異世界の真実

森唄 鶴人

魔王の真実

私は魔王特命部隊隊長、ゲルロズ。

私は50年以上魔王様に仕えている。魔王様に最も信頼を寄せられている幹部であり、私がいなくては魔王様は魔王という地位についていてない、という自負がある。証拠に魔王城近くのダンジョンの担当をしている。


私の仕事は、勇者を殺さないことだ。何を言っているかわからないかもしれない。しかし私が魔王様から受けた命令は勇者を殺さないようにすることである。そして勇者のレベルがある程度まで上がるように魔物のレベル、魔物の数、メタル系モンスターの出現率を調整することである。なぜそんなことをするか、私は魔王様に聞いたことがある。すると魔王様は

「勇者がワシを倒さないと正義が体現されないだろ」

なるほど絶対的な悪である魔王様は勇者に倒されることで、そこに「正義」を実現していたのだ。私が一生ついて行こうと決めた瞬間だった。

今日も私はメタル系モンスターの出現率を1/64に調整する。

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