つづり欠けの繊切り

天川 黒野

ろうそく(1)

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とても暗い暗闇、ちりんちりん、鈴の音。

恐ろしげ、木のさめはだ、逆立てて怒る。

落ちる棘、さくさく踏み進む。

痛いものは嫌いよ。唸る猫、牙出して。

揺れる尻尾、闇を払い、新たな光を呼ぶ。


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蝋燭ろうそくを燭台に乗せると、周りがふっと明るくなった。

窓の外は寒い冬で、凍えた木はさらに弱々しくなっている。

それを優しく三日月が照らす。

今にも折れそうな古いテーブルに乗っているのは、シチュー。

奥には暖炉が赤々と燃えている。


ここでは当たり前の冬の風景である。


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白い波、さざなみ。海の穴を埋めるものよ。

いつか全てを飲み込んでしまっても、私の記憶の中では生き続けている。

色んな色を、自分のものにしてしまおう。

死んだ珊瑚礁、魚を捕らえる年寄りのカモメ、どこかからきた浮き輪。

どこかで息を吹き返していたらいいのに。


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