遠交近攻

 王ヨルダやその周辺は予想通り慌ててふためいていた。それもそのはず、自分が知らぬところで、自分の軍が魔物の大軍勢を倒したことになっている。




それにより、各国が脅威を感じノルディン王国を除く大国5カ国が同盟を個々に結び、反ノルディン連合を結ばれる危険性があった。




「どうしたら良いものか。我が軍がしでかしたことではないのに、なぜこんなことになった。」




そう言って王は苦悩している。そこにあの鋭い指摘をした臣下が提言する。




「王よ、我が国は今こそ、アルトリア王国、ルベルタとベルガベムラと同盟を結ぶべきではないでしょうか。」




その言葉に王は耳を傾ける。




「アルトリア王国は、我が国に次ぐ軍事力を持ちます。その国と同盟を秘密裏に結ぶことにより、もし、連合を組まれたとしても、対抗できるでしょう。




まず、隣国のジルド皇国は、長きに渡る魔王軍との戦争で国力は疲弊しており、我が国と戦争をする力は残っていません。




次に、遠方に位置する、ルベルタとベルガベムラその国々は、まだ国内がまとまりきっておりません。




その国々とは、遠交をし、隣国ポスタニアとの国境に戦力を集中し、我が国の武勇が知れ渡っている今のうちにこれを武力で脅し、講和を開く必要があると考えます。」




王ヨルダはそれを採択し、すぐに使いをだす。




 窮地に追い込まれるノルディン王国であったが、王ヨルダは親類の伝手を頼り、ポスタニアの隣国に位置するアルトリス王国、に同盟の打診を行う。




その内容は、1.ノルディン王国でとれる資源(羊毛、鉱物)の優先販売


2. 不可侵条約3.ポスタニア国侵攻際の領土一部割譲 という内容であった。




この同盟内容に、アルトリス王国はすぐには、飛び付かなかった。苦心したノルディン王国の王ヨルダは、4つ目の条件として、アルトリス王国の交易品には、税をかけないことを提示する。



魔王城での講和会議から、約55日後に、ノルディンアルトリス第3次同盟が締結されることとなった。




 遠方の2カ国ともこの同盟を聞き付けて、一気に話しが進むのであった。




そして、ノルディン王国はポスタニア国の国境付近に軍を進めるのであった。その裏で、密かに講和会議を模索しながら。




しかし、その一筋の平和への道のりをあの男は、潰してやろうと策を巡らせる。




「準備は整った。これから、面白くなっていくぞ。」




そう呟きながら、彼はほくそ笑むのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る