004

面談室で秋山さんと話をする。

多くは語らない。

たぶん元彼と浮気相手が会社をやめたことは、天野さんから聞いているに違いないから。


「もうちょっとここで頑張ってみない?」


俺の言葉に、彼女は静かに頷いた。

可愛い部下がいなくならなくてよかった。

俺の肩の荷も降りたってもんだ。


そんなバタバタから一週間、また問題が起きた。

うちの問題児、坪内くん。

彼の元に付ける派遣がしょっちゅう入れ替わる。

問題児と言ったけど、彼が悪い訳じゃないのは知っている。

こちらも上手くいかないんだ。


何しろ社内で王子様と称されるくらいイケメンだから、女の子がすぐに彼の虜になってしまう。

じゃあ彼の下に女の子の派遣を付けるなと思うだろう。

単価が抑え目で少しだけデータベースが触れる人を募集すると、派遣会社は若い女の子を連れてくる。

あくまで坪内くんの補佐的業務なので、単価を上げられないんだ。

これは課長権限じゃ無理だ。

だから仕方なく雇ってはいるんだけど。


そしてまた、今回も短期間で辞めてしまった。

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