~入学式-2~

あの子が入学して、一週間。

俺は毎日、あの子に話しかけた。

あ、因みにあの子には、広瀬悠奈ひろせゆなっていう名前あるんだよ。




「はぁ……」




しかし毎日話しかけて、これじゃへこむよ。





そんなことより。

これじゃ役員たちに示しがつかないよ……。




「結城!」




あ、流石にうるさかったかな?



「いい加減。仕事しろよ!」

「いやーだってさぁー」

「なぁ、広瀬さんてホントに結城のこと好きなのか?」

「なっ!?」

「だって好きなら話しかけられても困らないだろう?」




勇……。

それは言わないでほしかったよ。




「勇?」




どうしたんだ?

急に俺の頭触ってきて。




「へこむのもいいけど、ほどほどにしないと他の奴に示しがつかないぞ?」




わかってるよ!

あれ?勇帰る準備してどうしたんだ?




「ん?今日はバイトの日だからな」




そういえばそうだったね。




「じゃあな」




そう言って勇は帰っていく。

はぁ、勇はいいなぁ……。

勇には鹿子生沙羅っていう彼女がいるんだ。

沙羅ちゃんは頭がよくて、よく悠奈ちゃんに勉強教えてたっけ。




仕方ない。

仕事しますか。

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