波状線


窓から滲んでくる

環状線を行き交う車の音

ぼんやりとしたそれは

ふるさとの浜辺で聴いた

波の音にも似ている


時折

近づいてくるヘッドライト

住宅街を

さっと擦り抜けてゆく


長い夜になりそうだと

千鳥足のアラブ系住民が

歌うように駅の方へ向かう


よくできました世界

今日も、ほんとよくできました

疲れた身体を労わる

深い蒼い夜が続いていく


片づけなければならないこと

とりあえず明日の朝までに仕上げるべきこと

絞り込んで

グゥ〜と腕を伸ばし

窓からの風を

大きく深呼吸して

2階からの

夜景鑑賞を終わらせる


窓から

うっすらと光が滲んでくるまで

一定のボリュームで

環状線を行き交う車の音は

あの日々の波のように響き続け

鼓動の目安として寄り添ってくれる



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【 初出 】


詩のブログ

『 橙に包まれた浅い青 』


2021年07月21日

「 波状線 」

http://komasen333.blog.jp/archives/10340656.html

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