第14話
マスクを狙うフェイントをかけたうえで腋を狙った攻撃はパラード(払う)されていたのだ。それも直線的に払うのではなく円を描くように巻き込む「サーキュラーパリー……!?」 「いつの間にそんなやり方を?」 「見様見真似の技をこの後がない状況で……?」 ただのファイティング(練習)とはいえここまで格下の初心者がマッチポイントからの大逆転を行ったということで一時部内は騒然となった……。 「じゃあ次は私が入るわ!」 ファイティングは勝ったものが残り負けたものは降りて次の順番まで待つというのが暗黙のルールである。つまり高木にとっては初の連戦ということになる。「わたし勝っちゃったんだ……」 「では次は自分でなんとかするのじゃぞい……」 私の中にいた誰はそこでまた消えた。そして私の連勝記録は1で終わったのだった……。
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はじめてファイティングで勝てた……まあわたしの力ってわけじゃないけど、それも上級生相手にだ。
「でもさー、なんであんなに強いんなら最初から一気に倒しに行かなかったの? 0点ゲームができたじゃん」
「このバカ者が! 一度くらい勝ちたかったのだろうが、だから確実にかつために最初の4点は犠牲にしたのじゃ、相手の出方をみておかないと最後に何をされるかわからんかったからのう。これはスポーツという遊びなのであろう? 余の時代のように一撃で死ぬわけではない。5本勝負であれば4点までは取られても問題ないのだから慎重にやるに越したことはなかろう?」
「でもさあ、それだったら残りのファイティングでも全部戦ってほしかったのになんであの試合だけでやめちゃったのよぅ?」
「バカモン! あの試合だけで充分じゃろーが、全部他人任せにしてどうする。ちゃんとお前の体の使い方をおしえてやったんだからあとは自分で考えて動かさなきゃ意味なかろうて。」
「そんなこと言われてもわたしにあんな動きできるわけないじゃん、これから試合の時には毎回出てきて戦ってくれたら助かるのになあ……」
「本当にどうしようもないやつよのう、それでも剣士か? あとな余であってもそなたの体でできないことはできるわけなかろう、そなたの体でできることをしたまでだからな。」
「えぇっ、うっそーあんな動きわたしの体じゃ絶対無理だって!」
「無理ならあの試合は勝ててなかったじゃろう……それだけのことだ!!」
イマイチ納得できない部分もあったのだが今日勝利することができたのはこのわたしの体に憑りついた女剣士さんのおかげなのは間違いないけれどあくまでわたしの体を使ったという意味でわたしが何もしていないわけではなかったようである……。
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