第五章.美しくありたい

プロローグ

「──な、──でも」


ふざけるな、なにがなんでも俺はこの場所から脱出してやる! 薄気味悪い魔法使い共の巣窟め! いつか根絶やしにして、徹底的に破壊してやる! 俺は決してお前ら獣を許しはしない!


「──けるな、──んでも」


ふざけるな、なにがなんでも俺はこの場所から脱出してやる! 薄気味悪い魔法使い共の巣窟め! いつか根絶やしにして、徹底的に破壊してやる! 俺は決してお前ら獣を許しはしない! あぁ……この空間にただよう空気までもが俺を蝕むッ!!


「──ざけるな、──なんでも」


ふざけるな、なにがなんでも俺はこの場所から脱出してやる! 薄気味悪い魔法使い共の巣窟め! いつか根絶やしにして、徹底的に破壊してやる! 俺は決してお前ら獣を許しはしない! あぁ……この空間にただよう空気までもが俺を蝕むッ!! なぜ大戦から四千年も経っているのに奴らを根絶やしにできていないのかッ?! これは政府の怠慢だッ!!


「──ふざけるな、──がなんでも」


ふざけるな、なにがなんでも俺はこの場所から脱出してやる! 薄気味悪い魔法使い共の巣窟め! いつか根絶やしにして、徹底的に破壊してやる! 俺は決してお前ら獣を許しはしない! あぁ……この空間にただよう空気までもが俺を蝕むッ!! なぜ大戦から四千年も経っているのに奴らを根絶やしにできていないのかッ?! これは政府の怠慢だッ!! 俺の憤りが天を貫き、哀れな母神を助け出さん事をッ!! 大地を常に下にッ!!


「──君?」


「──も、ふざけるな、──にがなんでも」


ふざけるな、なにがなんでも俺はこの場所から脱出してやる! 薄気味悪い魔法使い共の巣窟め! いつか根絶やしにして、徹底的に破壊してやる! 俺は決してお前ら獣を許しはしない! あぁ……この空間にただよう空気までもが俺を蝕むッ!! なぜ大戦から四千年も経っているのに奴らを根絶やしにできていないのかッ?! これは政府の怠慢だッ!! 俺の憤りが天を貫き、哀れな母神を助け出さん事をッ!! 大地を常に下にッ!! …………あぁ、なぜ? なぜ彼らは未だに生きながらえているのか、私にもっと力があれば……ッ!!


「──? ──ル君?」


「──でも、ふざけるな、──なにがなんでも」


ふざけるな、なにがなんでも俺はこの場所から脱出してやる! 薄気味悪い魔法使い共の巣窟め! いつか根絶やしにして、徹底的に破壊してやる! 俺は決してお前ら獣を許しはしない! あぁ……この空間にただよう空気までもが俺を蝕むッ!! なぜ大戦から四千年も経っているのに奴らを根絶やしにできていないのかッ?! これは政府の怠慢だッ!! 俺の憤りが天を貫き、哀れな母神を助け出さん事をッ!! 大地を常に下にッ!! …………あぁ、なぜ? なぜ彼らは未だに生きながらえているのか、私にもっと力があれば……ッ!! どうして、どうしてなのだッ?! どうして母なる空は囚われているのだ……我らに力を……与えてくれ……ッ!!


「──ル君! ──レル君!」


「──んでも、ふざけるな、──な、なにがなんでも」


ふざけるな、なにがなんでも俺はこの場所から脱出してやる! 薄気味悪い魔法使い共の巣窟め! いつか根絶やしにして、徹底的に破壊してやる! 俺は決してお前ら獣を許しはしない! あぁ……この空間にただよう空気までもが俺を蝕むッ!! なぜ大戦から四千年も経っているのに奴らを根絶やしにできていないのかッ?! これは政府の怠慢だッ!! 俺の憤りが天を貫き、哀れな母神を助け出さん事をッ!! 大地を常に下にッ!! …………あぁ、なぜ? なぜ彼らは未だに生きながらえているのか、私にもっと力があれば……ッ!! どうして、どうしてなのだッ?! どうして母なる空は囚われているのだ……我らに力を……与えてくれ……ッ!! 力さえ、力さえあれば俺の恋人は……ロザリーはッ!!


「クレル君?!」


「──ッ?! 薄汚い魔法使いがッ!! 俺に触れるんじゃないッ!!」


「ぅあっ……」


ふざけるな、薄汚い魔法使いが許可なく俺に触れやがってッ!! 反吐が出るわッ!! 何も知らない顔して本当はその皮の下に仄暗い『欲望』を隠している癖にッ!! あぁ、あぁッ!! 奴に触れられた所がまるで火傷のように俺を──


「おれ、を……違う、違う……違う」


俺は今なにをしている? この人格は誰だ? なぜ俺の隣でリーシャが泣きそうな目でこちらを見ている? 彼女の頬はなぜ赤く──そうだ、俺は……僕は彼女になんて酷いことを……。


「リーシャ、違う……違うんだ……僕じゃない……」


「わ、わかっ……てま、すから……」


そっとリーシャの頬に触れ、白百合を『対価』にその傷を癒しながら僕は泣いて彼女に謝る……本当にごめんなさい、これは僕じゃないんだ。


「ごめんね……ごめんねリーシャ……」


「私、は……大丈、夫で……すか、ら……ね?」


なぜだか涙がまったく止まらなくて……女の子を殴ってしまったという事実になぜか胸が締め付けられて……年甲斐もなく彼女に泣き顔を晒してしまう。


「許しておくれ……許しておくれリーシャ……」


「は、い……私は許し、ます……か、らね……?」


眉尻を下げて困った表情をするリーシャにさらに申し訳なくなる……彼女をこれ以上困らせたい訳ではないのに……自分の感情なのにコントロールが効かない。


「大、丈夫……大丈、夫……ですか、ら……い、つものクレ、ル……君に……戻っ、て下さ……い、ね?」


…………俺はなにをしている? なぜ俺はリーシャの胸に顔を埋めて、彼女に頭を撫でられているんだ? この状況はいったいなんなんだ……?


「リ、リーシャ……その、すまん……戻った」


「あ、はい……」


純粋にコチラを心配してくれて居たのだろう、俺の様子にホッと安堵の息をつきながら静かに離れる彼女に本当に申し訳なく思うと同時に顔が熱くて仕方がない。


「? ……あっ! ……うぇっ……えっ、と……」


「いや、すまん……気にしないでくれ……」


赤面しているコチラの顔を不思議そうに覗き込んでいたリーシャだったが……先ほど体勢を思い出し、原因が分かったのか彼女まで赤面してしどろもどろとする……本当に申し訳ない。


「……い、行くか!」


「は、はい……」


なんとも微妙な雰囲気に居た堪れなくなりながら、俺はリーシャを伴って師匠クソジジイの元へと歩き出す。


「……」


その時リーシャがコチラをジッと見詰めていた事など、彼女から目を逸らすように斜め上を凝視していた俺はまったく気づかなかった。


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