記憶をなくした超転生者:地球を追放された超能力者は、ハードモードな異世界を成りあがる!
ファンタスティック小説家
第一章 再誕者の産声
第1話 2人の超能力者
息をする事さえ
扉を開けて廊下に現れた男。
靴音を立てながら歩きだした。
「
足音だけが響く白い廊下に人の声が響いた。
「おや、こんにちは。今日も足元からですか、山崎さん」
呼びかけられた男ーー天成は
「あのですね、山崎さん。いつもエレベーターを使うように言われているでしょう?
それ使われると壁や床の原子間の結合が摩耗して建物全体がもろくなるんです。金輪際やめていただきたい」
天成は床から上半身を生やしている山崎へ、不満そうにそう告げると再び歩きだした。
「はは、別にいいじゃないか、今日はトリプルでめでたい日なんだから」
床から這い出た山崎は、肩をすくめながら天成の背中を追う。
天成は少し考えるそぶりを見せてから、ちらりと山崎をかえりみた。
「トリプル? ダブルの間違いでは?」
「いいや、トリプルさ、間違いない」
このハゲは一体何を言ってるのだ、と失礼な事を考えながら天成は指を2つたてる。
「ふむ。まず、国際超能力者機構マナック及び国連への『異世界』の存在提唱が正午」
指を折り曲げて本日の予定を列挙していく。
「そして、『壁』を越え『異世界』へトラベルする異世界飛行士が生まれるのが16時ぴったり……と。ふぅむ、ほかには何がありますか?」
眉根をあげて山崎を見やる天成。
「誕生日だ、忘れてるのか?」
「誕生日…………あー、そう言えばそうでしたね」
天成はポンッと手のひらを打ち合わせ納得顔になった。
「やっと思い出したか。それじゃ75歳の誕生日おめでとう、
「はは、ありがとうございます、山崎さん」
静かな拍手を受けながら天成は75歳の誕生日を祝われる。もうそんな歳になってしまったのか、と流れ行く時の早さに天成は感慨深い気持ちになっていた。
「お前は若くて羨ましいな」
「はは、私は覚醒が18歳でしたので。 その、山崎さんの覚醒はいつだったんです?」
天成は禿げ上がった頭部へ哀れみの視線を向けながら、薄く微笑んで山崎へ問いかえした。
「うーむ。俺の覚醒は62……だったかな。お前と言い、連邦のガキ共が言い、早くして超能力に目覚めた奴らは羨ましい」
「あぁ、彼ら……『
天成は小さな声でそう呟き、どこか疲れたような顔で目頭をマッサージする。
過ぎ去った日々の中での、あの恐ろしい存在との邂逅を思い出し、彼はその身が泡立つのを感じていた。
「お前が責任を感じる必要はない。どの道、先の悲劇は避けられなかった」
「ん? あぁ、いえ違いますよ。私ごときの力でどうにか出来たなんて自惚れてはいません。
何かを諦めたような表情の天成は含みのある微笑みを浮かべる。
山崎も何かを悟ったようにニヤリと笑顔になった。
他愛のない話に花を咲かせる青年と老年の男は揃って足をとめた。
廊下の突き当りに設置されたエレベーターにたどり着いたのである。
「では、行きましょうか」
「行くのはお前だけだろう?」
「ふむ、たしかに」
互いに薄く笑い合い、2人の老人は揃って一歩踏み出す。
すると2人の身体はエレベータ扉をなんの抵抗もなく透過して抜けた。
幻ではなく、超能力によって可能になる奇跡ーー。
先ほど注意する立場だった天成も、建物を労わる心を忘れて遠慮なく、力を使ったようだ。
その光景に山崎は若干微妙な表情をしているが、当の天成はどこ吹く風。
縦長のトンネルに投げ出された2人の超能力者は人乗る箱が上がって来るのを待たずに垂直に自由落下し始める。
「我々が世界を救うのだ」
「今日は偉大な日になりますね」
二人の男は獰猛な笑みを浮かべながら遥か地下まで落下していった。
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