運命

曲がりきれないカーブに沿って

涙の速さで突然はみ出して来る

そんな 慌てん坊の運命がいる

口笛を吹きながら

命の窓を汚しながら

白い鳩の鳴き声を

悪戯めいて掻き消してしまうソイツは

“アタリマエ”が催すくしゃみまぎれて

僕らの呼吸の何処かを這いつくばって生きている


そう 運命は生きている

そしてそれは ふとしたことで死んでしまう

汗ばむ肌への着地を失敗すれば

つるりと転んでもう二度とこの世に帰らない

慌てん坊なら尚のこと──


僕らは命という宇宙そらに彩られている

深く生きるように 広く満ちるように


だから レンズを絞って生きなくてはいけない

模糊としたフレームの中で

悠長に生の水を流し続けるのではなく

いつも ほんの少し

レールを磨いて進んでいけば

きっと したり顔の運命は遠ざかって

キリリとしたもう一つの運命が

“アタリマエ”の嚔に紛れ込むに違いない


信じることは 生み出すこと

喜ぶように 生きること







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