第239話 2020/6/9 人民日報とか

 本日は8時半起き。これくらいがちょうど良い。少し頭が痛いが、まあどうという事もあるまい。しかし暑い。それにしても暑い。そろそろ梅雨入りもしそうだし、ああ、嫌な季節だ。


 フランスの通信社AFPからの情報は、ここでも連日取り上げまくっているが、日本メディアの報じないニュースがてんこ盛りで、ネタ探しには最適である。ただ注意しないといけないのは、AFPはいささか中国に好意的であるという点だろうか。

 実際、AFPのニュースサイト『AFPBB News』にはAFP以外の通信社からニュースが提供されていて、日本の時事通信もその一つなのではあるが、目立つのは中国からのニュースだ。CNS(China News Service)、人民日報、東方新報、新華社の4社からニュースの提供を受けている。必然的に中国発の情報が多くなる訳だ。

 中でも中国共産党中央委員会の機関誌である人民日報を、新聞として扱っているところに胡散臭さを感じる。確かに新聞の形態は取っているのかもしれないが、基本的に中共のプロパガンダを垂れ流すためのメディアである。そこから出された情報をAFPのフォーマットに乗せて世界に発信している。AFPが公正中立なメディアであるのかどうかには、やや疑問があるところ。

 9日付の人民日報は、AFPBB Newsに「ダブルスタンダードによる国際正義への挑戦は決して許されない」と題した主張を掲載した。それによれば、

「国家の安全を守ることは、いかなる主権国家にとっても当たり前の道理だ。しかし、中国が国家レベルから香港特別行政区が国家安全を守るための法制度・執行メカニズムの確立・十全化に着手すると、米国など西側諸国の一部政治家は少しも気が休まらないようだ」

 とのこと。なるほど、理屈として間違っている訳ではない。

「国家安全立法は中央政府の権限に属する。世界のいかなる国家も、単一国家であれ連邦国家であれ、国家安全立法は国家の立法権力に属している」

「自国の領土で、国家分裂を図るなど国家安全を脅かすような活動を許す国はない。米国や英国、オーストラリア、カナダなど西側諸国には非常に整った国家安全法があり、分離主義やテロリズム、国家反逆罪、スパイ罪、国家分裂や政府転覆、暴乱への参加などの罪に対し、これらの罪を犯した者は数十年の拘禁刑に処せられ、終身刑か死刑が科される可能性が高いと明確に定めている」

 確かにその通りである。ただ、それらの国では基本的に司法は独立している。中国のように共産党の意向一つでねじ曲げられるような法の運用をしている国はない。

「米国の一部政治家は自国では鉄壁の国家安全網を築くために力を尽くし、さらには国家安全を口実に外国投資に制限を設け、公然と『国家管轄権の域外適用』をしておきながら、一方では中国の国家安全網に対してはその壁を崩そうとし、中国の国家安全保護を妨害し、損なおうとしている。これは典型的なダブルスタンダードであり、強盗の論理だといえるだろう」

 実際、アメリカは鉄壁の国家安全網を築くために尽力しているのだろうが、そのために無辜の市民に拷問を加えて良いとしている訳ではない。自国に都合の悪い事をした外国の市民を捕まえて死刑判決を下したり、特定の地域の住民を強制収容所に閉じ込めて「教育」を施している訳でもない。警察による暴力は存在するが、それに対して国民がどう反応するのかは、いま実際に見ている通りである。

 人民日報は以下の言葉をもって主張を締めている。

「米国など西側諸国の一部の政治家は香港地区の長期的安定が十分に保障されることを望んでおらず、彼らが腹の内では香港人民に対して責任を負うつもりなど全くないことが完全に露呈した。ダブルスタンダードが正義と相いれないことには、疑いの余地がない。香港地区の事に介入して中国の内政に干渉しようとするいかなる企ても、失敗が決定づけられている妄想にすぎない」

 効いてる効いてる、といったところか。中国共産党はこんな幼稚な主張が国際社会で受け入れられると本気で思っているのか。虫けらですら突っ込める駄文である。あまりにレベルが低い。そもそもダブルスタンダードであるかどうかと、そこに正義があるかどうかは関係ない。仮に欧米のやり方がダブルスタンダードであっても、それを理由に中国政府に正義が湧いて出て来る訳でもない。言葉の使い方は小難しいが、内容的には自分の主張が通らずに駄々をこねているだけにしか見えない。子供の理屈である。

 ただ厄介なのは、このレベルの低い子供の理屈をこねくり回す連中が、核兵器を始めとする世界有数の軍事力を保有しているという事だ。こんな恐ろしい事があるだろうか。キチガイに刃物もいいところである。国際社会はこの恐ろしさをもっと理解する必要がある。

 そしてAFPも、こんなプロパガンダを垂れ流す事に危機感を持つべきだ。メディアは多様な意見を報じるべきだと考えているのかも知れないが、何でもかんでも埋め草に使って良いものではないと思うところ。


 もう一つメディア関連で。一昨日共同通信は香港への国家安全法導入について中国政府を批判する共同声明に、日本政府が参加を拒否し、欧米から失望されたと報じたが、そのような事実はないと各所から声が上がっている。これはどういう事なのだ。

 以前から誤報の多い共同通信であるが、さすがにこれはシャレにならんだろう。単なる誤報と片付けて良いレベルではない。もし本当に誤報なら、関係者は何らかの釈明をすべきだ。言論の自由は大事だが、それは嘘を報じても構わないという意味ではあるまい。ありもしない嘘情報を流して給料をもらっているのだとしたら、その記者の行為は共同通信社に対する背任であり、詐欺であるとも言える。社会的な制裁が必要なのではないだろうか。


 これもメディア関連と言えば言えなくもない。三重県警は8日、鈴鹿市のアパート敷地内に無断で侵入したとして、三重テレビのアナウンサーの男を逮捕した。45歳のこの男、アパートの住人である男性と同居している同僚の女性アナウンサーに好意を寄せていたようで、調べに対し、「男性と同居する女性に興味があった。部屋をのぞいたり窓に耳を当てて音を聞いたりした」(産経新聞)と、容疑を認めているそうだ。

 地方のテレビ局とはいえ、アナウンサーと言えばそれなりのエリートなのではないか。これまで社会や政治や世界の問題を、真面目くさった顔で伝えてきたのではないか。それでも欲望は制御できなかったのであるな。何とも人間的な。


 虫けらは学校が大嫌いであるから、学校に行きたくないと悩む子供にかける言葉はあるが、逆に学校に行きたくて悩む子供には、かける言葉がない。世界には学校で学ぶ機会を奪われる事が、人生を奪われる事と同義となる国や地域もある。新型コロナの蔓延で学校が閉鎖されているいま、多くの子供が苦しんでいる。

 新型コロナの感染拡大防止のために社会的な封鎖措置の続くインドのケララ州マラップラムで今月1日、14歳の少女が灯油をかぶって焼身自殺した。彼女の通う学校は閉鎖されていたが、1日から新学期の授業がオンラインで開始されたのだそうだ。しかし彼女の家庭は貧しく、スマホもPCもなかった。その事を悲観し、自殺したらしい。

 州の教育相は「各家庭の状況を調査し、視聴環境がない場合は近くの学校を紹介した。授業映像は後で見返すこともできた」(時事通信)と釈明したそうだが、貧しい少女にはこの情報すら伝わっていなかった模様。この州だけで25万人の子供がオンライン授業を受けられないのだそうだ。

 別に虫けらに何らかの罪がある訳ではないものの、何とも胸が痛む。これは何とかできないものなのか。インドはいまだ事実上カースト制が残る国だから、外から手の施しようがないのかも知れない。知れないのだが、人間の知恵とはかくも無力なものなのかと思う。


 本日はこれくらいで。どうしたものか。冷房を入れるかどうかで悩む。うーむ。

 昨日も1500文字ほど書けている。調子は悪くない。ミステリーの方も進んでいると言えば進んでいる。ただし毎回恒例の、「自分の書いているものが面白いかどうかわからなくなる病」が発生中である。面白いはずなんだがなあ。

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