た。台風の影響がこちらまで来るとは思わないものの、万が一、何かあったら困るしな。とりあえず明後日くらいまでおとなしくしていようと思う。

 昨日はまったく何も書いていない。まあ仕方ない。今日は何か書けると良いのだが。

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