002
課長が咳払いをひとつする。
「一応聞いておこうかな。ケンカの原因は?」
マズイな、これはくだらなさすぎる。
痴話喧嘩も大概にしとけと自分でも思うもん。
私が黙っていると、坪内さんが口を開く。
「こいつが俺のことを名前で呼ばない。」
「だから急には無理だし、例え呼んだとしても会社では絶対に言いませんから。」
子供みたいに膨れる坪内さんに、すかさず反論する。
私たちのやりとりを見て、課長はクスクス笑いだした。
しまった。
課長の前でまた言い合いをしてしまった。
だいたい坪内さんも坪内さんだ。
わきまえてよ。
「俺の奥さんも、結婚するまで俺のこと名字で呼んでたよ。自分は名前で呼んでほしいって言ってきたのに。」
懐かしむように、課長は目を細める。
怒られると思っていた私はポカンとしてしまう。
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