第一首 唐揚げ 六句
じいさんはおれの頼みは大概聴いてくれ、おれの疑問にはいつも美しい答えをくれる。そんなじいさんにおれは随分となついていた。
けれど、書庫蔵関連の話だけは、やはり、尋ねても答えてはくれなかった。
ある日、じいさんの激昂した声が蔵から聴こえたことがあった。じいさんが書庫蔵から戻ると、所々散り散りに破れまくっている本を抱えながらおれを睨み、
「書庫に入ったりしてないだろうな?」
と訊いてきた。そんな覚えのないおれが首を横に振ると、
「そうか……。今日はもう帰っていいぞ。それからこのことは誰にも言うな。」
と、抱えた数冊の本を見つめながらおれに告げた。
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