君よ
遠い遠い未来の
人は生きることができない
大海にぽっかり浮かんだ砂漠のような
人間には許されていない
蚊の顔でやって来る天の遣いを
欲望色の旗を広げて
唾を忘れて渇いた喉に
自ら矢を当てる者もいる
そんな喜劇的な悲劇に捉えられながら
人は今日の心臓を生きている
喘ぎながら霧の街を建てる人もいる
しかしそれでもなお
束になった昨日たちは
私の背中を張りつめた騒音と共に押し流す
明日という希望の灯の
音を立ててこの身を寄せていく
壇上の永遠は人に語りかける
「汝ら常に我と共にあり」
しかし永遠は人の涙の重さを知らない
傷口から溢れる血の妙味を知らない
だからこそ私は生きる
絶えず吹き
小さな根を張って生きるのだ
はち切れそうな
落ちた
蟻が
ひいては大きな楽園の種子となって我が身を誇る
何故に人の血潮が
虚無の穴蔵へのみ転がり込むなどと言えようか
何故に
自分の落ちた心を救わぬなどと言えようか
生きよ 君よ
どこまでも大切な空の果てに
いつまでもその勇気の腕を伸ばしながら
約束された雄々しき朝の
さらにその遥か向こうまで
どうか 生きよ
命という 限りなく痛ましい奇跡の中で
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます