第14話 僕と幼馴染と――――――
〖秋が来た。すぐ冬が来る―01―〗
…………幻だと信じたい。今すぐにでも忘れたい。
まさか、夢乃に新しい彼氏が出来ただなんて。
いや、断言するには早い。ただ、2人で歩いて帰っていただけだ。…………十二分に怪しいじゃないか………。
「………別れたっていっても………僕と夢乃の関係はそんなものだったのか?僕って、夢乃にとってはどうでもいい存在だったっていうのかよ!!」
………あぁ。もう、いい。とっとと忘れよう。頑張って忘れよう。記憶から完全に消してしまおう。
「これまでの楽しかった思い出も、全部……忘れよう………!!」
夢乃の事を考えるだけで胸が苦しくなる。しょうがないだろ、1度思いっきし惚れちまったもんは。
なんで、僕は夏祭りの時―――――――――――。
〖秋が来た。すぐ冬が来る―02―〗
学校から帰っても、すぐ部屋に閉じこもる。
学校でさえ、必要以上人とは喋ってない。
喋る気にもなれない。
喋っても、時坂ぐらいだ。
本当、今は時坂が心の拠り所だ。
そういえば……………。
僕は夢乃が別れ際に放った言葉を脳で反芻する。
"柊太…………どうか、私を見つけてね……?”
本当に、これはどういう意味だったのか今でも謎のままだ。夢乃は、僕に何を伝えたかったんだ?
でも、もう夢乃と関わる事なんて滅多にないだろう。話すことも、ない。
でも、なんだ?ずっと、心のどこかで糸が絡んでいる。ほどけそうでほどけない。後、何か1つ見つければほどけるはずなんだけど……………。
「あー、くっそ。もう、頭を使うのは止めよう…。
そうだよ、今更考えたって遅いんだ……夢乃はもう、彼氏だっているんだし………」
三辻という男は、確かにチャラチャラしてはいるが、みんなをまとめる力だってあるし、かなり周りからの信頼は厚い…………と聞いた事がある。
…………夢乃が惚れるには十分か…………。
でも、そしたら何故夢乃は僕に惚れたのだろう?
考えもしていなかったな……………。
すると、スマホの着信音が鳴った。
……………時坂か?
そう思い、スマホの画面を見ると……………。
こう、書かれていた。
――柊太へ――
助けて
―――――――――――――と。
こう、端的に書かれていた文字を見て。
身体が勝手に動いた気がした。
何も意識していなかった。
ただ――――動け!――と、身体が、本能が叫んでいた。
どういう状況下に夢乃が居るのかもわからない。
でも、夢乃が僕を頼った。
応えるしかないだろ、僕はさ。
絶対に、夢乃に何か合わせたりしない。
彼氏彼女の繋がりじゃなくたって関係ない。
僕が夢乃を好きな限り。
僕があいつを守ってみせる―――――――――。
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