苦悩

 むし鳴きて たけき祈りに 濁り風

 おぼろなりせば 永久とわ彷徨さまよ


砂塵が僕の血管の中でジャリジャリうごめき 透明な屁理屈を尚も盛んに謳歌している 僕は今生きているのだろうか それとも息をしていないのだろうか そんなことよりも僕には光が見えないことの方が何となく恐ろしい 哀しみに人はなさけを寄せることもあるけれど その哀しみを産んだ母は誰かの喜びだったのかも知れない…… 嗚呼! 蜜味の磁力が僕の琴線を引き千切る! 現代の光は僕には少々明るすぎる 声にならない声が 声なき声が余りにもうるさすぎる だから僕は胸の鉄扉をガチャリと閉めて闇の一滴ひとしずくに漂っていたい 束ねた日記帳の上に立って僕の歴史を感じていたい 大切なのは 他人事ひとごとならぬ独り言 芯のついえた蝋燭ろうそくがガツガツガツガツと熔けていくような…… 心の風船に次に刺さる針は何だろう 一時いっときの朝か無限の夜か それを知るのは スットボケの神様しかいない…… そうだ 祈りだ 僕には祈りしかない 友とすべきは哀の祈りだ そうすれば 誰かの涙が氷漬けの太陽を焼いてくれそうな気がするから 僕は明日もきっと 根気の膝をガックリ折って また祈るのだろう

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