ファランクス VS JK

 槍が胴体を串刺しにせんと向かって来る。

 しかし、槍は所詮槍。軌道が鞭のレベルでしなる・・・訳も無いし、長いと言っても盾を持っている関係で片手で扱える長さの槍。長さが10mを超す訳でも無い。オマケに複数人で同じ人間を狙うから槍がぶつかり合い、巻き添えを喰わない様にしているから動きも制限されて、正直言って…………

 「止まって見えるの…… よっ!」

 胴体を串刺しにする……筈の槍を躱し、その槍を掴み、その上で鉄棒のようにバランスを取ってアクロバティックに………

 ガキンッ!

 兜諸共頭を蹴り飛ばす。

 「おぃいい!しっかりしろ―!」「不味い!兜が凹んでる!」「何だアイツ!」「魔法の気配は無いぞ!」「一体何のチートだ⁉」

 狼狽える槍の人達。

 魔法?チート?何を言ってるの?

 「そんな薄い金属、スチール缶潰すのと変わらないでしょ?」

 スチール缶潰すのに魔法なんてファンタジーやチートなんて大袈裟なもの……要る?

 「えぇい!密集陣形構えぃ!」

 槍男の1人がそう言うと、槍男達がギッチギチにスクラムを組んでこちらに向かってきた。

 「……ファランクスって奴かな?確か正面からやると強いけど、横からの攻撃に弱いって奴。あんまり知らないけど………まぁ、ンな事知るかぁ!」


 ズバガァン!


 手っ取り早く正面から殴って始末する事にした。

 いや、側面が弱点なのは知ってるけど……………わざわざ横に回るのって面倒じゃない?

 実際正面に当たった盾が凹んでるし、効果てきめんだし、OKOK。

 「こんのぉ、化物が!」

 辛うじて踏み止まった奴が何か失礼な事を言った。

 「ッ!」

 メシメシメキギギギギ………

 盾が割れた。というか、盾が紙切れの様に破れた。

 「華のJK相手に、可憐な美少女捕まえて、化物ってアンタ達、ちょっと礼儀的にどうなの?」

 人を同意無しに掻っ攫った挙句、化物扱いって、私の乙女心傷だらけ!

 「しっつれいしちゃう!」

 頭突きを噛まして一人気絶させる。

 気絶した騎士(失礼)を捨てると、目の前にまた二人の鎧が立ち塞がった。


 「もう良い!お前達、退け!」「お前達では話にも相手にもならん。」

 ガチャガチャした音を立てて、緑と赤の鎧騎士が迫って来た。

 歩き方がこいつ等よりマシだ。

 得物は………妙な紅色の刀身の太刀と、妙な翠色の大鎌。

 両方共洒落にならないデカさだから、技量腕力共それなりに高い。

 仕方ない。アレをやるか。

 「かかって来なさい誘拐犯。

 アンタ達にアンクルブレイクってものを見せてあげる。」

 かかって来いと言わんばかりに人指し指をチョイチョイとした。

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