とあるエルフの似非現実

中の人

第1話 プロロゴス

壊れないように


落とさないように


大切に


大切に


両手で抱えて温めていたもの


スノードームのような


丸くキラキラしたその宝珠は


あの方の宝物


何よりも優先して


何よりも愛を注ぎ


何よりも守り


育て育み見守った


空間が引き裂かれるように


甲高い音がして


それは・・・


砕け散った


「あぁ大切なものを手放したら」


「僕の両手はこんなにも自由だった」


それを眺める一人の若者


短的に言えばだが


『ジジイめまた飽きやがった』


言葉には出さないのだが


「どうかなさいましたか?我が主よ」


「砂か 悪いが今回は見てきてくれんか」


「すべての破片にでございましょうか?」


「いっそすべてを塵に変え掻き集めましょうか?」


「いやいい悪かった下がってよい」


「畏まりました我があるじさま」


『どっちみち尻拭い確定だけどな』


こうして始まった世界の終わりは


始まったばかりでした


その時はまだ


こんな事になるとは


誰も思わなかったのです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る