逃亡派

【逃亡派 (EXLIBRIS)/オルガ トカルチュク】

2018年ノーベル文学賞受賞作家の作品。


時計の針が同じ場所を巡っているようで、

一秒だって同じ時間がないように、

散らばった点と点が、決して繋ぎ合わさることはないのにも関わらず、

物語を俯瞰してみたとき見えてくるのは

点を繋ぐように引かれた線と、くるりと循環する円。


人は一人として同じ人はいないけれど、物体として再認識したとき、

それは個性・オリジナルよりも群衆・コピーに近くなる。

例えば半永久的に展示される心臓だとか。

例えば空港で座り込む旅行者だとか。

オリジナル(個人)とコピー(群衆)、

コピー(相対)とオリジナル(絶対)の視点が二転三転する、

認識によるシュールで少し哲学的な旅物語。

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